【出演海外作品10選】ハリウッド進出から約20年―真田広之は、いかにして「SHOGUN 将軍」に到達したのか?
2024年2月28日 18:00

真田広之が主演・プロデューサーを務め、ハリウッドの制作陣が戦国時代の日本を描くドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」が、ディズニープラスの「スター」で独占配信中。1980年にアメリカで実写ドラマ化され、驚異的な視聴率を記録したジェイムズ・クラベルのベストセラー小説「SHOGUN」を、ハリウッドが新たに映像化した戦国スペクタクルだ。
主人公である戦国最強の武将・吉井虎永を演じる真田は、「日本の文化を正しく世界に紹介したい」という思いから、プロデューサーも兼任し、日本人の立ち振る舞いや話し方、小道具に至るまで、入念にチェック。真田にとっては、日本の魂を本気で描くため尽力した、渾身の一作なのだ。ハリウッド進出から約20年。国際派俳優として確固たる地位を築いた真田は、いかにして「SHOGUN 将軍」に到達したのか? 真田が出演した海外作品10選を通して、その歩みを振り返る。

トム・クルーズが製作・主演を務め、明治維新直後の日本で“最後のサムライ”となった男たちの姿を描いたハリウッド製の時代劇。政府軍に西洋式の戦術を教えるため渡日した、南北戦争の英雄であるネイサン・オールグレン大尉(クルーズ)は、敵対する侍たちとの戦いに敗れ、彼らの捕虜となるが、そこで一族の長である勝元盛次(渡辺謙)らの武士道精神に感銘を受ける。真田は、勝元の臣下・氏尾を演じ、ハリウッド進出の第一歩を踏み出した。

「眺めのいい部屋」「日の名残り」で知られる名匠ジェームズ・アイボリーの、現時点では最後の監督作品。米作家ピーター・キャメロンの同名小説を映画化した。いまは亡き作家の伝記執筆をめぐり、亡き作家の妻と愛人、娘、兄、そして兄のパートナーの男性の人間模様が綴られる。真田が演じるのは、亡き作家の兄アダム(アンソニー・ホプキンス)のパートナー役。アイボリー監督の作品に出演するのは、「上海の伯爵夫人」(05)に続き2度目となった。

「X-MEN」シリーズの人気キャラクターであるウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)を主人公にした、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」に続くシリーズ第2弾。日本が主な舞台となり、本格的な日本ロケも敢行された。日本の地を踏み、何者かの陰謀により不死身の治癒能力を失うというかつてない状況に追い込まれるウルヴァリン。そんな彼に、真田演じる武道の達人・シンゲンが襲いかかる。果たして、シンゲンの目的とは――。ディズニープラスで配信中。

日本の「忠臣蔵」をモチーフにしたファンタジーアクション大作。素性不明のはぐれ者のカイ(キアヌ・リーブス)は、吉良の陰謀により、尊敬する主君の命と身分を奪われた赤穂の国のサムライ・大石内蔵助(真田)に力を貸し、圧倒的な吉良軍に対し、わずか47人で立ち向かう。真田をはじめ、浅野忠信、菊地凛子、柴咲コウ、赤西仁ら日本人キャストも出演。カイを演じるリーブスとの親交が、その後「ジョン・ウィック コンセクエンス」(23)での再共演につながる。

第2次世界大戦時、日本軍の捕虜となり、タイとビルマを結ぶ泰緬鉄道建設に駆り出された英国兵士と日本人通訳らの実話を映画化したヒューマンドラマ。過酷な労働の記憶に苦しめられるエリック(コリン・ファース)は、鉄道の建設現場にいた日本人通訳の永瀬(真田)が、戦争体験を伝えるため、いまもタイに暮らしていることを知る。永瀬の存在に心の奥の傷がよみがえり、動揺するエリックだったが、永瀬との再会を決意し、タイに向かう。

英名優イアン・マッケランが、引退した老齢の名探偵シャーロック・ホームズに扮し、自身を引退に追い込んだ30年前の未解決事件と再び対峙するミステリー。劇中には、名推理が冴えわたる絶頂期と、引退して衰えた老齢期を結びつける重要な場所として、日本が登場する。真田は、ホームズとある因縁で結ばれた日本人男性のタミキ・ウメザキを演じている。ウメザキは記憶力の維持に効果があるとされる山椒をホームズに手渡すが――。

「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」のヒーローたちが豪華共演するメガヒットシリーズ第4弾。真田が演じるのは、東京を根城にする日本のヤクザであるアキヒコ。家族を失った絶望から“闇落ち”し、ローニンとして世界中で暗躍するクリント・バートン/ホークアイ(ジェレミー・レナー)と、剣を交えての死闘を繰り広げた。大雨のなかでのアクションシーンをワンカットで撮影したかったアンソニー・ルッソ監督が、それを可能にする人物として、真田を直々に指名し、日本人唯一のキャストとして出演が実現した。ディズニープラスで配信中。

ジョニー・デップが製作・主演を務め、水俣病を世界に知らせた写真家ユージン・スミスとアイリーン・美緒子・スミスの写真集を題材に描いた伝記ドラマ。真田は補償交渉活動の先頭に立つヤマザキ・ミツオ役に扮した。21年9月、日本のメディアに向けたオンライン会見にて、デップは「現場のエキストラや若手俳優を指導し、日本語表記の看板も自ら書いてくれた。全身全霊で取り組む姿が現場に深みと思いを与えてくれた」と、真田への敬意を示していた。

作家・伊坂幸太郎氏の人気小説をハリウッド映画化したクライムアクション。主演のブラッド・ピット演じる“世界一運の悪い”殺し屋レディバグが、東京発の超高速列車「ゆかり号」でブリーフケースの争奪戦に巻き込まれ、車内で見知らぬ9人の殺し屋たちに、次々と命を狙われる。真田は、何かと“運命”を語りたがる剣の達人エルダーを演じている。息子の復讐を止めようと、米原駅で「ゆかり号」に乗車し、思わぬ人物と再会する。

キアヌ・リーブスが伝説の殺し屋に扮した大ヒットアクション「ジョン・ウィック」シリーズの第4弾。真田が演じるのは、大阪コンチネンタルホテル支配人にして、ジョンが協力を求める日本の旧友シマヅ。リーブスとチャド・スタエルスキ監督が真田の参加を熱望し、彼のためにシマヅ役を作り上げた。劇中では、ジョンを追いつめるため、組織が送り込んだ盲目の刺客ケイン(ドニー・イェン)との白熱のソードアクションも披露している。

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