「君たちはどう生きるか」あらすじ、声優まとめ タイトルは物語と無関係、重要キャラクターのモデル
2025年5月2日 21:00

5月2日午後9時から、日本テレビ系「金曜ロードショー」で宮﨑駿監督の「君たちはどう生きるか」が地上波初放送されます。
同作は、2023年に公開された宮﨑監督の最新作。公開前にはタイトルとポスタービジュアルのみが明かされ、あらすじ、キャスト、スタッフなどの情報は未公表のままでした。結果として“宣伝をしない宣伝”が行われたことになり、公開と同時に発表された米津玄師による主題歌「地球儀」も話題を呼びました。第96回米アカデミー賞の長編アニメーション賞など海外で多くの賞を受賞し、世界的にも高く評価されています。

今回の放送で「君たちはどう生きるか」を初めて見る方は、もしかしたら「なんだかよく分からない」と思われるかもしれません。ストレートなエンターテインメント作品ではなく、見る人に感じたり考えたりする要素を多くふくんだ内容になっているからです。
「自伝的冒険ファンタジー」と紹介されることもある本作は、宮﨑監督のこれまでの足跡や知り合ってきた人々が創作のもとになっていることが、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーから語られています。また、本作はジブリ単独出資で製作され、鈴木プロデューサーは宮﨑監督に初めて、「思うとおり、好きなものを作って下さい」と伝えたと語っています。究極の自主製作映画であり、宮﨑監督がエンターテインメントの枠から外れてつくったプライベートフィルムであると言ってもいいと思います。
様々なメディアでなされた鈴木プロデューサーの発言や、NHKで放送されたドキュメンタリーなどで語られた、同作をより楽しむための予備情報や説などを、あらすじ、主な出演声優のリストとあわせてご紹介します。

同作のタイトルは、吉野源三郎氏による小説「君たちはどう生きるか」(1937年発表)から採られています。ただ、作品との関係は基本的になく、主人公の眞人が同書を読んでいる描写があるだけです。
映画の着想のきっかけになったのは、ジョン・コナリー氏によるファンタジー小説「失われたものたちの本」(創元推理文庫)と言われています。「失われたものたちの本」は、本のささやきが聞こえるようになった12歳の少年が物語の世界に迷いこみ、もとの世界にもどるために旅する異世界冒険譚で、主人公を異世界にいざなう異形のキャラクターが登場するなど、映画「君たちはどう生きるか」との共通点が多く見受けられます。

映画の大枠のストーリーは、眞人が継母の夏子を探すため「下の世界」を旅し、元の世界に戻ったときに成長を遂げているというシンプルなものです。「下の世界」ではイメージの連想のような描写が続くため、難解に感じる方がいるかもしれません。「下の世界」で起きていることは、「千と千尋の神隠し」の終盤で千尋がカオナシと電車で遠くにいくシーンや、同じく「崖の上のポニョ」の終盤で街全体が水に沈んだシーンのような、“生と死がないまぜになった不思議な世界”であると理解すると、すんなり作品世界に入っていけるのではないかと思います。

同作を宮﨑監督の自伝的物語と考えると、主人公・眞人は宮﨑監督の分身と考えることができます。そんな眞人と「下の世界」を旅するパートナーの青サギは、鈴木プロデューサーがモデルであることを鈴木プロデューサー自身が語っています。
けして仲がいいとは言えず、ときに相手を厳しい局面においこむこともある眞人と青サギの緊張感のあるやりとりは、利害が相反する宿命にある監督とプロデューサーの関係にも見えてきます。

また同様に、「下の世界」で最初に出会う若い姿のキリコは、ジブリ作品で長年色彩設計を務めてきた保田道世さん(2016年没)、物語の終盤でフィーチャーされる大伯父は宮﨑監督の盟友・高畑勲監督(18年没)がモデルであると鈴木プロデューサーは語っています。特に大伯父については、「君たちはどう生きるか」制作中の2018年4月に高畑監督が亡くなったことで、物語の展開が当初予定したものから大幅に変わったことが鈴木プロデューサーの発言や、NHKのドキュメンタリー内で示唆されています。

