深田晃司&砂田麻美「ハッピーエンド」を読み解くカギはSNSと日本?
2018年3月12日 13:00

[映画.com ニュース] ミヒャエル・ハネケ監督の最新作「ハッピーエンド」の公開を記念し3月11日、都内で過去作「愛、アムール」の特別上映会が開催。深田晃司監督(「淵に立つ」「海を駆ける」)と砂田麻美監督(「エンディングノート」)がゲストとして登壇し、映画監督の視点から、ハネケ作品の魅力を読み解いた。
「愛、アムール」は、病におかされた老夫婦の姿を描き、第85回アカデミー賞では外国語映画賞に輝いた。対して「ハッピーエンド」は、難民が多く暮らすフランス北部の町カレーを舞台に、裕福な3世代の家族が、次第に崩壊していくさまをハネケ監督らしいシニカルな目線で紡いでいく。フランス映画界を代表する大女優のイザベル・ユペール、「愛、アムール」に主演したジャン=ルイ・トランティニャン、マチュー・カソビッツら実力派俳優が顔をそろえた。
深田監督は、「ハッピーエンド」でトランティニャン演じる85歳の祖父と、物語のカギを握る13歳の孫娘の関係性を例に「登場人物の関係性を細かく見せることで、観客にいろいろなことを想像させるのがハネケ監督のうまさであり、持ち味」と分析。物語の背景には、SNSの浸透があり「SNSによって、人生が断片化している現代社会をスクリーンに移し換えている。登場人物の断片的なエピソードを意図的に回収せず、そこから何かを考えさせる。FacebookやTwitterのタイムラインに近いなと思った」と話していた。
一方、砂田監督は劇中で孫娘が「I LOVE JAPAN」とプリントされたTシャツを着ていることに言及し「ハネケ監督のことだから、偶然であるはずがない」と推測。ハネケ監督はインタビューで、日本で起きた少女による母親薬殺未遂事件からインスピレーションを受けたと認めており、深田監督も「たとえ作家性が強い監督でも、映画はスタッフとの集団創作なので、脚本を読みこんだ衣装部が持ち込んだのかな……」と“日本モチーフ”のTシャツに想像を膨らませた。その上で、砂田監督は「被写体との距離、背景、色、セリフのタイミングや音楽。すべてが“正確”なのが、ハネケ作品の魅力」と語った。
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