Fukushima 50

劇場公開日:

Fukushima 50

解説

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故で、未曾有の事態を防ごうと現場に留まり奮闘し続けた人々の知られざる姿を描いたヒューマンドラマ。2011年3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0、最大震度7という日本の観測史上最大となる地震が起こり、太平洋沿岸に押し寄せた巨大津波に飲み込まれた福島第一原発は全電源を喪失する。このままでは原子炉の冷却装置が動かず、炉心溶融(メルトダウン)によって想像を絶する被害がもたらされることは明らかで、それを防ごうと、伊崎利夫をはじめとする現場作業員や所長の吉田昌郎らは奔走するが……。現場の最前線で指揮をとる伊崎に佐藤浩市、吉田所長に渡辺謙という日本映画界を代表する2人の俳優を筆頭に、吉岡秀隆、安田成美ら豪華俳優陣が結集。「沈まぬ太陽」「空母いぶき」などの大作を手がけてきた若松節朗監督がメガホンをとった。第44回日本アカデミー賞で最優秀監督賞や最優秀助演男優賞(渡辺謙)などを受賞した。

2020年製作/122分/G/日本
配給:松竹、KADOKAWA
劇場公開日:2020年3月6日

スタッフ・キャスト

監督
原作
門田隆将
脚本
前川洋一
製作代表
角川歴彦
エグゼクティブプロデューサー
井上伸一郎
製作
堀内大示
大角正
布施信夫
井戸義郎
丸山伸一
安部順一
五阿弥宏安
飯塚浩彦
柴田建哉
岡畠鉄也
五十嵐淳之
企画
水上繁雄
企画プロデュース
椿宜和
プロデューサー
二宮直彦
撮影
江原祥二
照明
杉本崇
録音
鶴巻仁
美術
瀬下幸治
衣装
加藤哲也
へアメイク
齋藤恵理子
サウンドデザイナー
柴崎憲治
編集
廣志良
音楽
岩代太郎
演奏
五嶋龍
長谷川陽子
東京フィルハーモニー交響楽団
特撮
三池敏夫
VFX監督
三池敏夫
スクリプター
幸縁栄子
キャスティング
椛澤節子
技術指導
平野勝昭
ラインプロデューサー
梶川信幸
音楽プロデューサー
小野寺重之
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受賞歴

第44回 日本アカデミー賞(2021年)

受賞

最優秀監督賞 若松節朗
最優秀助演男優賞 渡辺謙

ノミネート

最優秀作品賞  
最優秀脚本賞 前川洋一
最優秀主演男優賞 佐藤浩市
最優秀助演女優賞 安田成美
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映画レビュー

3.5現場の人間を見つめる作品

2020年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

この作品を鑑賞する際には、まず作り手がどのポジションから原発事故を描いているのかを確認する必要があるだろう。本作は徹底的に東日本大震災が起きてからの福島原発の現場にフォーカスしている。原発事故が起きる以前にどんな対応や予算が組まれていたのかなど、原子力政策全体を俯瞰して語るポジションを採用していないし、事故当時の官邸側にも立っていない。一本の映画で全てを語ることは不可能だ。だから、この映画は徹底して現場を見つめるという選択をしている。あの現場がどのような混乱の中で、誰がどのような決断を迫られたのか、混沌した状況がよく描かれている。組織のあり方やリーダーの指導力などについても考えさせられる作品だ。
これを観て改めて思うのは、原発が一度制御不能になれば、人間にコントロールするのは難しいのだと言うこと。コントロールできない力を使い続けることを良しとするのか、そういうことを訴えかける作品ではないか。

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杉本穂高

4.0日本人としてずっと対峙し続けなければならない映画

2020年3月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原発問題は何ら収束していない。私が本作と向き合う時、自身が一体どのような感情へいざなわれるのか、恐ろしくさえあった。いちばん避けたいのは、何か安易な感動に涙して、そこで示された着地点に満足してしまうこと。そうなったならばもうおしまいだと思った。自分も。この映画も。ただ本作はそのようなものではなかったと思う。

9年前、TV中継を目にする私は、あそこに命がけの人々がいることを知りながら、頭でその意味を理解するのを避けていたように思う。本作は等身大の人間の行動や感情を突きつけ、同じ血の通った人々が身を投じていたことを改めて伝えてくれる。見ていて怖かったし、結果が分かっているのに震えた。もちろんこれは状況のほんの欠片に過ぎない。他にも様々な立場の方々がいらっしゃるし、本作についても様々な感想や指摘があるはず。我々は今後もできる限り「知りたい」と求め続けねばならない。そう強く感じさせる一作だった。

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牛津厚信

5.0素晴らしい!

2024年8月16日
Androidアプリから投稿

2回目。
また さくじよされたので
三度目の正直、
☆☆☆☆☆、満点を献呈します
どこかの誰かさん
ご苦労さまです。

たくさんコメント下さっていた皆さんごめんなさい。

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きりん

3.0「戦い抜いた人々の記録」として重たい一本

2024年8月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
「全身防護服の遺影か?」
「運転員らしくて、いいじゃないですか。」

東日本大震災に起因する、いわゆる「エフイチ」(福島第一原子力発電所)の事故を描いた作品ということですけれども。

電気を作っているところ(発電所)なのに、そこの電源が喪失してしまうというのは、何やら皮肉な話のようでもありますけれども。結局は「電気を作るためにも、電気が必要」ということになるのでしょう。

いまや官民を問わず、どこのオフィスに行っても、当たり前のように業務には、一人一台体制でパソコン使われていて。
そして、どこのオフィスでも、仕事に必要なデータは、全てパソコンの記憶装置に格納されていることでしょうから、電源喪失でパソコンが使えなければ、仕事にもならないことでしょう。
(充分な能力の自家発電の設備を持っている事業所の方が、むしろ少ないようにも思われます。評論子には。)

日本は資源(エネルギー源)が乏しく、中東諸国のご機嫌伺い(失礼!)をしながら買わなければならない石油に代わる、他国に依存しない「日の丸エネルギー」として、原子力は開発しなければならない技術なのか、それとも(やはり)開けてはいけない「パンドラの箱」なのか。
はたまた、電力需給という公共目的のためには「許された危険」なのか。

福島で作られてはいるが、実は、東京で使われるための電気ということでした。本作によれば。

これまでも、地方は自らの経済を破綻させ、マチを寂(さび)れさせてまで「人」(労働力)を東京に差し出して来たのですけれども。
「地方の悲哀」は、原発事故と、原発事故による直接の被害、そして福島県産の農水産物や福島から避難された方々に対する風評被害にまで現れているのかと思うと、本当に切ない思いがします。

そこまで思いを致すことができた作品として、評論子には、充分な佳作だったと思います。

(追記)
佐藤浩市と並んで主役を張っていた渡辺謙が、印象に残りました。評論子には。
(もちろん、佐藤浩市の影が薄かったという訳では決してありません。)
別作品『沈まぬ太陽』の恩地・国民航空労組執行委員長のように、ストイックな役柄が、今回もハマっていたと思います。

(追記)
原爆症の例があるとおり、放射線障害は今の科学(医学)でも全容が解明されているとは言えません。

それ故に、本作の運転員の方々を始め、当時に作業に当られたエフイチの作業員、消防隊員、自衛隊員の方々の健康に関しては、今(令和6年)でも定期的なモニタリングが行われていることと思いますけれども。

それらの方々に、作業に起因する放射線障害が発現しないことを、祈るような気持ちでいるのは、独り評論子だけではないことと思います。

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talkie