二宮和也、キネ旬ベスト・テン主演男優賞に輝き「責務を果たせた」
2016年2月13日 21:48
第89回キネマ旬報ベスト・テンの表彰式が2月13日、都内で行われた。主演男優賞を獲得したのは、「母と暮せば」で霊となって母のもとに現れる息子を演じた二宮和也。「自分がこの映画に出演することの役割は、僕を日ごろ応援してくれる若い人たちに、戦争を学んで頂くきっかけになること」といい、「ちょっとでもその責務を果たせたことで、この素晴らしい賞を頂けたと思っています」と謙虚に謝意を示していた。
第68回仏カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の監督賞を受賞した「岸辺の旅」の深津絵里は、主演女優賞を戴冠。共演した浅野忠信に敬意を表し、「浅野さんと一緒でなければ、あのような空気感や繊細な表現につながらなかったと思います。浅野さんの底知れぬお力のおかげで賞を頂けたと思っています。これからも日本映画に関われるように、背筋をシャンと伸ばして頑張りたい」と晴れやかな笑顔を見せた。
日本映画監督賞、日本映画脚本賞、日本映画ベスト・テン第1位の3冠を達成した「恋人たち」の橋口亮輔監督は、「キネマ旬報の賞は、映画人であれば一生に一回はとりたいと願ってやまない。受賞できて嬉しく思っています」と喜びを語る。同作で強烈なインパクトを残した篠原篤が新人男優賞を受賞しているだけに、橋口監督は「この映画の中から、1人でも2人でも世の中に出て行くような俳優を輩出することが役割だと思っていた。篤がとって嬉しいし、自分の役割を果たせたと思います」と胸を張った。
そんな篠原は約5キロのトロフィーを授与され、その重さのため取り落としそうになるひと幕も。「芝居の才能が何ひとつないと思いながら、うだつのあがらない20代でした。30代には出来る限りのことをやろうとしましたが、チャンスがなく俳優を辞める才能もありませんでした」と苦労した時期に思いを馳せ、「今日のような日を夢にも思っていなかった。諦めずに続けてきてよかった」と感無量の面持ち。そして「橋口監督はアツシという役を僕以上に信じ、たくさんの力を与えてくださり、支えてくださいました。今日まで、僕のような者を誇りに思い続けてくれた家族や仲間たちと、この喜びを分かち合いたい。この場を借りて、感謝申し上げます」と深々と頭を下げると、会場を大きな拍手が包み込んでいた。
約7年ぶりとなる銀幕復帰作「日本のいちばん長い日」「天空の蜂」で助演男優賞に輝いた本木雅弘は、「私は光石研さんと競り合い、ギリギリ額ひとつ分飛び出したということで、なんとか賞を頂けたということです」と説明。それでも、「光石さんのように、達者で味わいのある方と競えたということだけで、すでに誇りに思います」としみじみと話した。
「海街diary」で抜群の透明感を発揮し、綾瀬はるから先輩たちに比肩する評価を得た広瀬すずは新人女優賞に。「是枝裕和監督やお姉ちゃんたちに出会えたことが、自分の人生にとってとても大きかったと毎日改めて思います。これからもいろんな映画に染まれるように、お姉ちゃんたちの背中を見て頑張ります」と意気込んでいた。
川本三郎
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