【100個以上!?】「ウィッシュ」オマージュまとめ&独自考察
2023年12月22日 13:00
ウォルト・ディズニー・カンパニーの創立100周年を記念して製作された、ディズニーの長編アニメーション「ウィッシュ」(公開中)。どんな願いも叶う魔法の王国ロサスの驚くべき真実をたったひとり知ってしまった主人公アーシャが、勇気を振り絞り、奇跡を起こす姿が描かれます。
そんな本作には、ディズニー100周年の記念作とあって、さまざまな過去のディズニーアニメ作品へのオマージュが捧げられています。共同監督のクリス・バック(「アナと雪の女王」)は「オマージュは100個以上」もあるといい、「ぜひ本編を見て、見つけてください」とファンにメッセージを送っています。そこでこの記事では、映画.comが独自にリサーチ&考察したオマージュをご紹介。まだまだ100個には及びませんが、鑑賞後の参考になれば幸いです。きっと、すぐにもう1度見たくなるはず!
本が開き、そのなかの物語として映画が始まっていく。そんな本作のイントロダクションは、ディズニーアニメの古典ともいうべき「白雪姫」「シンデレラ(1950)」「眠れる森の美女(1959)」「ジャングル・ブック(1967)」「ロビン・フッド(1974)」などの伝統を受け継いでいる。
アーシャが住むのは、森の中にある家。その外観は、「白雪姫」のコテージに似ている。余談だが、「白雪姫」のコテージは1922年、米ロサンゼルスで創業したレストラン「タム・オ・シャンター」をモデルにしており、生前のウォルト・ディズニーが週に5回は通っていたという行きつけの店だった。
アーシャの友だち7人衆(通称:ティーンズ)は、「白雪姫」の“七人のこびと”からインスピレーションを受けている。
・現実主義で少し皮肉屋なところがあり、気難しい顔をしがちなガーボ →グランピー(おこりんぼ)
・明るい性格でいつもご機嫌、ムードメーカーのハル →ハッピー(ごきげん)
・いつも眠そうで、あくびをしているサイモン →スリーピー(ねぼすけ)
・くしゃみに悩まされているサフィ →スニージー(くしゃみ)
・いつもとぼけた様子で、時折皆がびっくりするような行動をとる、頬が赤く大きな耳がトレードマークのダリオ →ドーピー(おとぼけ)
・シャイだけど、陰で皆を見守っているバジーマ →バッシュフル(てれすけ)
魔法の力で、森の動植物たちが「誰もがスター!」という楽曲を歌いあげるミュージカルシーンは、本作の大きな見どころであり、オマージュの宝庫。「バンビ」のサンパー(とんすけ)に似たウサギが、軽快に足を踏み鳴らし、「ポカホンタス」のアライグマが歌う姿も。森の木々の一部は、同じく「ポカホンタス」の“柳の木のおばあさん”に、そして葉っぱの下にいる2匹のネズミは、「ビアンカの大冒険」のビアンカとバーナードに似ている。
しゃべるキノコが「We Love Crazy!」と話す様子は、「アナと雪の女王」の楽曲「とびら開けて」に登場する歌詞「Okay, can I just say something crazy? (ねぇ、ちょっとおかしなこと言ってもいい?)」「 I love crazy! (そういうの大好きだ!)」を想起させた。そもそも、森でのミュージカルシーン全体が、「リトル・マーメイド」の楽曲「キス・ザ・ガール」へのオマージュになっているように見えた。
歌が終わると、シカが「食べないでくれて、ありがとう。ジョン」、クマが「言わないで、バンビ」と言葉を交わす。シカはもちろん、バンビのこと。クマのジョンとは、「ロビン・フッド(1974)」に登場する主人公の相棒リトル・ジョンだ。相棒といえば、アーシャの相棒で、言葉を話す子ヤギのバレンティノが、「全ての哺乳類が、平等で服を着ているユートピア」を願っているが、これは「ズートピア」を指しているのかもしれない。
国民の願いを城に閉じ込めるマグニフィコ王には、過去のディズニーアニメに登場したヴィラン(悪役)の要素が数多く詰め込まれているようだ。ディズニーヴィランズが使う魔法といえば、緑色がおなじみ。(「眠れる森の美女」のマレフィセント、「リトル・マーメイド」のアースラ、「白雪姫」の継母が老女になる薬も緑色)。本作でもマグニフィコ王が邪悪な魔法を使うときは、緑色が印象的だ。
また、マグニフィコ王は劇中で「無礼者たちへ」というソロ楽曲を熱唱。見事な歌声を持つヴィランといえば、「哀れで不幸な魂」という楽曲を披露するアースラを忘れることはできない。さらに、マグニフィコ王が鏡に「世界一のハンサムは?」と問いかけるシーンを見れば、誰もが「白雪姫」の女王(魔女)を思い出すはず。ちなみにマグニフィコ王のマントは、シルエットが「アラジン」のジャファーを、その模様は「白雪姫」の女王の部屋のカーテンを連想させる。
マグニフィコ王が城に閉じ込めている“願い”の数々にも注目。洋裁師になることを願う女性が縫い上げているのは、「眠れる森の美女」のオーロラ姫が着ていたドレスに似ている。また、別の国民たちの願いには「ピーター・パン(1953)」「メリー・ポピンズ」「リトル・マーメイド」といった作品との関連性が確認できる(エンディングには、よりダイレクトに「ピーター・パン」を連想させるシーンもある)。
アーシャが、哲学者だった亡き父と過ごした幼少期を回想するシーン。「どんなときも、星は私たちを導いてくれる」と父親が教えてくれた……という描写は、「ライオン・キング(1994)」における主人公シンバと父親ムファサの会話を連想させる。ムファサもまた星を指しながら、「歴代の王たちがあそこにいて、お前を導いてくれる」と息子を鼓舞していた。
願い星を具現化した愛くるしいキャラクター、スターの顔は、ミッキー・マウスのハートの顔型になっている。スターは言葉が話せない代わりに、魔法のダストを纏いながら自由自在に飛び回り、くるくる変わる豊かな感情を表現している。そんなスターは劇中で魔法の力を駆使し、ミッキー・マウスにまつわるオマージュをいくつか捧げているので、見逃し厳禁だ。
映画の後半では、スターがアーシャに魔法の杖をプレゼントするシーンがあるが、このとき、アーシャはフードと紫のリボンが付いた青いローブを着ている。その姿は「シンデレラ」に登場するフェアリー・ゴッドマザーへのオマージュのようだ。願いの力を信じ続けたアーシャが、その後、国民のためにどんな役割を果たすことになるのか? そのヒントが隠されているかもしれない。
「ウィッシュ」は、エンドクレジットにも、ディズニー作品へのオマージュがちりばめられている。誰もが一目で気づくミッキー・マウスや白雪姫、シンデレラ、ピーター・パンに加えて、「ミラベルと魔法だらけの家」の主人公ミラベルや、「ストレンジ・ワールド もうひとつの世界」の奇妙な生物スプラットなど、最近の作品もしっかり網羅し、100年の歴史を感じさせるものとなっている。
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