劇場公開日 2011年5月28日

プリンセス トヨトミ : 映画評論・批評

2011年5月17日更新

2011年5月28日よりTOHOシネマズ有楽座ほかにてロードショー

中井貴一の圧倒的な存在感が、荒唐無稽なホラ話に説得力を持たせている

荒唐無稽で壮大なホラ話だが、400年の時空を超えた東西対決の構図が分り易くて楽しめる。会計検査院調査官の松平元(堤真一)率いるチームが東京から大阪へ乗り込み、大阪城を拠点にする謎の財団法人「OJO」が迎え撃つ。松平は徳川家の旧姓だし、お好み焼き屋「太閤」の主人で大阪国総理大臣の真田幸一(中井貴一)は、もちろん大坂夏の陣で徳川軍の中を敵中突破した真田幸村を想起させる。口数の多い大阪人が秘密を守れるはずがないだろうと茶々を入れつつ、関西びいきの歴史観をくすぐられた。

万城目学の原作を読んだときは、家康の正室になった旭姫にちなむ旭ゲンズブール(岡田将生)を誰が演じるのかと思った。長身の日仏ハーフで頭脳明晰な美女にふさわしい女優が日本にはいないし、長身のモデルを起用しても演技力に不安が残る。だから旭と小柄なミラクル鳥居(綾瀬はるか)の男女の性を入れ替えた妙案にも納得できる。

前半はなかなか本筋に結びつかないモタモタ感があるが、大阪の男たちがこぞって府庁舎に結集する怒涛の後半は目を離せない。どこかの国の総理も見習って欲しい中井貴一の圧倒的な存在感が、ホラ話に説得力を持たせている。父と息子の絆という普遍的テーマで物語を収束したのは、脚本の相沢友子鈴木雅之監督の手柄だろう。世の中の父親は、息子に何を伝えたいと思っているのか。寡黙だった自分の父親を映画に重ねながら胸が熱くなった。

(垣井道弘)

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