三里塚のイカロス
劇場公開日:2017年9月9日
解説
成田空港建設反対運動(三里塚闘争)で国家と闘った成田市三里塚の人々を題材にした「三里塚に生きる」の代島治彦監督が、この闘争で農民とともに闘った当時の若者たちの人生を追っていくドキュメンタリー。1960年代からはじまった三里塚闘争で政府に抵抗する農民たちとともに闘うために、多くの若者が三里塚へと集まってきた。本作では、三里塚闘争の責任者という立場にいた者、農民と結婚した女子大学生、当時高校生だった活動員ら「かつての若者」たち自身の口から、あの時代、そしてその後の50年が語られていく。撮影は、同闘争を追ったドキュメンタリー「三里塚シリーズ」を手がけた小川紳介監督率いる小川プロ出身の加藤孝信。音楽を大友良英が担当し、1971年に行われた「三里塚幻野祭」に参加したサックス奏者の坂田明、ドラマーの山崎比呂志らとの即興演奏によるフリージャズが劇中音楽として登場する。
2017年製作/138分/日本
配給:ムヴィオラ、スコブル工房
スタッフ・キャスト
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大変に良い作品であった。農民の素朴な怒りに端を発したその抵抗運動は、セクトの様々な参入を経て、やがて泥沼化し、延々と続くことで全体像が見えなくなってきた。その答えを提示するわけではないが、運動に携わった多様な人々に振り返ってもらうことで、社会運動や、それに携わることとは一体なんなのか、ということを投げかける作品になっている。
現在の映像だけでなく、過去の(小川プロ作品等の)映像も引用しつつ、三里塚闘争の歴史を概観し、多様な当事者へインタビューを行うことで、視点に厚みが出ている。
また、運動では、それを続ける人だけでなく、離脱する人や、方向転換する人も当然出てくる。そこに伴う苦みを丁寧に取り上げていた印象。
2017年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
初めのほうでは活動家が昔の思い出に浸るだけの作品なのかという疑いを持ったが、だんだん進むにつれ引き込まれ、やや長時間の上映もあっという間であった。心情を素直に吐露する者、いまだに立場にこだわり常に目が泳いでいる者など、巻き込まれた人間それぞれの姿を浮き彫りにしておりたいへん興味深いものであった。欲を言うならば、このような状況を作り出した「真犯人」である当時の政府の決定権を持った者のコメントを何らかの形で引き出せれば、と感じたが、それを言うのは酷というものだろうか。
2017年10月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
死者を出し人生を棒に振るほどの怪我を負わせた歴史の総括がそれか?というレベルの発言しか出来ない出演者もいたが、映画としては、関係者の発言をきちんと引き出し丁寧に作られていると思う。