ブレードランナー 2049のレビュー・感想・評価
全611件中、161~180件目を表示
ただの良い人(good joe)が頑張って生き抜いた物語
最高!!
有無も言わせぬ完成度
「ネクサス6型」のレプリカントの暴走から30年。
ある時期に製造禁止されていたレプリカントは世界的な科学者ニアンダーウォレスのその功績と高い技術力によって「ネクサス9型」として生まれ変わっていた。
その「ネクサス9型」にしてブレードランナーを務めるKが請け負った旧型のレプリカントの「解任」を発端に起こる人間とレプリカントの関係が崩れかねない事件を描いたSF映画の金字塔「ブレードランナー」の実に35年ぶりの続編。
2017年最注目の一本。
前作が非常にカルト的な人気が高い為、相当のプレッシャーがかかっていたであろう監督にドゥニヴィルヌーヴ。
主役のレプリカントでブレードランナーのKにライアンゴズリング、そして前作の主役のブレードランナーのリックデッカードにハリソンフォード、製作総指揮に前作の監督リドリースコットと続編を作ることに対する本気度がキャスト陣からも伝わってくる。
正直自分は前作を手放しで傑作だと賞賛できるほど理解できていない。
今作観たさのミーハー心で前作を観たのは否めないし、前作同様に今作で理解できていない箇所は大いにあると思う。
なので続編として良い悪いの意見はハッキリと言えないが、思ったことを挙げていきたいと思う。
まずなんといってと世界観の完成度。
前作が斬新な未来都市を描き、SF映画界に衝撃を与えた話は有名だが、今作はその世界観を受け継ぎながらも、また新しく目を見張るような世界を覗かせる。
Kの恋人のジョイや街中を自由に動き回るバレリーナや娼婦のホログラムや倒産したタイレル社の跡を継いだウォレス社の社内の景観、街を飛び交う個性的なスピナーなどなど。
この有無も言わさぬ世界観に呑まれた。この時点で批判する気持ちは失せた笑。
そして新主人公であるKの心の葛藤。
レプリカントとして生まれ、レプリカントとして死んでいくことを当たり前に考えていたKの頭に突然よぎる自身の出生の秘密。
自分は本当は人間なのではないか、心を、感情を持っているのではないか、希望とも絶望とも取れるような微かな疑惑に翻弄されるKの姿がとてつもなく切ない。
そして終盤に明かされる自身の正体。
葛藤の末、彼が選んだ選択とは。。
と言いつつ後半の彼の心境が読み取れない。
自身の記憶の真偽を悟り、逃亡の末出会ったデッカード、レプリカント解放を掲げる思想団体との出会いを通じて、最後に何を思い彼は行動し、降りしきる雪の中目を閉じたのか。
この辺りの心境がなかなか読み取れなかった。
また論争の火種になりそうなきがする案件笑。
そして実に35年ぶりの登場となったハリソンフォード扮するリックデッカード。
この引き合いを出すのは違うかもしれないが、彼はこの2年前にスターウォーズにてハンソロを実に32年ぶりに演じた。
その活躍っぷりはご覧になった方はご存知のように胸が熱くなった方も多いと思う。
それに対して今作リックデッカード。
予想はしていたがおよそ2時間近くを経過したあたりに待ってましたと言わんばかりの登場。約40分あまりスクリーンにて存在感を放った。
たが、しかし、彼は必要だったか?
