「彼女がその名を知らない鳥たち」トロント映画祭出品決定!本ポスターも公開
2017年8月16日 08:00
[映画.com ニュース] 蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊が顔をそろえた「彼女がその名を知らない鳥たち」が、9月7日からカナダで開幕する第42回トロント国際映画祭のコンテンポラリー・ワールド・シネマ部門に出品されることがわかった。本映画祭がワールドプレミアとなる。合わせて、「あなたはこれを愛と呼べるか」という鮮烈なキャッチコピーが踊る本ポスターも公開された。
「凶悪」「孤狼の血」の白石和彌監督が、吉高由里子主演作「ユリゴコロ」(9月23日公開)の原作を手がけた沼田まほかる氏の人気小説を映画化。金も地位もない15歳上の男・陣治(阿部)と同棲中の十和子(蒼井)は、8年前に別れた恋人・黒崎(竹野内)のことが忘れられず、黒崎の面影がある妻子持ちの男・水島(松坂)と関係を持ってしまう。ある日、黒崎が行方不明であることを告げられた十和子は、事件に陣治が関係しているのではないかという疑いを抱く。
本作が出品されるコンテンポラリー・ワールド・シネマ部門は、「世界的な視野と注目すべきストーリー性を持つ作品」をセレクションするもの。過去には、河瀬直美監督の「あん」、染谷将太と前田敦子の共演作「さよなら歌舞伎町」などが出品された部門となる。今回の発表を受け、蒼井は「選んでいただけて、うれしいです。あの不快な登場人物たちが紡ぐ愛の物語が、どのように受け止められるのか、とても興味深いです。人でなしか、ろくでなししか出てこない映画ですが、最後の景色を見ていただけたらと思います」、阿部は「『共感度0%不快度100%』を海外に持って行く! カッコイイです! この作品を外国の方々がどう評価するのかすごく楽しみです!」と喜びの声を寄せている。
映画祭への参加を予定している白石監督は「世界中の映画ファンが集まるトロント国際映画祭で第1歩を踏み出せることにとても興奮しています。この映画で描かれる愛の形が多様な人種や宗教の中でどう受け止められるのか興味深いですが、きっと、そのあらゆるものを飛び越えて人々の心の奥底に突き刺さってくれることと信じています」と決意をみなぎらせている。
トロント国際映画祭のインターナショナルプログラマーであるジョバンナ・フルビは「極端な片思いを描いた『彼女がその名を知らない鳥たち』は、ジャンルの定義に決してとらわれないユニークな作品だ。スリラーからメロドラマへと揺さぶられ、不道徳な行いと渦巻く感情の乱れの描写を得意とするブライアン・デ・パルマやパク・チャヌクを彷彿(ほうふつ)させる。沼田まほかるの原作小説を魅力的に映画化し、とりわけ蒼井優のパワフルなパフォーマンスが際立っている。心をつかまれるストーリーテリングは、美しくも冷酷な演出に絶妙にマッチしている。エロスと喪失、そして欲望について、強烈な絶望感をもって語りつくした白石和彌の最新作は、罪深い情熱の暗い迷路の中へと観客を連れて行ってくれるだろう」と絶賛している。
「彼女がその名を知らない鳥たち」は、10月28日から全国公開。