米Indiewireが選ぶ2019年米公開映画最高の瞬間トップ15
2019年12月28日 12:00

[映画.com ニュース]巨匠マーティン・スコセッシ監督が、第2次大戦後のアメリカ裏社会を生きた無法者たちの生き様を通して、道徳の曖昧さと罪の重さという永遠のテーマを再び追求した「アイリッシュマン」、広大な宇宙を舞台に、人間の存在と生命の神秘について哲学的に問いかける、ジェームズ・グレイ監督の「アド・アストラ」、多種多様な要素を巧みに織り交ぜ、新たなジャンルを創出してみせたポン・ジュノ監督の「パラサイト 半地下の家族」など、バラエティに富んだ傑作映画が数多く誕生した2019年。米IndieWireが、19年に公開された映画15本から特に印象に残った名場面を取り上げ、ランキング方式で発表した。
何十年ぶりかに娘のピアノが奏でられるのを耳にして立ちつくす、クリス・クーパー演じるミスター・ローレンスのリアクションを捉えた切なすぎる瞬間。
宇宙探索中に消息を絶った父を捜しに、太陽系の遥か彼方へと旅立った宇宙飛行士ロイ・マクブライド(ブラッド・ピット)。ストイックで感情を表に出さないロイが、こみ上げる想いを抑えきれずに、「もう一度会いたいよ、父さん」と呼びかけるシーンは、「キャリア史上最高の演技」と絶賛を浴びたピットの名演が観る者の胸に深く突き刺さる。
悲劇的な結末をやり直すべく、主人公が世に解き放った若き“もうひとりの自分”を瑞々しく捉えたモンタージュ。
サフディ兄弟の魔法にかかると、アダム・サンドラー扮する主人公の結腸のクローズアップさえ、気持ち悪いどころか不思議と美しく見えてしまう。
アルコール依存症に苦しむパンクロッカー、ベッキー・サムシング(エリザベス・モス)の波乱万丈な人生を、5つのチャプターで綴る本作の終盤、しらふになったベッキーが、ブライアン・アダムスのヒット曲「ヘヴン」を娘にピアノで弾き語って聴かせる場面。
時に一見たわいのないシーンが、ドラマチックなシーンより深い余韻を残すもの。フランク(ロバート・デ・ニーロ)と娘ペギーによる対照的な2つの朝食場面は、内なる悪魔と葛藤するフランクの苦悩を、さりげない日常の風景を通して鮮明に描き出す。
銃の撃鉄を起こし、「俺はリック・ダルトン様だ」と自分に言い聞かせるかのように呟くレオナルド・ディカプリオ……これぞ映画スター!と唸らされる瞬間に、興奮を覚えた観客は少なくないはず。
オープニングからエンディングまで美しく胸を打つシーンの連続だが、最後の最後に新たな視点を導入することで、映画全体を再構築してみせる圧巻のラストは、アルモドバル監督にしか出来ない離れ技。
舞台となる夏至祭の、そして映画そのもののクライマックスを飾るダンス・シークエンス。華やかな美しさと不穏な空気を見事に調和させた振り付け、主人公ダニーの困惑から喜び、恐怖へと目まぐるしく移りゆく感情を、台詞なしで表現したフローレンス・ピューの演技ともに完璧。
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