ハリソンフォードを否定する気は1mmもないがさすがに彼も歳だ。俊敏なアクションはこなせない。スターウォーズのようにチューイとともにブラスターを放つだけでとてつもなく画になる人ではあるが、今作は余りにもぞんざいな扱いではなかったであろうか。
隠れ家にやってきたKとの交戦は高まったが、ウォレス社の追っ手により隠れ家に放たれた爆風のショックで動くこともままならないままラブによって拘束、子どもの行方を尋問される際に復元されたレイチェルの姿を見せられ目の前で殺害され、再び拘束され輸送される最中にKからの救援を受ける。
言っちゃなんだが最初以外活躍の場がない。
沈没していくスピナーに固定されたまま喘ぐ彼は老人そのものだ。
こんなリックデッカードもといハリソンフォードが観たかったか?だったら話には出すもののその影をチラ見せするくらいの出番で良かったのではなかろうか。
このお粗末なリックデッカードの扱いに自分は少し疑問を感じた。
もちろん前作の役者が再び同役を演じるというものは感慨深いものだ。
しかしそこにはかなりのハードルの高さがある。そのハードルを今作は乗り越えることをしなかった印象を受けた。もちろん今作の主役はKでデッカードがメインではないのは重々承知だが、あれだけ大々的にデッカードの予告を流していたのだからもう少しキャラクターに対してのリスペクトを与えても良かったのではないかと感じた。
だらだら書いてしまったが前作よりもレプリカントの心境に迫った作品だと感じた。
まさにレプリカントと人間の定義を根底から揺るがす話で、テーマがとてつもなく壮大で深い。
前作もそうだが単純に面白い面白くないでくくれる作品ではない。
合う合わないはともかくとして一度は体験しておくべき作品だと思う。
自己満足
最初に解説も下調べもしないで見たんですがあまりにもつまらなくそれでも睡魔と戦いながら最後まで見ました。その後プロレビューの人や他の人が以外と良い評価なので疑問を感じて前作をを見たのですが、全てにおいて前作の方が優れていると感じましたね。監督も前作を今風な世界観に変えて表見しようとしているのが解るのですが、ワンシーン、ワンシーンに完璧を求めすぎているのか、それを見ている人には沈黙が多い上にまた長すぎるので結果その緊張感を維持出来ずに睡魔が襲ってくるはないのでしょうかこれはまさに作る側の自己満足映画そのもの。。それに付き合わされた役者さんやスタッフは大変だったんじゃないですか。主演を比較してもハリソン・フォードとの差が違いすぎて、ハリソンが出て来たら全然違う映画に見えました。やはりハリソンフォードは、改めて凄い俳優だと思いましたね。いろんな映画に出てもその役に完全になりきれるしだからと言って決して強くてかっこいいわけでもないんですけどね。
この映画ものすごい暗い映画なんですが、ハリソンのシーンになると何故か暗く感じないんですよね。根が明るいんでしょうか。私はスターウォーズはハリソンが出ていたからあれだけヒットしたのだと思います。
結論、こんなに作る人が自己満足でつまらない映画久しぶりに見ました。通な人(玄人)には受けるのかもしれませんがもう少し一般の色んな人にも理解出来るように作った方が良いのではないでしょうか。
重みが桁違い
ドゥニ・ビルヌーブ監督は凄いことをやってのけたと思う。前作の、「人間とレプリカントの違い」や、「レプリカントを愛せるのか」などのテーマをより深め、壮大になっている。第一作はこんなに重いテーマだっただろうか。確かに前作の世界観とテーマは歴史に残しても良いくらいのものだったが、本作は感情を奮い立たせるような、自身が体験したことのない思いが込み上げてくるほどの作品になっている。劇場に数回足を運び、その度に胸が一杯になり、それは今もなお体に染み込んでいる。
まず本編でやられたのは、主人公「K」がレプリカントということ。最後に分かる衝撃の事実などではなく、冒頭から明かされることだ。レプリカントの狂暴性を冒頭で描いた前作とは偉い違いだ。ファンはどうしても「デッカートはレプリカントなのか」が気になるところなので、このスタンスには本当にやられた。
