【1人のときに読んでください】禁断の“不倫映画”の世界
2020年6月7日 22:00
[映画.com ニュース] 新型コロナウイルスの影響により、おうちで過ごす時間が増えてきた今日このごろ。過去の映画を振り返ろう! と思いつつ、何を見ようか……と迷っている方はいませんか?
そんな映画ファンの皆さんのために、映画.comでは“映画のなかだから許される、不倫を描いた6作品”を紹介。カジュアルなものから切ないもの、人生が狂ってしまったものまで、現実ではご法度なスパイスを楽しんでみてください。
ニューヨークを舞台に、作家志望の青年と一回り年上のパリジェンヌな人妻との恋を描いたロマンティックコメディ。街で見かけた女性アリエルに恋し、アプローチを成功させたブライアン。アリエルが既婚者と知り一度は諦めるも、彼女の提案で不倫関係を結ぶことに。一定のルールを決めた2人だったが、やがてプロポーズを決意したブライアンがルールを破ってしまい……。
「おとなの恋は、まわり道」(2018/監督・脚本)や「猟奇的な彼女 in NY」(08/脚本)などウィットに富んだ恋愛ドラマと得意とするビクター・レビンが監督と脚本を務め、ブライアンを16年6月に急逝したアントン・イェルチン、アリエルを「007 スカイフォール」でボンドガールに抜擢されたベレニス・マーロウが好演。
開始早々10分で不倫関係がスタートする物語。タイトルにもある“5時から7時までの関係”とは、フランス文化圏では不倫を意味する隠語だそう。
そんな関係をすんなりと提案するアリエルの夫もまた愛人持ちで妻の不倫を公認しており、さらにはブライアンを招いて食事をしたりと、不倫というよりもカジュアルな婚外恋愛といったところ。価値観の異なる恋愛を通して成長していくイェルチンの繊細さと、マーロウのチャーミングで自立した女性像がみごとな調和を見せています。
リチャード・ギアとダイアン・レインが共演し、「ナインハーフ」(1986)、「危険な情事」(87)など男女の関係を刺激的に描いてきたエイドリアン・ライン監督がメガホンをとったサスペンスドラマ。
会社経営者の夫エドワード(ギア)と9歳の息子に囲まれ平凡ながらも幸せな生活を送っていた妻のコニー(レイン)は、ある日ブックディーラーの青年ポール(オリビエ・マルティネス)と出会い情事を重ねるように。やがて妻の不倫を知ったエドワードは、苦しみぬいた末にポールに会いに行くが…。
不倫モノって、間男と不倫相手の夫との対面シーンが一番に心臓に悪と思いませんか? 間男が主人公なら後ろめたさで押しつぶされそうになりますし、夫が主人公ならばそれはそれで男としての敗北感がツラい……。
そして、その怒りは一体誰にぶつけたら? 本作では、前半に最愛の妻が事情に溺れていく様子をたっぷり描いた後で、ギアが夫の苦悩を熱演。喜びと背徳の板挟みになるレインのリアルな表情や、不倫のスリルを楽しむマルティネスの間男ぶりも併せてご堪能あれ。
トニー・レオンとマギー・チャンが主演を務め、「恋する惑星」(94)や「ブエノスアイレス」(97)などのウォン・カーウァイ監督&クリストファー・ドイル撮影という黄金タッグで描かれたクラシカルな男女の物語。
時は1962年の香港。新聞社に勤務するチャウと商社で秘書として働くチャンは、それぞれの伴侶と同じアパートに引っ越してきた隣人関係。しかし、互いのパートナー同士が不倫していると知った事から男女として意識し始め……。
不倫された側同士の抑制された恋を、トニー・レオンとマギー・チャンが体現しています。互いに意識しつつも、自制心から踏み込めずすれ違う2人のもどかしさが、全編にわたって美しい映像で描かれています。心を揺さぶられる過激な出来事こそないものの、淡々と描かれるたわいもない会話や触れ合いを通して、切なさやほろ苦さが浮かび上がってきます。
「欲望の翼」(90)や「2046」(04)とも一部の世界観を共有しているので、そちらもぜひ。
