松岡茉優、突出した演技力と揺らぐことなき使命感 TIFFアンバサダーにも意欲満々
2018年10月22日 15:00
[映画.com ニュース] 日本映画界の若手を代表する女優・松岡茉優が、第31回東京国際映画祭(10月25日~11月3日)のアンバサダーに就任した。昨年の同映画祭では、主演作「勝手にふるえてろ」がコンペティション部門に選出され、観客賞を受賞。さらに松岡本人も才能あふれる若手俳優を称える「東京ジェムストーン賞」に輝いている。今年は出演作「万引き家族」(是枝裕和監督)が、第71回カンヌ国際映画祭で最高賞となるパルムドールを獲得する快挙を成し遂げた。一回りも二回りも大きく成長して東京国際映画祭に“凱旋”する松岡に、話を聞いた。(取材・文/大塚史貴、写真/間庭裕基)
今年も八面六臂の活躍を見せている松岡。年初は「万引き家族」の撮影、3月からは三谷幸喜が演出を手がけた舞台「江戸は燃えているか」に出演し、瑞々しい演技を披露したことは記憶に新しい。怒涛の日々であったことは想像に難くなく、「23年間で最も濃密でした。昨年の東京国際映画祭の後から『万引き家族』の撮影に入り、三谷幸喜さんの舞台にも出演がかないました。お仕事をご一緒したいと願い続けてきた憧れの方々と過ごせましたが、実現するのはもっと遠い未来だと思っていました」と頬を緩める。
これまで、あらゆる現場で“良いもの”を貪欲に吸収し続けてきた松岡だが、現在もその真摯な姿勢に変化はない。昨年の東京映画祭で体感したことが忘れられないようで、「いろいろな国の方々、それも老若男女を問わず交流することが出来て、映画って本当に国境を越えるんだなと思いました。その中で、私の中に芽生えたのは“世界へ飛び立ちたい”ではなく、“日本の映画をもっともっと元気にしたい”という思いでした」と熱を帯びる。さらに、「映画祭を訪れるファンの皆さまには、もっともっと日本映画を楽しんでもらいたいです。私は、せっかく日本人に生まれてきたのだから、もっと日本の映画を知りたい、もっと日本に根付いていきたい、日本を知りたいと思いました。今年にいたっては(特集上映される)湯浅政明監督の『夜明け告げるルーのうた』をスクリーンでもう一度見たいですし、『パンとバスと2度目のハツコイ』の今泉力哉監督の新作を誰よりも早く見たいですし、役所広司さんの特集上映も楽しみで仕方ないです!」と見どころを矢継ぎ早に挙げていく。
ましてや、是枝監督や9月15日に逝去した樹木希林さん、共演したリリー・フランキー、安藤サクラと対峙し、大きな財産となった「万引き家族」も、今回の映画祭のJapan Now部門で上映が決定しており、既にチケットは完売している。「私の今後の転機となるであろう作品を上映していただけるタイミングで、アンバサダーを務めさせていただける、東京国際映画祭に戻ってこられるというのは、とても嬉しいです」。
是枝監督からは、生涯忘れることのできない言葉を投げかけられたという。「聞かなかったことにしたいくらいですが、是枝さんが『樹木さん、サクラさんと若い松岡さんを共演させられて良かった』とおっしゃってくださいました。重たい、ありがたい、身に余る言葉なのですが、きっとサクラさんみたいに、いずれは希林さんみたいになってね…ということだと思うんです。ただただ、嬉しかった。繋いでいかなくちゃいけないと改めて思いました」。
そしてまた、是枝組にとって常連俳優であったという以上に大きな存在だった樹木さんを失った事実を厳粛に受け止めている。「サンセバスチャン国際映画祭で生涯功労賞を授与されてしまうような是枝さんが、希林さんとは俳優と監督の垣根を越えて存在していたと話しているのを見て、私は是枝さんを支えたいと思いました。親子ほど年齢が離れているけれど、私は是枝さんを支えるひとつになりたい。希林さんという大きな柱を失ってしまったかもしれない。柱の中の魂がそこにはないとしても、周囲でサクラさん、リリーさん、私たちが手を添えていかなければならない」と、瞬きするのを忘れるほどの集中力で話し続ける。さらに、「私が40代、50代になる頃の、次世代の是枝監督のような存在にとって、希林さんのような存在でありたいです。私は真ん中でどうにかしたいのではなく、誰かを支えたいという性質のもとに生まれてきた。やっぱり誰かを支えているときにこそ、一番生きていると思うんです。誰かのためになれるような人にならなければという使命感。そう、希林さんが亡くなって悲しいし、寂しい。でもそれ以上に、いまは使命感が生まれています」と揺らぐことのない誓いを立てた。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
【推しの子】 The Final Act NEW
【忖度なし本音レビュー】原作ガチファン&原作未見が観たら…想像以上の“観るべき良作”だった――!
提供:東映
物語が超・面白い! NEW
大物マフィアが左遷され、独自に犯罪組織を設立…どうなる!? 年末年始にオススメ“大絶品”
提供:Paramount+
外道の歌 NEW
強姦、児童虐待殺人、一家洗脳殺人…地上波では絶対に流せない“狂刺激作”【鑑賞は自己責任で】
提供:DMM TV
全「ロード・オブ・ザ・リング」ファン必見の超重要作 NEW
【伝説的一作】ファン大歓喜、大興奮、大満足――あれもこれも登場し、感動すら覚える極上体験
提供:ワーナー・ブラザース映画
ライオン・キング ムファサ
【全世界史上最高ヒット“エンタメの王”】この“超実写”は何がすごい? 魂揺さぶる究極映画体験!
提供:ディズニー
ハンパない中毒性の刺激作
【人生の楽しみが一個、増えた】ほかでは絶対に味わえない“尖った映画”…期間限定で公開中
提供:ローソンエンタテインメント
【衝撃】映画を500円で観る“裏ワザ”
【知って得する】「2000円は高い」というあなただけに…“超安くなる裏ワザ”こっそり教えます
提供:KDDI
モアナと伝説の海2
【モアナが歴代No.1の人が観てきた】神曲揃いで超刺さった!!超オススメだからぜひ、ぜひ観て!!
提供:ディズニー
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。