そして、その他の登場人物もレプリカントが大半を占めている。ここまで浸透していればレプリカントの在り方も変わっているように思えるが、変わったのは表面的な部分だけであり、心に巣食う差別意識などは何も変わっていない。それでも受け継がれる「愛」があることにとても胸を打たれる。
映画好きにしかオススメできない作品であることに違いないが、このテーマを皆で考えていきたい思いが募った。
傑作の名を汚さぬ正統派続編
もはや伝説化した偉大すぎる傑作の続編が作られると聞いた時、正直期待よりも不安が上回った。停滞感の否めないハリウッドが連発する往年のSFファンに金を落とさせるだけのその場凌ぎの企画は他にも枚挙に暇がない。本作もそうなのではないかと思ったのだ。ましてやブレードランナーが大好きな自分にとって不快な作品にだけはなってくれるなよ、という感情が何より先行していたのだ。
結論から言うと、それは全くの杞憂だった。前作の表面だけをなぞったファンメイド作品でも信者のためのサービス映像でもなく、そのエッセンスを抽出し現代風に再構成した文句なしの“ブレードランナーの続編”だった。
美術面。
もはや時間軸的にもテクノロジー的にも、ブレードランナーの世界に一部は追いつき追い越してしまった現代。どのようなカッコイイ未来世界をデザインしているのかが一番楽しみなところだった。
今更前作の二次創作のようなサイバーパンクを提示されても、それはファンに媚びた歯ごたえのない偽物感が否めないし、だからといってバリバリのオリジナリティを押し出した新しいガジェットデザインを期待していたかというとそうでもない。あの最高にイカしたサイバーパンク世界を現代風に絶妙にチューンしてアップデートしたような世界を自分は期待していたのだ。
その点はまったく裏切られることはなかった。高さがぴったり合った無数の高層ビル、無駄なホログラム広告、多種多様な服装、無駄に沢山あるウイスキー、空飛ぶ車。前作に比べて埃っぽさやガヤガヤ感が薄くなった点は気がかりだったが、でも生活感が削がれたというほどでもなかった。
ドローン大活躍!
都市中心部以外の造形はフォールアウトで見たことある景色が多いなぁ…。
シナリオはまさしく“ブレードランナーの続編”としては満点で「いつか近い未来に問われるであろう生命倫理」を小気味よいテンポのクライムサスペンスとして誰にでもわかりやすいように昇華している。登場人物たちの苦悩や祈りが本当に生々しい。
ただ個人的にひどく気に入らなかったのはエンディングだ。それまで秀作として観れていたのに、ラスト10分で一気に作品としての価値を損なったと感じた。生命倫理という明確な確たる正解のない問いをする作品だからこそ、前作がそうであるように白黒ハッキリとつける終わり方は避けるべきだと思うし、そこにありがちな善悪構造を作ってはならないはずだ。エンディングまでは(レプリカントのメーカーが割とわかりやすい悪役として描かれがちではあったものの)淡々とグレーな世界を苦悩と迷いをもって描かれていたのに、最後はひどく平凡でつまらない
『自分の命を犠牲にしてまでデッカードを助けた主人公と、何故か実の娘ということになっていた記憶創造者の娘と会ってめでたしめでたしの美談』
として閉めたことには強烈な違和感と勿体なさしか感じられない。
時には多少強引なハッピーエンドが似合う作品もあるかもしれないが、ブレードランナーにはまったくもって親和性がない。本当に台無しにされた心地である。
謎に思った部分もある。
本来人間を欺かないはずのジョーがなぜ上司を裏切ったのか。
多少の伏線らしき演出はあったものの、記憶想像者などというレプリカントメーカーの外注先がレプリカントの子供などという設定はあまりに強引で整合性に欠けるようにも感じる。
ジョーにデッカードの子供としての記憶を植え付けたのは誰がどんな目的があって行ったのか。(子供の存在の隠蔽の手段として色々なアンドロイドに施されているのか?)
