菅田将暉、毎日映画コンクール・男優主演賞受賞で更なる飛躍と日本映画界への恩返し誓う
2018年2月15日 22:49
[映画.com ニュース] 第72回毎日映画コンクールの表彰式が2月15日、神奈川・ミューゼ川崎シンフォニーホールで行われた。作品賞に当たる日本映画大賞に輝いたのは、大林宣彦監督がメガホンをとった「花筐 HANAGATAMI」。男優主演賞は「あゝ、荒野」の菅田将暉、女優主演賞は「散歩する侵略者」の長澤まさみに贈られた。
2017年度の日刊スポーツ映画大賞、報知映画賞、キネマ旬報ベスト・テンでも主演男優賞に選ばれるなど、目覚ましい活躍を見せている菅田は、「撮影している時は、こんなにたくさんのフラッシュがたかれることになるとは思っていませんでした。たくさんの映画があり、俳優さんがいらっしゃるなかで、選んでいただいたと思うと身に余る光栄です」と表情を引き締める。「こういう場に出させてもらったので、これからはちゃんと、映画を通して未来、可能性、シーンというか、未熟ながらいろんなものを作っていければ。それが恩返しになっていくのかなと思います」とさらなる飛躍を誓った。
一方の長澤も、「まだまだ賞をいただけるような器の人間だとは思えていない。賞をいただいたことを頑張る糧にして、精進していきたい」と女優魂をにじませる。さらに「先ほど大林監督とお会いして。監督とは、16年くらい前に『なごりゆき』(なごり雪 あるいは、五十歳の悲歌)という映画でお仕事をさせていただきました。久しぶりにお会いして、『演じるということは、自分自身がどういう人柄かが映し出るものだよ』という言葉をいただいた」と明かし、「『そういうものが少しずつ出てきているのかな』と思いつつ、まだまだだなと日々思うばかりです」と謙虚に語っていた。
大林監督は、日本映画大賞受賞を受け「この映画祭はすごいと思いましたね。権威を嫌っている。歴代の受賞者たちを見ていても、アマチュアの人たちも丁寧に拾いあげ、権威ではなく友情を与えてきた」とニッコリ。また長澤との出会いについても触れ、「17年前、彼女が14歳の時ですね。まだ女優を仕事とすべきか悩んでいる時で」「映画の現場に飛び込んで、楽しもうという好奇心と行動力が見えたので、この子は育つだろうと思った」と振り返り、「期待以上に大きくなった」と嬉しそう話していた。
俳優部門の女優助演賞は「幼な子われらに生まれ」で現代家族・夫婦の複雑な関係を体現した田中麗奈、男優助演賞は「三度目の殺人」で圧巻の演技を見せた役所広司が受賞。田中は、98年公開の主演映画「がんばっていきまっしょい」で本映画賞の新人賞を受賞しており、「あの作品があったから、映画の道が切り開けたと思っている。運がよかったと思っています」と笑顔をはじけさせた。
役所も、本映画賞と縁深く「20数年前、初めて映画の仕事で賞をいただいたのが毎日映画コンクールでした。それ以来、この賞に恥じないように、一生懸命がんばってきました」と告白し、「『三度目の殺人』で、また毎日映画コンクールの賞をいただけました。本当についている男だと思っています」と喜びを噛み締めていた。また役所は、登壇直後に足を引きずるようにして歩いていたが、式典終了後に関係者より「撮影時のケガが原因」と発表された。
式典にはこのほか、岸善幸、石井裕也、高杉真宙、伊東蒼、中村義洋、湯浅政明、ふくだみゆき、水野久美、常盤貴子、窪塚俊介、黒沢清らが出席した。
「あゝ、荒野」
「わたしは、ダニエル・ブレイク」
Soi48(宇都木景一、高木紳介)、Young-Gほか「バンコクナイツ」
「夜明け告げるルーのうた」
「ラ・ラ・ランド」
佐藤忠男(映画評論家)