近年エンターテインメント作品を連発しているロシア映画にて、エイリアン系SF映画「カリキュレーター」やアクション映画「ラン・スルー・ザ・ナイト」で注目を集めているアンナ・チポフスカヤが、その美貌をフルに活かしたダブル不倫映画。
大学の講師と結婚した女子大生のニーナは、夫の代わりに受けた通訳の仕事で銀行の重役セルゲイと知り合いに。生活が苦しかった夫はある思惑からニーナをセルゲイに接近させるが、やがて2人は愛し合うようになり……。
ひとりの女性が不倫の深みにハマっていく姿を、ストレートに描いた作品です。ダブル不倫の末に一度は距離を置こうとするも、質素な生活を捨て社会的に成功した男性に走るニーナと、妻子を捨て若い女を選ぶセルゲイ。世間の奥様方や旦那様たちからは怨声が聞こえてきそうですが、行つくところまで行きついたニーナの「愛なんてくだらないわ。ただの病気よ」というセリフが印象的です。
昭和の日本を背景に、倦怠期を迎えた夫婦が夫の浮気から試される絆を描いた人間ドラマ。サラリーマン・正二は、通勤仲間だった千代とある日関係を持ってしまい、それ察した妻の昌子は家を出ていってしまう。友人の病死や左遷を機に正二は人生をやり直そうとするが……。
小津安二郎監督がメガホンをとり、正二を池部良、妻・昌子を淡島千景が、そして正二の浮気相手・千代を岸惠子が演じている。
その時は苦しくても、後から振り返ればいい思い出だったと感じる事はあります。20代のころ振り返る受験勉強や、30代のころに思い起こす就職活動、40代になれば仕事のキャリアや子育てなどでしょうか。
人生の秋を50代ごろとするならば、本作で正二が経験するサラリーマン生活や夫婦生活の悲喜こもごもも、“早春”と懐かしめる日が来るのでしょう。小津安二郎監督のシリアスかつあたたか目線には、いつの時代も夫婦は様々なことを乗り越えて成熟していくもの、という思いが伝わってきます。
彼らを諭し、または叱ってくれる人がいるというあたたかさにも、「昭和」の時代を感じます。
太平洋戦争中にベトナムの占領地で出会い、結ばれた富岡(森雅之)とゆき子(高峰秀子)。戦後、ゆき子は富岡のもとを訪れるが、彼には妻がいた。それでも別れられず、ズルズルとした不倫関係を続けながら堕ちていく男女の姿を描く。
妻帯者でありながらゆき子と縁が切れない富岡のダメ男ぶりと、彼を受け入れてしまうゆき子の弱さ。復縁と別れを繰り返しながらじわじわと腐って堕ちていくような関係に、鑑賞後はずっしりとした疲労感を感じます。
それでも、彼らを非難できず羨ましく思ってしまうのは、平凡な幸せよりも毒々しい欲求を求めてしまうわがままでしょうか。時代を経ても色あせない名作です。
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トニー・レオンとアンディ・ラウが「インファナル・アフェア」シリーズ以来、およそ20年ぶりに共演した作品で、1980年代の香港バブル経済時代を舞台に巨額の金融詐欺事件を描いた。 イギリスによる植民地支配の終焉が近づいた1980年代の香港。海外でビジネスに失敗し、身ひとつで香港にやってきた野心家のチン・ヤッインは、悪質な違法取引を通じて香港に足場を築く。チンは80年代株式市場ブームの波に乗り、無一文から資産100億ドルの嘉文世紀グループを立ち上げ、一躍時代の寵児となる。そんなチンの陰謀に狙いを定めた汚職対策独立委員会(ICAC)のエリート捜査官ラウ・カイユンは、15年間の時間をかけ、粘り強くチンの捜査を進めていた。 凄腕詐欺師チン・ヤッイン役をトニー・レオンが、執念の捜査官ラウ・カイユン役をアンディ・ラウがそれぞれ演じる。監督、脚本を「インファナル・アフェア」3部作の脚本を手がけたフェリックス・チョンが務めた。香港で興行ランキング5週連続1位となるなど大ヒットを記録し、香港のアカデミー賞と言われる第42回香港電影金像奨で12部門にノミネートされ、トニー・レオンの主演男優賞など6部門を受賞した。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。