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「父と息子の伝承と絆」がモチーフにあり、
良く言えば「フィールド・オブ・ドリームス」に通じるような話ではあったが、
一方でこのご時世において、「父と娘」の関係については一切触れず進むのは、
中世過ぎる話でしっくりこなかった。
そのせいで、大阪の全男子が動員され、大阪の街がガランと静まり返る描写も、
「女はどこに行ったんだ」、
「女は無視か」、
という感想になり、ファンタジーが台無しになってると感じた。
また、この作品の中では例外的存在である、息子堤真一と父親平田満のような、
「父子関係が微妙な親子」もかなりの数でいるだろうし、
「母子家庭なら伝承は無理じゃん」とも思ったし、
「父親にネグレクトされている息子」の場合はどうすんだ、との疑問も拭えない。
実写化には失敗していると思うし、そもそも、原作は本当にこんな脆弱な設定で成立しているのか、不思議で仕方がない。
「フィールド・オブ・ドリームス」も、突拍子もないファンタジー設定だけれども、
あれはあれで成立しているから、心に刺さるものがあるし、細かい所は気にならないのだが、
この作品は細かい所が気になってしょうがないのだ。
その原因は、何か大事な所が成立していないから気になるのであって、ファンタジーとして、致命的な反省点だと思う。
他にも多々気になる所があり、1つ挙げるなら、堤真一が撃たれる事の必然性が、どこにも無い点。
大阪人が堤真一を暗殺しようとする事は、大阪の日本国に対する武力テロリズムの宣言であり、
反逆であり、大阪のエゴイズムに対する嫌悪感の増幅しか生まないのだ。
「翔んで埼玉」のような痛快なコメディになっておらず、
大阪を除く他都道府県民の、大阪に対する嫌悪感増幅の正当性を、
担保保証するような構成になっている。
これは大阪にとってマイナスプロモーションでしかなく、ご当地映画としても最悪なのだ。
あと、岡田将生の存在は必然性があるのだけれど、綾瀬はるかの存在はトラブルメーカーでしかなく、
ただただ邪魔な存在として描かれているし、
真田の長男大輔のジェンダーに関する問題も何一つ解決していないし、
鳥居(綾瀬はるか)の十字架問題も、切支丹弾圧に掛けているのかと鑑賞しながら推測してたが、
蓋を開けたら何も無くて、絶望でガッカリしてしまった。
あと、蜂須賀家のヤクザ設定は、現存する蜂須賀家の誹謗中傷になりかねない設定で、
コンプラ的にヤバい話だし、
ヤクザである必然性もストーリーの中で無かった。
挙げたらキリがない無謀なファンタジー設定で、
大阪人と豊臣家の間にある絆も、かなり無謀であり、
例えば、山梨県民と武田信玄の絆であれば、歴史的にみても、治水事業の恩恵から成立はするのだけれど、
大阪人は戦国時代の落書事件や秀次事件などの史実などもあるように、
豊臣家に対して命がけで守るようなアイデンティティを構築するような、関係性を築いているとは到底思えない。
なので、やっぱりそもそも原作が酷いわなと思ってしまった。