淵に立つ

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解説

「歓待」「ほとりの朔子」などで世界的注目を集める深田晃司監督が浅野忠信主演でメガホンをとり、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞した人間ドラマ。下町で小さな金属加工工場を営みながら平穏な暮らしを送っていた夫婦とその娘の前に、夫の昔の知人である前科者の男が現われる。奇妙な共同生活を送りはじめる彼らだったが、やがて男は残酷な爪痕を残して姿を消す。8年後、夫婦は皮肉な巡り合わせから男の消息をつかむ。しかし、そのことによって夫婦が互いに心の奥底に抱えてきた秘密があぶり出されていく。静かな狂気を秘める主人公を浅野が熱演し、彼の存在に翻弄される夫婦を「希望の国」「アキレスと亀」の筒井真理子と「マイ・バック・ページ」の古舘寛治がそれぞれ演じた。

2016年製作/119分/G/日本・フランス合作
配給:エレファントハウス

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
脚本
深田晃司
プロデューサー
新村裕
澤田正道
エグゼクティブプロデューサー
福嶋更一郎
大山義人
制作プロデューサー
戸山剛
企画プロデューサー
米満一正
ラインプロデューサー
南陽
撮影
根岸憲一
録音
吉方淳二
効果
吉方淳二
美術
鈴木健介
スタイリスト
村島恵子
サウンドデザイナー
オリビエ・ゴワナール
音楽
小野川浩幸
主題歌
HARUHI
全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第69回 カンヌ国際映画祭(2016年)

受賞

ある視点部門
ある視点部門 審査員賞 深田晃司

出品

ある視点部門
出品作品 深田晃司
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(C)2016映画「淵に立つ」製作委員会/COMME DES CINEMA

映画レビュー

4.5家族という名の迷宮からの脱出

村山章さん
2017年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

知的

世界共通かは知らないが、家族というのは仲良く助け合う、愛と慈しみに溢れた状態が理想とされている。自分自身の経験からも、家族は呪われた呪縛のようでもあるが、同時に心が安らいだり支えてくれたりするものだと思ってきた。

が、『淵に立つ』が提示するのは、そんな常識が通用しない家族の姿だ。家族同士が憎み合ったり崩壊したりする話も世の中にゴマンとあるが、そのどれとも似ていない。なぜなら、そもそも家族はこうあるべきという概念が、この映画にはサッパリ感じられないのだ。

家族という形態に向けた不信感のようなものは、深田監督の多くの作品に共通しているが、常識的な倫理観をハナから受け付けないこの映画は、とても「自由」だし刺激的だ。

普通に共感しづらい物語やキャラクターを、みごとに演じてみせた役者陣も素晴らしいし、ちゃんと自分のビジョンを貫き通した深田監督の作家性にも拍手をおくりたい。

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村山章

5.0対立する概念が混然とよどむ淵に私たちは立っている

2016年11月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

説明過多になりがちな日本の商業映画のなかにあって、台詞や表情の控え目なニュアンスで、過去の出来事や人間関係の情報を小出しにする深田晃司監督(脚本も兼ねる)の姿勢が好ましい。観客のリテラシーへの信頼が伝わるからだ。

罪の贖い。過去からの復讐。過ちと罰。宗教観にもかかわる深遠なテーマを、淡々と提示していく。わかりやすい答えを出そうとはしない。宗教だけに限定される話ではなく、“人の業”を考えさせる切実な内容だ。

浅野忠信の浮き世離れした存在感がはまっているのは、近作の「岸辺の旅」などと同様。彼がまとう服の色(白黒から赤へ)の象徴性も、シンプルだが効果的だ。

映像表現の点では、ゆっくりのズームインと音響の繊細な制御が連動した印象的なショットがいくつか。

生と死、加害者と被害者、罪と罰、破滅と再生。一見対立しそうなものたちが混然とよどむ淵に、いまも私たちが立っていることを教えてくれる。

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高森 郁哉

4.0セリフをそぎ落とした、カットの間もいい

2020年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

一人娘をもつ平穏な家族の中に、ムショ帰りのひとりの男が住み始めて、痛ましい傷跡を残して去っていき、その後の家族の成り行きを描く。

多くを語らないセリフ、映像の間、画角いずれも意図を感じられて、引き込まれる。

浅野忠信、筒井真理子といった俳優の演技も卓越しているけれど、その演技も含めて、不気味なひとつの世界観に統一されているところが監督の手腕を感じる。

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菜野 灯

4.0映る家族

llさん
2020年6月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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