望み
劇場公開日 2020年10月9日
解説
堤幸彦監督と堤真一が初タッグを組み、雫井脩介の同名ベストセラー小説を映画化したサスペンスドラマ。一級建築士の石川一登と校正者の妻・貴代美は、高校生の息子・規士や中学生の娘・雅とともに、スタイリッシュな高級邸宅で平和に暮らしていた。規士は怪我でサッカー部を辞めて以来、遊び仲間が増え無断外泊することが多くなっていた。ある日、規士が家を出たきり帰ってこなくなり、連絡すら途絶えてしまう。やがて、規士の同級生が殺害されたニュースが流れる。警察によると、規士が事件に関与している可能性が高いという。行方不明となっているのは3人で、そのうち犯人と見られる逃走中の少年は2人。規士が犯人なのか被害者なのかわからない中、犯人であっても息子に生きていてほしい貴代美と、被害者であっても彼の無実を信じたい一登だったが……。貴代美役に「マチネの終わりに」の石田ゆり子。「八日目の蝉」の奥寺佐渡子が脚本を手がけた。
2020年製作/108分/G/日本
配給:KADOKAWA
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2020年9月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
前に「人魚の眠る家」のレビューで「当たり外れの落差が激しい堤幸彦監督」と書いたが、本作は“当たり”だ。まず石川家を演じた堤真一、石田ゆり子、清原果耶がいずれも感情の起伏を大仰になりすぎない範囲で効果的に表現し、観客を引き込み飽きさせない(長男役の岡田健史も悪くないが、出番が少なかった)。
そして、第5の主要キャラクターと呼びたくなるほどの存在感を放つのが、堤演じる建築士・一登が自ら設計した石川邸(外観は実在の家だが、室内はセットを構築)。アイランドキッチン、妻の仕事スペース、2階との行き来が一目瞭然な階段など、開放感あふれるリビングの空間構成は一登の理想の具現化だが、長男の失踪後は3人の食い違う“望み”が衝突する修羅場と化す。
行方不明の身内が殺人犯か犠牲者かという両極端の可能性に翻弄される家族を、マスコミ・ネット・世間が追い込んでいく光景は、悲しいかなこの国の現実を確かに映している。
2022年5月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
タイトル通り、まさに『望み』。
父、母、妹のそれぞれの『望み』が交錯する中、息子が被害者か加害者か、それとも…
被害者・加害者の2択しかない人の表現が家族をより苦しめる。
そもそも望むという行為は、その事件には何の影響も及ぼさない。
つまりこの映画の面白い点は結末だけでなくその心理の全てなのである。
その望みの中身は今が良ければいいのか、この先の人生を考えるのか。
家族の中の立場によってもきっと大きく違うのだろう。
変わらない結末にむしろ望みなんてさっさと捨ててしまった方がいいのではないかとさえ思うが、きっと何も望まないという選択をしたとしても間違えていたと思うのではないだろうか。
どのように望めばよかったのか。
ないはずの正解を探してしまう自分がいた。
2022年5月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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家庭を持って、ある日事件に巻き込まれていく様を観客に追体験させる出だしが上手かったです。切り出しを見付けた時の父親の希望、とにかく息子に生きていて欲しいという母親の希望、怪我がきっかけで次の生き方を模索する息子の希望、がしつこくなく上手く描かれていました。堤監督はかつてドラマでの癖のある演出が特徴でしたが、良い意味で一般向けに進化できて本当に凄いと思いました。主演が堤真一さんで安心して観れますし、ストーリーも無駄が無く完成度の高い映画だと思います。
2022年4月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
原作(読んでいない)がよく出来ているのだろう。短く纏まっている出来の良い映画だと思う。自分達がこの親の状況に置かれたらどうするのか?正直加害者でも被害者でもない第三の可能性が僕の望みだったのだがそのシナリオは早々に葬られた。
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