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桃井かおり、悲願の毎日映画コンクール・田中絹代賞「明日事故に遭っても未練ない」

2016年2月16日 23:05

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受賞を喜ぶ桃井かおりと塚本晋也監督
受賞を喜ぶ桃井かおりと塚本晋也監督

[映画.com ニュース] 第70回毎日映画コンクールの表彰式が2月16日、ミューゼ川崎シンフォニーホールで行われた。作品賞に当たる日本映画大賞は橋口亮輔監督の「恋人たち」に輝いたほか、昨年の日本映画界を彩ったスターが顔をそろえた。

橋口監督は、前作「ぐるりのこと。」が2008年に日本映画優秀賞を受賞。その年の大賞は「おくりびと」で、「滝田洋二郎監督に『すいません、大賞もらっちゃって』と言われ、いいですよと返したが内心はすごく悔しかった。誰もがあこがれる賞なんです。低予算で無名の俳優が8割の作品が、その年を代表する作品になるとは夢にも思っていなかった」と喜びをかみしめた。

会場入りの際にはスタッフから「整理券をもらって並んでください」と言われ、「受賞者ですと言ったら、2度聞き返されちゃいました」とおどけたが、ワークショップからオーディションで主演に抜てきした篠原篤成嶋瞳子池田良の3人をはじめ録音賞の小川武氏らスタッフがステージに上がると破顔。「日本映画を作るのも公開するのも厳しい状況の中、賞が何よりの励みになるというスタッフは多いんです」と新たな意欲を見せていた。

第2次世界大戦のフィリピン戦線の惨劇を描いた「野火」で、史上初となる監督賞と男優主演賞のダブル受賞となった塚本晋也監督は、「戦争に行った方が少なくなり、同時に戦争に向かっている現状に危機感と恐れを抱き無理やり作りました。終戦70年の公開になったのはたまたまですが、受賞に意義を感じています」と力説。だが、男優主演賞に関しては「すいません。申し訳ない。ごめんなさい。今も実感が沸かない。他の思っていたことは大概できたけれど、主役だけ残念です」と恐縮しきりだった。

海街diary」は、綾瀬はるかが女優主演賞、長澤まさみが同助演賞と4姉妹の長女と次女がそろい踏み。先に受賞した長澤は「どうしても長女と次女がケンカするシーンが多くなったけれど、綾瀬さんがいつも柔らかく強く受け止めてくれたので成立しました」と感謝。対する綾瀬も、「まさみちゃんは、皆をまとめてくれた。皆かわいらしくて、3人がいたから演じやすかった」と夏帆広瀬すずも加えた妹たちを称えていた。

往年の名女優・田中絹代さんを称えて設立された田中絹代賞に輝いた桃井かおりは、1997年に「東京夜曲」などで女優主演賞を受賞した際、「次は田中絹代賞」と狙いを定めていただけに、悲願の戴冠に「長くやってきたかいがあった。とうとう頂いたと田中さんに報告して、バカ笑いしてもらいたい」と大喜び。監督第2作「火 Hee」などが出品されたベルリン国際映画祭に参加していたが、「どうしても欲しかった」とこの日朝に帰国し、「一生に一度だから、運を使い切ったかもしれない。でも明日、交通事故に遭ってもたいした未練はないから」と“桃井節”で大喜びしていた。

「ソロモンの偽証」前・後篇に役名でデビューし、スポニチグランプリ新人賞を射止めた藤野涼子は、クランクイン前に成島出監督から見るように言われた「キューポラのある街」に影響を受け、「吉永小百合さんのような演技ができるのが目標です」と宣言。「トイレのピエタ」で俳優デビューしたロックバンド「RADWIMPS」のボーカル・野田洋次郎も同新人賞に輝き、「監督とはケンカもしたけれど、1年間準備して気持ちを重ねていけた。こんな素晴らしい場所に立たせてもらい、どうしていいか分からないけれどうれしい」と、祝福に駆け付けた松永大司監督と喜びを分かち合った。

他に、27年ぶりの「母を暮せば」で男優助演賞の加藤健一、「TSUTAYA映画ファン賞」の日本映画部門に選ばれた「幕が上がる」に主演した「ももいろクローバーZ」らが出席し、華を添えた。

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