借りぐらしのアリエッティ
劇場公開日 2010年7月17日
解説
イギリスの女流作家メアリー・ノートンの児童文学「床下の小人たち」を、スタジオジブリが映画化。監督は「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」で原画、「ゲド戦記」で作画監督補を務めた米林宏昌。企画・脚本に宮崎駿。身長10センチの小さなアリエッティ一家は、人間が住む家の床下で、さまざまな生活品をこっそり借りて暮らしていた。彼らの掟は「決して人間に見られてはいけない」ということ。しかし、アリエッティはその家に引越してきた少年・翔に自分の姿を見られてしまう。
2010年製作/94分/G/日本
配給:東宝
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2020年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波
2010年代のスタジオジブリの最大の課題は、世代交代だった。この映画は2010年代、最初のジブリ作品で、当時30代だった米林監督が抜擢。米林監督はそれまでのジブリになかった新鮮なセンスを混ぜつつ、ジブリの作品を壊さないバランス感覚で本作を見事に仕上げた。
主人公のアリエッティは小人だが、これは文字通りに小さな世界の物語で、宮崎駿風な大きな冒険活劇ではない。そういう作品に仕立てることも可能な原作なのだが、米林監督と脚本の宮崎駿は、これを一つに家での出会いと別れに物語へと集約した。結果、ジブリ作品にはめずらしく甘く切ない物語となった。
米林監督は少女漫画好きなので、こういう作風のほうが良いだろうと脚本の宮崎駿も思ったのだろうか。家を追われたアリエッティが待ち受ける苦難や、病気を患う翔の苦しみよりも、ひと夏に少年と少女が出会うことのロマンスと、すぐに別れねばならない切なさを全面に持ってきている。血湧き肉躍る活劇を求めていた人には肩透かしなのかもしれないが、活劇とは異なるカタルシスのある良作だ。
2022年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波
小人の世界観がかわいくて観ていて楽しい。
小さな家具やキッチン、小物、描写のどれもこれもが素敵。
はるさん、そこまで小人を捕獲したいのかと不思議なのだけど。怖い。
アリエッティと少年がわかり合い、絆が芽生え、病気の少年が生きる希望もらうという、別れがさらにせつなくさせる。
ジブリだけど地味に胸を打つ良い終わり方だった。
2021年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波
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「偏見」とは米林監督に対する偏見である。作品を見ることもなく世界観にも興味がないことからは鼻から駄作だと思い込んでいた。ところがどうだ・・この作品、突っ込みどころ満載でしかも粗削りではあるが可能性に満ちていて、何よりもジブリっぽいのだが過去のジブリ作品のどの作品にも見る事の出来ないロマンティシズムに満ちている。現在ジブリから独立しているというこの米林監督の他の作品を至急チェックする必要がある。ほかの作品はさておきこの作品、明らかにヒロインのキャラが魅力的である。様々なオマージュやジブリとのアイロニカルな隠喩的関連表現などについても数多く指摘されているが、それらは既にこの監督の虜になっているマニアの方々にお譲りするとして、ここではこの監督の非ジブリ的な魅力についてのアピールを優先したい。その魅力に到達する為の装置は極めてジブリ的なオープニングに仕掛けられていた。ジブリ作品を見たことがある人ならこの作品のオープニングはどこかで見たことがあるはずである。そして同時になんだ二番煎じかと言うことで取りあえず見てしまうはずだ。そしてこれこそが初めて米林監督作品へのプロムナードメカニズムであったのだ。後は作品を見たらわかるという仕組み。さぁご覧あれ・・・
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