【5月14日はケイト・ブランシェットの誕生日】最強ヴィランから、実在の政治活動家まで! オスカー俳優の名演を堪能するおすすめ6作品
2023年5月14日 09:00
本日5月14日は、オーストラリア出身の俳優ケイト・ブランシェットの54歳の誕生日。これまでに「アビエイター」(2005)で第77回アカデミー助演女優賞、「ブルージャスミン」(14)で第86回アカデミー主演女優賞に輝き、天才指揮者を演じた主演作「TAR ター」(公開中)では、第80回ゴールデングローブ賞の主演女優賞(ドラマ部門)を受賞。5度目となるアカデミー主演女優賞ノミネートも果たしました。
長年にわたり、名実ともにトップクラスの地位に君臨する彼女は、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(02~04)で気品あふれるエルフの女王ガラドリエルを演じたほか、「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」(08)、「オーシャンズ8」(18)など、数々のエンタテインメント大作にも出演し、多くの映画ファンに愛される存在です。そんなブランシェットの名演を楽しめる、ディズニープラスで配信されている6作品をご紹介します。
「マイティ・ソー」シリーズ第3弾。復讐に燃える美しき死の女神・ヘラ役で出演し、ソー(クリス・ヘムズワース)らの前に立ちはだかった。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に、主役級の女性ヴィランが登場するのは、本作が初めて。ソーの実の姉にあたり、ソーの聖なる武器ムジョルニアを手にし、軽々と握りつぶす破壊力の持ち主だ。コメディ路線にかじを切った本作のなかで、心に傷を負ったヴィラン役を繊細かつ大胆に演じたブランシェットは、異質な存在感を放っている。「最高の悪役というものは、ある意味愛されながらも、その行動が憎まれる存在であるべき」と語っている。
ディズニーの名作アニメを実写映画化した本作で、ブランシェットは、シンデレラの意地悪な継母トレメイン夫人を演じている。「純粋に邪悪な人なんて誰ひとりいない。誰にでもそうなる動機や誘因があると思う」と語るブランシェットの言葉通り、本作では、前夫を亡くしたトレメイン夫人が、ふたりの娘を育てた過去の苦労が描かれ、“ただの悪役”として扱われがちなキャラクターに奥行きが求められた。冷たく不敵な笑みの裏側に隠されたのは、シンデレラに対するただならぬ嫉妬心。エレガントさを演出しつつ、あくまで内面にアプローチした役づくりは、主演のリリー・ジェームズを引き立たせ、作品の質をワンランク押し上げている。
ギレルモ・デル・トロ監督が、1946年に出版された名作ノワール小説を映画化。ショービジネスでの成功を夢見る野心にあふれた青年スタン(ブラッドリー・クーパー)は、怪しげなカーニバルの一座とめぐり合い、そこで読心術の技を会得すると、天性のカリスマ性を武器に、トップの興行師となる。しかし、その先には思いがけない狂気の闇が待ち受けていた。ブランシェットは、富や名声に目が眩むスタンと悪事を企む、精神科医のリリス・リッター博士を演じた。凍てつくような存在感で、スタンと観客を魅了している。また、「キャロル」(16)で運命のふたりに扮したルーニー・マーラとの再共演も実現した。
厳格過ぎる性格で、周囲から孤立するベテラン教師のバーバラは、愛情にも近い友情を密かに抱いた陶芸教師シーバの“秘密”を握る。シーバは、15歳の男性生徒との禁断愛に溺れていたのだ。バーバラを演じるのは、名女優のジュディ・デンチ。ブランシェットがシーバを演じ、それぞれ第79回アカデミー賞で主演女優賞、助演女優賞にノミネートされた。またブランシェットは、撮影当時16歳だった生徒役のアンドリュー・シンプソンとのセンシュアルな共演シーンについて、「相手がティーンだから、何度も話し合った。年上のシーバがリードしていくかのように見えて、年下の彼に溺れていくの」と、振り返っている。
落ち目の海洋探検家兼ドキュメンタリー映画監督、スティーブ・ズィスー(ビル・マーレイ)のリベンジをかけた航海を通し、家族の絆の修復を描いたウェス・アンダーソン監督の代表作。ブランシェットは、幻の“ジャガーザメ”を見つけ出すズィスーの航海に同行する雑誌記者で、未婚で不倫相手の子どもを妊娠しているジェーン・ウィンスレット・リチャードソンを演じた。「この役は運命だと思った」と強い思い入れを示す理由は、本作への出演が決まった後、ブランシェット本人も妊娠していることが判明したため。04年4月23日、夫で劇作家のアンドリュー・アプトンとの間に、次男のローマン・ロバートが誕生している。
フェミニズムが芽生えた1970年代のアメリカを舞台に、ERA(男女平等憲法修正条項)をめぐる賛成派・反対派の苛烈な戦いを描いた全9話のドラマシリーズ。性別による役割分担を訴えた保守派政治活動家フィリス・シュラフリーは、ERA成立を阻止するため、「家庭で子を育てることが、女性の幸せ」だと、主婦たちを巻き込んだ反フェミニズム運動を展開する。だが、政治活動で多忙を極め、育児は周囲に任せっきりになり、その有能さが、保守派の男たちに利用されてしまう。“矛盾”の板挟みとなるシュラフリーを演じたブランシェットは、第78回ゴールデングローブ賞の主演女優賞(テレビ部門)にノミネートされた。
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父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
文豪・田山花袋が明治40年に発表した代表作で、日本の私小説の出発点とも言われる「蒲団」を原案に描いた人間ドラマ。物語の舞台を明治から現代の令和に、主人公を小説家から脚本家に置き換えて映画化した。 仕事への情熱を失い、妻のまどかとの関係も冷え切っていた脚本家の竹中時雄は、彼の作品のファンで脚本家を目指しているという若い女性・横山芳美に弟子入りを懇願され、彼女と師弟関係を結ぶ。一緒に仕事をするうちに芳美に物書きとしてのセンスを認め、同時に彼女に対して恋愛感情を抱くようになる時雄。芳美とともにいることで自身も納得する文章が書けるようになり、公私ともに充実していくが、芳美の恋人が上京してくるという話を聞き、嫉妬心と焦燥感に駆られる。 監督は「テイクオーバーゾーン」の山嵜晋平、脚本は「戦争と一人の女」「花腐し」などで共同脚本を手がけた中野太。主人公の時雄役を斉藤陽一郎が務め、芳子役は「ベイビーわるきゅーれ」の秋谷百音、まどか役は片岡礼子がそれぞれ演じた。