堤真一×石田ゆり子、堤幸彦監督作で初共演! 雫井脩介の傑作「望み」実写映画化
2020年2月28日 11:30

[映画.com ニュース]「クローズド・ノート」「検察側の罪人」の原作者・雫井脩介氏のサスペンス小説「望み」が、堤幸彦監督のメガホンで映画化されることが決定。主人公を演じるのは、堤監督とは初タッグとなる堤真一。堤監督作「悼む人」にも参加した石田ゆり子が共演し、「八日目の蝉」「おおかみこどもの雨と雪」の奥寺佐渡子が脚本を担当する。
2016年に刊行された「望み」は、雫井氏が執筆時に「最も悩み苦しみ抜いた」という渾身の1作。刊行時の読者満足度は100%(ブクログ調べ)を記録し、19年の文庫化後には即重版。累計発行部数は15万部超えるベストセラーとなっている。物語の中心となるのは、裕福な建築家一家の石川家。誰もが羨む理想的な家族だったが、その日常が突如一変する。無断外泊から帰らず、行方が知れない高校生の息子が、殺人事件との関与を疑われた。息子は被害者か、殺人犯か――犯人であっても生きていてほしい母親・貴代美(石田)、被害者であっても息子の無実を信じたい父親・一登(堤)という家族の“望み”が交錯していく。
プロデューサーから企画を持ち込まれた堤監督は映画化を熱望し、主要登場人物のキャスティングと脚本作りに4年の歳月をかけたようだ。特にこだわり抜いたのは、一登が手掛けた自慢の邸宅。1Fに8坪ほどの事務所が併設され、建坪40坪程の広く開放的な石川邸を再現するべく、角川大映スタジオに大規模なセットが組まれた。アイランドキッチン、ダイニングテーブルなどの高級家具を配置したモデルハウスのようなリビングルームと、2つの子ども部屋が建てられ、製作費の中でセットのコストはかなりの割合を占めている。外観は、3カ月かけて20件以上の物件を巡り、東京都青梅市に理想のロケーションが見つけられた。

堤は“ダブル堤”の実現について「毎日現場に入ると監督が、その日の撮影イメージについて丁寧に説明してくださいました。芝居を見てから、シーンのカット割りを決めていくという、現場主義の監督ですね」と述懐。自身の子どもがまだ幼いことから「中高生の子を持つ親の気持ち」「その年頃特有の不安定さ」への理解に不安を覚えたようだが「実際撮影に入ってみると、その中高生の子供たちが自分の子どもとして、とても愛おしく思えたんです。監督が順撮りしてくださったお陰なのですが、家族に一体感が生まれて、無理することなく芝居ができました」と語っている。
石田も堤監督が下した“順撮り”の判断に感謝を示しつつ「(脚本は)辛い中にも透明感というか、優しい光のようなものを感じる素晴らしいものでした。本当に辛い物語なのですが、でもきっと目に見えない大切なことが沢山映っている映画になるのではないかと思っています」と胸中を吐露。また、初共演となった堤に対して「いつかご一緒したいと思っていたのでご一緒できて幸せでした。家族の物語なので、率先してみんなをまとめてくださったり、楽しい話をして、場を和ませてくださったりとてもありがたかったです」と語っている。
堤監督は原作を「息子が事件の被害者となるか加害者となるか、どちらの結末を迎えても惨憺たる結果になるこの物語はミステリーであるだけでなく、設定や行動のディティール、父と母の葛藤とその心理描写の緻密さに圧倒されました」と絶賛。原作者の雫井氏は「『望み』は、父と母の心理描写を軸にして紡いだ作品であり、その心理描写が使えない映像というジャンルでこの物語を活かすことは難しいのではと思っていました。しかし、奥寺佐渡子さんから素晴らしい脚本が上がったことでその不安は消え、シリアスな社会派ドラマを含めた多くの作品を手がけてきた堤幸彦監督が、これをどのようにスクリーンに映し出してくれるかという楽しみが一気にふくらみました」とコメントを寄せている。
「望み」は、1月7日に撮入し、2月11日にクランクアップ。今秋に全国公開される。
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