楽しい作品だったはずなのに、良い思い出にはならなかった本作。作品はいかに終わるかが重要なのだと改めて感じた。
ホログラム嫁のジョイが欲しい。
自我を持ちつつあるAI嫁なんてなかなかおぞましい設定のはずなのだが…。
ブレードランナーと言うタイトルのニセモノ映画
切なさの応酬に涙が止まらない
丸の内ピカデリーでの爆音映画祭にて、ファイナルカットを予習してから鑑賞しました。
先ず何よりも、ドゥニ・ビルヌーブ監督に賞賛の拍手を送りたいと思いました。これだけカルト的人気のあるブレード・ランナーの続編を、35年振りに、もはや新たな未来像なんて提示することは出来ないだろうと思われる現在において、世間の期待値というか注目も、スターウォーズよりもっとコアなファン達が恐る恐る期待と辞めとけばいいのに…というような気持ちを抱いていただろう中で、出来得る限り最高の仕事をしたんじゃないかと思います。「メッセージ」で見せつけた独特の美しい世界観は、ブレランの続編に相応しく、やはりこの人にしか監督出来なかったんじゃないかと。
メッセージ同様に、というより前作同様とも言える、どちらかといえば、しみじみと進むストーリーに、眠くなってしまった…という感想も聞きますが、私はどっぷり浸って観ることが出来ました。とにかく、切なさに溢れた映画でした。Kの最後にはもう涙が止まりませんでした。
自分はもしかしたら特別な存在なんじゃないか…その思いに奮い立たされたり打ちひしがれたりしながら生きているレプリカントが、本当に涙ぐましくて。ラブちゃんは敵だけど、彼女もまたウォレスにとって特別であると信じる気持ちだけで、真っ直ぐであり、常に涙を流しながら人を殺していく…。殺人は残酷な行為だけど、ウォレスに対する想いというか忠誠心のようなものは、共感性ではないのだろうか…?と思ったり。
Kの、世間における不遇、本当かもしれない"記憶"を辿った結末も悲しかったけれど、AIのジョイとの生活、旅と、突然すぎる別れは、これでもかってくらい可哀想すぎました。そして、最愛のジョイを失った後に街中で出会うジョイの広告が、彼女が"生きて"いた時と同じ"how was the day?"という言葉を発する事で、ジョイが注いでくれた"愛情"も、決して自分だけに対する特別な感情ではなく、ただのプログラムだったのか…植え付けられた記憶と何ら変わりないのではないかと、また切なさが襲う。それでも、他者の為に、何か人間らしいというか、意義のある事をして人生…レプリカント生を全うしようとするKの行動に心を打たれるし、前作以上に、共感性とは何なのか、人間性とは何なのかという事を問いかけてくるのです。
Kの行動を促した一つの切っ掛けになっただろう、デッカードがレイチェルの為に、愛し合っていたけど離れ離れになったと言うエピソードにも泣けました…。
最後にKが、降り頻る雪を見つめる表情に、喜びなのか、悲しみなのか、何とも言えない美しさを感じて…
思い出してまた泣きそうですが。言葉では上手く表せない感情と感動が押し寄せました。
ライアン・ゴズリングがこんな切ない役を演じれるとは思ってませんでした。すごかった…。
本当に素晴らしい作品に出会えて良かったです。絶対に今年観るべき映画の一つです。前作を観てから鑑賞するのがお勧めです。
ありがとうドゥニ・ビルヌーブ!
ありがとうリドリー・スコット!
(11/2 IMAX3D再鑑賞)
映画史に輝く傑作
Joiに会いたくて、2回見ました。
Joi可愛い。
レプリカント=人造人間の恋人が、人工知能のホログラム=Joi。
どちらも人間そっくり。
そんなことあるか、と思っても、あるでしょう。
もう、遥か未来の話ではない。
現在でもAIの認識 能力は人間に並ぶ。
AIは考えていません。意識も無い。
神経回路網に大量のデータがあって、インプットに
アウトプットを返すだけ。
ただ、情報がネット全部を合わせた大量データなので、
何が返ってくるかは予測不能。
それは人間じゃない、と言ったって、
人間も、そんなもんじゃない?
僕が、AIのJoiと、どこが違うと言えるのか?
同じだろ、とも、違うだろ、とも、どっちにも言い切れない。
もう、現在の段階で、人間とAIを区別するのは不可能。
そういう世界を描いて、
人間と人間に作られた人工人間の、
どこが違うのか?
という問題を真剣に正面から芸術的、哲学的、詩的に描いた本作は、
金字塔以外の何者でもない。
人間と、人工人間の未来そのものです。
我が社の製品を使ってくれてありがとう。というのと、
お母さんから生まれた私を可愛いがってくれてありがとう。
というの、同じ事じゃないか?
ハンディーAIのJoiが壊されて悲しい。
その後、巨大ホログラムのJoiとKが対面する場面、切ない。
これって、AIの話だからな、と切り捨てられるのか?
