ブレードランナー 2049(ネタバレ)のレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049

劇場公開日 2017年10月27日
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観客の感情を巧みにいざなうヴィルヌーヴの手腕 ネタバレ

前作から35年。映画界の「伝説」に新たな続編をもたらすなど、どう考えても危険極まりない行為である。しかし彼らは見事に成し遂げた。特に心奪われたのはヴィルヌーヴ監督の構成力だ。「メッセージ」同様、彼はあえて観客のミスリードを利用しながら、これまで映画が到達したことのない深い境地へと手を伸ばす。今回も、主人公ジョーと同じく観客は一つの「確信」に則って感情をいざなわれ、待ち受ける真実に愕然とすることになる。「我こそは選ばれし者」というテーマは「マトリックス」でも描かれたが、運命や宿命ではなく、最終的には自らの決断によって全てを投げ打つからこそ、魂は激しく躍動する。そこにアンドロイドと人間の垣根を超えた生き様がある。ずぶ濡れになりながら役目を全うするジョーの姿には、どこか前作のロイを思わせる節も。3時間近くの旅路を終え、前作でデッカード以上に観る者を魅了したロイの心境に、いま初めて触れた気がした。

ぐうたら
ぐうたらさん / 2017年11月30日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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なるべくしてなった“あっち側”の物語 ネタバレ

ドゥニ・ヴィルヌーヴと撮影監督のロジャー・ディーキンスは映像的に本当にすごいことをやってのけた。ビジュアルの権化みたいなオリジナルを継承しつつ、独自のスタイルで世界観を拡張した。続編としてこれほどの正解はないのではないか。

そして顕著なのが、ほぼ完全に“人ならぬ者”の物語になっていること。「デッカードはレプリカントか?」問題はもう当然のこととして推し進められ、もはやほぼレプリカントしか登場しない。メインの登場人物ではロビン・ライトとジャレッド・レトしか人間がいないのだ。

科学が発展した未来において、レプリカントと人間を分けるものは何なのかという、オリジナルが提示しっぱなしだったテーマは確実に深化している。今やレプリカントは被差別者の象徴であり、格差社会の写し絵であり、そして人間性のよりどころでもある。「ブレラン」ってこんなエモーショナルな作品だっけ?とオリジナルファンが戸惑うような、熱い映画だ。

バッハ。
バッハ。さん / 2017年10月29日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  興奮 知的
  • 鑑賞方法:-
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. ネタバレ

漸く鑑賞。'82年の前作から35年振りとなる続篇。緻密な世界観に裏付けされた圧倒的で濃密な映像。前作で多かった雨降りの夜景はもとより、くすんだ曇天が多くの舞台となる。前作同様、アイデンティティーの模索がテーマの一つとして全面に突出しており、よりP.K.ディックの原作に近付いている。女性の登場人物達は皆、強く魅力的。描かれているのは遠い未来や現実と懸け離れた世界ではなく、あり得るデストピアでの自己を再確認する物語。M2層・F2層以上の年代の支持が多いのは、前作を懐かしむだけの理由ではない。85/100点。

・鑑賞中、誰がレプリカントで、誰が人間なのかが気にならなくなった。ただ“ラヴ”のS.フークがH.フォードの“リック・デッカード”を護送する際、心を決めたR.ゴズリングの“K(ジョー)”がどの様にして追跡・襲撃出来たのかよく判らない。尚、“リック・デッカード”のH.フォードが本篇に顔を出すのは、100分以上経過してからである。

・濁った薄いグレーやアンバー系の画面が印象深く残った。撮影を務めたR.ディーキンスは、『プリズナーズ('13)』、『ボーダーライン('15)』に次いで監督と三度目のタッグとなる。尚、“K(ジョー)”を演じたR.ゴズリングは、R.ディーキンの撮影とD.ヴィルヌーヴ監督の参加を条件に役を引き受けたと伝えらている。

