沖縄 うりずんの雨
劇場公開日:2015年6月20日
解説
「映画 日本国憲法」のアメリカ人監督ジャン・ユンカーマンが、太平洋戦争で多大な犠牲を払い、戦後70年を経た現在も平和を求めて不屈の戦いを続ける沖縄の人々にスポットを当てたドキュメンタリー。当時の戦場で向き合った元アメリカ兵と元日本兵、沖縄住民の証言を中心に、アメリカの国立公文書館に所蔵された資料映像などを交えながら、12週間の地上戦で4人に1人の住民が命を落とした沖縄戦の真実に迫る。さらに、現在にいたるまで米軍基地をめぐる負担を日米両国から強いられ続けてきた沖縄の差別と抑圧の歴史をたどり、住民たちが抱える怒りと失望の根源を探っていく。
2015年製作/148分/日本
配給:シグロ
スタッフ・キャスト
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2016年8月2日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
おきなわなのか、それともオキナワか、いや沖縄かもしれない。
違う、そこはOKINAWAだ。
琉球。
彼の地をどのように呼ぼうともそれはどうでもいい。
かの地に、都合のいい同一性と、これもまた都合のいい差異を押し付けてきた結果、彼の地の声が多様であるということをついに忘れてしまった我々がいる。そのことに気づくだけで十分なのか。
沖縄のこと全然知らなかったんだと日本人として自分が恥ずかしくなった。
戦後70年と言われているけれど、沖縄の戦争はある意味まだ続いていることに気づかされた。
戦時中のカラー映像が残っていることにも驚かされた。死体も結構映っているけれど、これが実際に起きたことなんだ!ちゃんと向き合え!と言われている気がして、目をそらさずにちゃんと見ようと思った。
一方の側からではなく、日本とアメリカ双方の取材をしているところもよかった。
2015年7月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
この映画はペリー提督が沖縄に来たことから始まる。
ペリーはこの島の地域的な優位性をみて、沖縄の重要性を感じとっていた。ということから見て、アメリカと沖縄の対立、専従の歴史のように見えるが、ほんとうの意味で陰湿なのは日本政府だろう。
沖縄返還のとき、沖縄のひとは喜んだ。
基地もない、核もない、すばらしい日本国憲法がある、経済発展も著しい日本に帰れるのだ!
戦争のとき、本土決戦が行われ4分の1の沖縄人が亡くなった。
そのあともアメリカに占領され、日本人でもアメリカ人でもない流浪人となった沖縄にひと。
ところが、その返還は基地付き、地位協定という法律による治外法権であった。だから、人が殺されようが乱暴されようが日本の法律では裁けないのだ。さらにおもいやり予算なんてものもある。
こんな植民地とかわらない生活を送っているのだ。
同じ日本人として恥ずかしく思う。
ただ、この映画が日米対沖縄という構図だけで終わらないものがあった。それは日本人をレイプして、いまアメリカの田舎にいる黒人男性
のことだ。よくインタビューに応じたものだと感じると同時に、彼の
痛恨の懺悔はほんとうに考えさせるものがあったのだ。
治外法権のなかの米兵の傲慢さが、彼を狂気に走らせた。
女性は許してくれないだろう。地獄に落ちるに決まっている。
教会にいっても、自分は救われることはないだろうと思っている。
そうやっていつも自分を責め続けているという。
彼を狂気に走らせたと言ったけれども、自分がそういうシチュエーションに置かれたら、彼を同じことをしたのではないか?
そんなことも感じさせるほどの緊張感があった。
アメリカ兵が女性兵士をレイプする例はいくらでもあるのだから。
アメリカ兵はチョコレートくれたり、笑顔でフレンドリーに見えた。
でも、極限に追い込まれたとき別の顔を見せるのだ。
それは、元兵隊の現在の紳士が言った。
「人間は戦いを望むものだ」と同じように「人間の性欲は本能であると同時に時に狂わせるのだ」
それなら、どうしたらいいんだろう?
僕は思う。人間を狂気に追い込む状況をつくらない。
そう、その典型である戦争を断固拒否すべきだと強く感じるのだった。
2015年6月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
清々しいほどに観客の知性を信じた作品。
煽らない。
話されている内容を考えれば、
容易に激情が流れ込むだろうと想像されるのだが、
映像も言葉も抑制的ですらある。
監督の人となりが成せる技なのだろうか、
鋼のような意志だ。
沖縄戦、アメリカ占領、
基地を残されたままの日本復帰から現在。
時間をかけて映し出される占領下の映像と
当時の証言を観ながら、沖縄が語られる多くの場合、
この占領時代が宙に浮いていたな、とふと思う。
沖縄戦から今に至る不正義の土台が、
占領に光を当てることで見えてくるな、と。