若い姿のキリコが登場する場面は、海の描写などが懐かしいアニメーションのルックで描かれ、これは宮﨑監督が高畑監督らと手がけた「太陽の王子 ホルスの大冒険」など東映長編へのオマージュと考えることもできそうです。「下の世界」の描写の数々は、宮﨑監督作品へのセルフオマージュに満ちていて、「眞人=宮﨑監督」と「青サギ=鈴木プロデューサー」が、これまでの足跡をたどる旅であるという解釈もできると思います。

物語の終盤、大伯父は13個積んだ石の積み木を眞人に見せ、自分のあとを継いで積み木を積んで自分の塔をつくるよう告げます。この13という数は何かを暗示しているのではないかと、いろいろな説が語られています。宮﨑監督がこれまで手がけた長編作品の数ではないかという説もありますが、宮﨑監督の長編作品は、「ルパン三世 カリオストロの城」「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「紅の豚」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」「風立ちぬ」「君たちはどう生きるか」の12作品しかありません(「未来少年コナン」の劇場版「未来少年コナン 特別編 巨大機ギガントの復活」は除く)。これは、宮﨑監督が「君たちはどう生きるか」のあとにもう1作、長編作品をつくるつもりであるからではないかと考えると、本作は過去を振り返るだけでなく、未来をみすえた作品であると感じることができるのではないかと思います。
ここまで紹介してきたキャラクターのモデルや説などはひとつの考え方にすぎず、正解などではありません。作品を見てあなたが感じたり考えたりしたことが大事で、それこそが宮﨑監督があえて分かりやすい物語にしなかった意図でもあるのでしょう。これまでの宮﨑監督作品とは違った意味で、何度でも楽しめる奥深い作品になっていると思います。

母親を火事で失った少年・眞人(まひと)は父の勝一とともに東京を離れ、「青鷺屋敷」と呼ばれる広大なお屋敷に引っ越してくる。亡き母の妹であり、新たな母親になった夏子に対して複雑な感情を抱き、転校先の学校でも孤立した日々を送る眞人。そんな彼の前にある日、鳥と人間の姿を行き来する不思議な青サギが現れる。その青サギに導かれ、眞人は生と死が渾然一体となった世界に迷い込んでいく。

主人公・眞人役を演じたのは俳優の山時聡真さんで、オーディションで抜てきされました。眞人とコンビを組む菅田将暉さんは、同じ事務所の先輩・後輩の間柄にあたります。公開時の山時さんのインタビューをあわせてご一読ください。
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

“最高&最幸”の一作!
【過去最高の評価!最も泣いた!】ありがとう、そして…さようなら!? 結末は絶対に観て…!
提供:キノフィルムズ

“ハリポタファン”に熱烈に推したい
【夢のような空間がここにある】GWにぜひ堪能してほしい特別な体験【忖度なし正直レビュー】
提供:ワーナー ブラザース スタジオ ジャパン

たべっ子どうぶつ THE MOVIE
【裏切りすんごい】キッズ向けとナメてたら…全然“甘くなかった”!!嘘やろ、こんな…ええんか…?
提供:クロックワークス、TBSテレビ

地上波では絶対ムリな超過激作
【超暴力的・コンプラガン無視!】狂キャラが常軌を逸した大暴れ!!【敵の事務所にロケットランチャー】
提供:DMM TV

マインクラフト ザ・ムービー
【予想の5倍面白かった】そして、この映画で人生がレベルアップする【息つく間もない“楽しさ”連続】
提供:ワーナー・ブラザース映画

サメ!ゾンビ!ガメラ!
【狂った名作・怪作が無料大量放送】人類終了のお知らせ! ありがとう“GWの夜”が決まった
提供:BS12

なんだこの強烈に面白そうな映画は!?!?
【尋常じゃなく面白そうな6つの魅力】予告だけで「めちゃくちゃ良さそう」が湧き上がる…観なければ!
提供:ディズニー