女と男の観覧車

劇場公開日:

女と男の観覧車

解説

ウッディ・アレン監督がケイト・ウィンスレットを主役に迎え、1950年代ニューヨークのコニーアイランドを舞台に、ひと夏の恋に溺れていくひとりの女性の姿を描いたドラマ。コニーアイランドの遊園地内にあるレストランで働いている元女優のジニーは、再婚同士で結ばれた回転木馬操縦係の夫・ハンプティと、ジニーの連れ子である息子のリッチーと3人で、観覧車の見える安い部屋で暮らしている。しかし、ハンプティとの平凡な毎日に失望しているジニーは夫に隠れて、海岸で監視員のアルバイトをしながら劇作家を目指している若い男ミッキーと不倫していた。ミッキーとの未来に夢を見ていたジニーだったが、ギャングと駆け落ちして音信不通になっていたハンプティの娘キャロライナの出現により、すべてが大きく狂い出していく。ウィンスレットが主人公のジニーを演じるほか、ミッキー役を歌手で俳優のジャスティン・ティンバーレイク、ハンプティ役をジム・ベルーシ、キャロライナ役をジュノー・テンプルがそれぞれ演じる。

2017年製作/101分/G/アメリカ
原題または英題:Wonder Wheel
配給:ロングライド
劇場公開日:2018年6月23日

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Photo by Jessica Miglio (C)2017 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.

映画レビュー

4.0映画と演劇の橋渡しをする怪作

2018年6月28日
PCから投稿

悲しい

怖い

映画と演劇は違う表現形態だが、演劇的だからといってダメな映画とは限らないし、演劇的であることで成立する映画もあり得る。そんなことを証明してくれているのが本作。

『ブルー・ジャスミン』同様、テネシー・ウィリアムズが描くようなアメリカ戯曲に目くばせしているのは明らかで、本作ではより直截に演劇的なアプローチを取り入れている。すなわち、ひとつのシーンがまるで演劇の「場」であるように、役者たちが長セリフの応酬をし、決して自然体とは言えない大仰さもある。

ではこれをそのまま舞台劇にしても成立するかはわからない。いや、ケイト・ウィンスレットが放つ腐りかけの色香のようなものは、映像で切り取っているからこそ匂い立つのだと思う。

群像劇の体裁を取ってはいるが、やはりこれはウィンスレット演じるギニーの物語であり、この名もない女性像の内面をかくも恐ろしい人間ドラマに見せるには、演劇的な装置が必須だったように思うのだ。

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村山章

4.0巨匠の心象を映すオレンジ色の夕日

2018年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

笑える

コニーアイランドの観覧車は、回っている途中で突然、レールに乗って左右にスイングしたりして、お客に一瞬のスリルを味合わせてくれる。でも、そんな時間も所詮は回りきった後、何事もなく着地して一件落着。ケイト・ウィンスレットが演じるヒロインも、ままならない人生に苛つきながら、時には思い込みで不倫にのめり込もうが、結局は本来の主婦の姿に戻るしかない。生きていくということは、観覧車に乗ってダメな自分と向き合いながら、終わりに向けてゆっくり進むようなもの。ウディ・アレンの最新作は、いつもの軽妙さを封印し、人間の愚かさを真っ向から描いて深い味わいを残す。白眉は名手、ヴィトリオ・ストラーロのカメラが映すコニーアイランドのオレンシ色の夕日。その黄昏感は、作り手アレンの心象を代弁しているようだ。

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清藤秀人

4.0観たかった度○鑑賞後の満足度◎ 今度はややビターなウディ・アレン。空中では素晴らしい景色が見えるが、最後はもといた場所に戻ってくる観覧車に例えて、何処にも行けない人生のやるせなさを切り取って見せる。

2023年5月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

①ウディ・アレンの演出は『カフェ・ソサイアティ』に続き好調。
②ケイト・ウィンスレットは『タイタニック』の頃と比べると大分老けちゃたなぁ。
でも女優としての実力は格段に凄い。
クライマックスシーンまでは立派なコメディエンヌぶり。
しかし、クライマックスシーンの数分間では、相手としてミッキーが居るのだけれども、殆んどが一人芝居の態でジニーという女を活写してみせる。
最後まで粘り強く撮ったアレンの演出も流石だか、それに応えて一瞬もだれずに演じきったウィンスレットも見事なもの。
舞台での名女優の一人芝居の演技を観ているみたいだった。

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もーさん

4.5情は残るが、黙っていれば、何も起こらない。

2022年6月7日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