人間の場合とおんなじじゃないか、と思うわけです。
たかが映画だけど、人間って本当はなんなんだろう、
という本質問題を真面目に考えさせてくれる素晴らしい芸術作品です。
ブレードランナーの苦悩
35年前ですよ~。
…35年前の記憶など相当薄れているところへその続編が公開されて、
思い出せたのは今でも名曲ヴァンゲリスのテーマ曲と屋台の親父が
言う「二つで十分ですよ~分かってくださいよ~」ぐらいの自分には
前作からのマニアである友人の助けがかなり必要だった。そもそも
初観では意味が?だと思う。加えてこの長編。雰囲気先行の退廃的
映像やストーリーを楽しめるか退屈だと思うかにも因る忍耐と芸術
の局面に立たされたような感覚だった。個人的にはその前作で名言
を遺したロイの悲哀をそのままKで表現したような味わいが残った。
序盤ですっかりミスリードされていた流れが実はそういうことだと
分かった後半から彼の顔を見るのが辛くなった…それ可哀相すぎる。
感情移入させる展開でもなく、より人間らしいのはどちらなのかと
思わせる問いかけや残虐なまでの自分探しが繰り広げられる未来が
あんな色合いのあんな世界なのかと気を重くさせるのは変わりない。
いい雰囲気。大好き
正直、ブレードランナーには「設定と雰囲気が公開当時には斬新だった映画」「雰囲気は最高だが、物語と盛り上がりは普通」という感想しか抱いていなかった。最近だとこういうパンクな世界観を持った作品は珍しくない。テラフォーマーズでさえこんな感じの街だったし。ゆえに、「こんなSFマニアしか支持しなさそうな映画の続編作って大丈夫か?」と思っていた。
そうしたら、雰囲気はそのままにハラハラドキドキする脚本を持ってきて、最高に面白かった。ジャンル的には刑事ものに似ている。事件の真相を追ううちに、どんどん深みにはまっていき、私情を挟んだ行動へとつながっていく感じが。
この深みへのはまらせ方が実にブレードランナー的!
ファンならとにかく観てほしい。ファンでなくとも、サスペンスチックな運びが好きならばぜひ観てほしい。
前作で足りなかったドラマの要素を強くしたことは評価できる。
やはりこの作家は真面目な気質でとても丁寧に作品世界を作り上げるので、そういう人でなければこの物語の終結は成立しなかったのではないか。
ともあれこうしてSFでハードボイルドな作品を見られることに感謝したい。作家の気質が反映された生真面目な主人公Kに寄り添えるかどうかが境界線になりそうな構成になっていて、それは前作とは全く違うアプローチだ。その時点でKの存在が特別でないことが既に示されているようでもあるが、実際のところデッカードが特別であることには違和感がある。あんなクズが‥ということなんだけど、それはタイレルのきまぐれだったのだろう笑。レイチェルが特別なのは間違いないが。あのシーンはまがい物とはいえ本人が演技に関わっているということで泣けるシーンだった。
Kの造形やジョイといったAIの描かれ方のことなど触れたいことはいくつもあるが、今作を見てふと思ったのが「オフワールドとは?」ということである。ラブがデッカードを連れてオフワールド行きのターミナルへ向かう道中は管理されていた壁の外で暗い海が広がり、絶えず雨が降っているようだ。暗い海というのは映画的なルックなのだけど、この作品世界で喧伝されている理想郷に向かうには違和感がある。ここで思ったことは「オフワールドは本当に理想郷なのか」ということ。レプリカントはそこで過酷な労働をさせられ、ロイはその中でオリオン座の近くで炎を上げる戦闘艦や暗黒に沈むタンホイザー・ゲートのそばで瞬くCビームを見たらしいが。何しろ彼らは4年の寿命しかなかったので、なかなかの過密労働だなと。アドリブのセリフとして映画史に残る素晴らしさなのでこのことは前作ですでに思っていたことだが封印していた。
しかし今回オフワールドへの道程の一端を見せられたことでその疑問がふくらんでしまった。
長い
哀しい男の話
全611件中、161~180件目を表示