東京国際映画祭ジェームズ・ガン審査委員長、影響を受けた監督は「黒澤・小津・三池」
2014年10月24日 14:15
[映画.com ニュース] 第27回東京国際映画祭コンペティション部門の審査員会見が10月24日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、審査委員長を務めるジェームズ・ガン監督、イ・ジェハン監督(「私の頭の中の消しゴム」)、ロバート・ルケティック監督(「キューティ・ブロンド」)、エリック・クー監督(「TATSUMI マンガに革命を起こした男」)、デビー・マクウィリアムズ(キャスティング・ディレクター)、お笑い芸人で監督の品川ヒロシが出席した。
コンペティション部門には、ベント・ハーメル監督の新作「1001グラム」、セドリック・ジメネス監督がジャン・デュジャルダン出演で検察と麻薬組織の抗争を描いたサスペンス「マルセイユ・コネクション」、アリエル・ホームズ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ共演でドラッグに溺れる若者の姿をリアルに切り取った「神様なんかくそくらえ」、ケビン・デ・ラ・クルス監督が浅野忠信とタッグを組んだ「壊れた心」をはじめ、イランのニマ・ジャウィディ監督作「メルボルン」、マレーシアのエドモンド・ヨウ監督作「破裂するドリアンの河の記憶」など若手による意欲作がノミネート。日本からは、吉田大八監督がメガホンをとり、宮沢りえが7年ぶりに映画主演を務めた「紙の月」が選出されている。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」がヒットを記録しているガン監督は、日本文化や映画が好きだそうで「絶対訪れたいと思っていたところに話をもらいました」と初来日に感激しきり。そして、「(映画は)自分が知らなかった世界に飛び込み、新しい何かを発見することができる」と持論を展開し、「私たちが求めているものは希望です。これから、どのような素晴らしい作品と出合えるのか。その作品がどれだけ自分の心を揺さぶり、何かメッセージをもらえるのか」と期待を込めた。
15作品と向き合うにあたり、ルケティック監督は「政治的、経済的、個人的な問題だろうと、人間が置かれている立場は非常にクライシス。崖っぷちに立たされている状況の中で、映画は大きな希望をもたらしてくれると思う。心が打たれる、希望を持てるというテーマが非常に大事ではないか」と熱弁。クー監督が「シンプルなフォームで心に直接語ってくれる、自分の感性に訴えてくれるものを探しています」と話すと、「監督はその世界に閉じこもってしまうが、素晴らしい作品をフィーリングで見たい。審査員、監督業とは違う立場で、個人として今まで見たことがない作品に心うたれたい」(イ監督)、「自分のイノセントな気持ちで映画を見ることができる。何か新しいことを教えてくれ、見たことがない旅行をさせてくれるかもしれない」(マクウィリアムズ)と語りかけた。
品川監督は、審査員のオファーを受け「『また文化人ぶりやがって』と仲間に言われるのでどうしようかと思ったけれど、メンバーを聞いてあまりに豪華で揶揄されてもやっておくべきだと思った」と吐露。「僕は1番キャリアが浅いので、お客さんに近い感覚だと思う。審査員だと言っているけれど、映画はお客さんのものだと思うので、なるべくお客さんの気持ちで見てから話し合って、フィーリングで決めていきたい」と意欲をのぞかせた。
審査員チームは好きな監督を問われると、各国の名匠とともに「黒澤明、小津安二郎、三池崇史」(ガン監督)、「黒澤明」(ルケティック監督)、「大島渚」(イ監督)、「塚本晋也」(クー監督)ら日本人監督からの影響を明かし「1時間じゃ終わらない、一晩中かかる」(ガン監督)と大盛り上がり。品川は、深作欣二監督とともに北野武監督の名を挙げる。「映画監督、芸人になりたいと思っていたころ、(北野)武さんが芸人から映画監督して成功していて、芸人になろうと思った。武さんがいなかったら芸人から監督っていうコースすらなかったので、すごく影響を受けている」と話した。
第27回東京国際映画祭は、六本木ヒルズをメイン会場として31日まで開催。
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