劇場公開日 2015年6月20日

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「差別とは」沖縄 うりずんの雨 xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0差別とは

2015年7月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

この映画はペリー提督が沖縄に来たことから始まる。
ペリーはこの島の地域的な優位性をみて、沖縄の重要性を感じとっていた。ということから見て、アメリカと沖縄の対立、専従の歴史のように見えるが、ほんとうの意味で陰湿なのは日本政府だろう。
沖縄返還のとき、沖縄のひとは喜んだ。
基地もない、核もない、すばらしい日本国憲法がある、経済発展も著しい日本に帰れるのだ!
戦争のとき、本土決戦が行われ4分の1の沖縄人が亡くなった。
そのあともアメリカに占領され、日本人でもアメリカ人でもない流浪人となった沖縄にひと。
ところが、その返還は基地付き、地位協定という法律による治外法権であった。だから、人が殺されようが乱暴されようが日本の法律では裁けないのだ。さらにおもいやり予算なんてものもある。
こんな植民地とかわらない生活を送っているのだ。
同じ日本人として恥ずかしく思う。
ただ、この映画が日米対沖縄という構図だけで終わらないものがあった。それは日本人をレイプして、いまアメリカの田舎にいる黒人男性
のことだ。よくインタビューに応じたものだと感じると同時に、彼の
痛恨の懺悔はほんとうに考えさせるものがあったのだ。
治外法権のなかの米兵の傲慢さが、彼を狂気に走らせた。
女性は許してくれないだろう。地獄に落ちるに決まっている。
教会にいっても、自分は救われることはないだろうと思っている。
そうやっていつも自分を責め続けているという。
彼を狂気に走らせたと言ったけれども、自分がそういうシチュエーションに置かれたら、彼を同じことをしたのではないか?
そんなことも感じさせるほどの緊張感があった。
アメリカ兵が女性兵士をレイプする例はいくらでもあるのだから。
アメリカ兵はチョコレートくれたり、笑顔でフレンドリーに見えた。
でも、極限に追い込まれたとき別の顔を見せるのだ。
それは、元兵隊の現在の紳士が言った。
「人間は戦いを望むものだ」と同じように「人間の性欲は本能であると同時に時に狂わせるのだ」
それなら、どうしたらいいんだろう?
僕は思う。人間を狂気に追い込む状況をつくらない。
そう、その典型である戦争を断固拒否すべきだと強く感じるのだった。

xtc4241