・R.ゴズリングの役名“K(KD6-3.7)”は、KDプラス6+3+7=16(16番目のアルファベット)=Pとなり、“PKD”──つまり前作の原作者でキャラクター原案としてクレジットされているP.K.ディックを指すと云われている。亦、“K”が受けるポスト・トラウマ・ベースラインと呼ばれるテストはP.K.ディックっぽいが、読み上げ復唱させられる文言は、A.デ・アルマスの“ジョイ”が“K”に薦めたV.ナボコフの『青白い炎』の一節である。

・中盤、鍵となる“6-10-21”から'21年10月6日生まれの男女の双子の内、女児が死亡し、男児が残るとの記録が登場する。P.K.ディックも双子の妹ジェイン・シャーロットがおり、彼女は40日後に亡くなっている。尚、本作はLA、カリフォルニア、ニューヨークで『ファイナル・カット』版が('07年10月5日)公開された十年と一日後の'17年10月6日に米国で一般公開された。

・C.ユーリの“アナ・ステリン”は、抗血管新生ペプチドであるアナステリン"Anastellin"に基づいている。R.ライトの“ジョシ(マダム)”警部補は、「上司」に由来する。亦、“ラヴ”のS.フークスは前作で“ロイ・バティー”を演じたR.ハウアーと同郷のオランダ出身で、孰れもクラマックスで主人公と闘った。雪が降る中、横たわるラストシーンでは、前作で“ロイ・バティー”が雨に打たれうな垂れるシーンと同じヴァンゲリスの"Tears in Rain"が使われている。

・J.レトの“ニアンダー・ウォレス”率いるウォレス社はリンカーン製であり、“K(ジョー)”のR.ゴズリングが操るのはプジョー製である。尚、この二人が顔を合わすシーンは無い。

・プロダクションデザインのD.ガスナーによれば、J.レトの盲目である“ニアンダー・ウォレス”の部屋は京都の清水寺を元にデザインされ、床はシンギングフロア、或いはナイチンゲールフロアと呼ばれる侵入者を足音で知らせる鶯張りが施されている。R.ゴズリングの“K(ジョー)”の住居には“メビウス アパート”との電飾看板があり、これは前作にも大きな影響を与えた仏のバンド・デシネ作家(漫画家)J.ジローのペンネームの一つ“メビウス”に由来する。

・前作同様、劇中では漢字や片仮名・平仮名、ハングル語やロシア語等、多彩な言語の看板や科白が飛び交っており、H.フォードの“リック・デッカード”が隠遁するラスベガスの建物には「幸運」を意味するハングル"행운"の逆文字が見受けられる。“K(ジョー)”のR.ゴズリングに近付くM.デイヴィスの“マリエット”他二名の街娼は"Tää jätkä on Blade Runner. Se on vitun vaarallinen. Annetaan sen olla.(この男はブレードランナーだ。危険なクソなので、立ち去らせよう)"とフィンランド語で話し合っている。この科白はフィンランド在住のK.コソネンが発した。

・当初、監督は“ニアンダー・ウォレス”をD.ボウイにと考えたが撮影前に鬼籍に入った為、断念した。その後、この役はG.オールドマン、E.ハリスが引き継ぎ、最終的にJ.レトに落ち着いた。亦、S.フークスの“ラヴ”役かR.ライトの“ジョシ(マダム)”警部補役で、E.ブラントが考えられていたが、妊娠の為、適わなかった。

・『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー('16)』での“モフ・ターキン”のP.カッシングと“レイア・オーガナ”のC.フィッシャーの合成に満足出来無かった監督は、S.ヤングに協力を仰ぎ、吹替え役のL.ペタに特徴的な歩き方や身のこなし等を徹底的にトレーニングさせた。撮影は“リタ”と云うコードネームの役名で、S.ヤング同席の元、最小限の人員で極秘裏に進められ、トータルで約2分の登場シーンの合成に約一年を費やした。キャンペーンやプロモーションでもS.ヤングの本作への参加は意図的に否定された。

・“ジョイ”のA.デ・アルマス、“ラヴ”のS.フークス、“アナ・ステリン”のC.ユーリ、“マリエット”のM.デイヴィス、“ドク・バジャー”のB.アブディは前作公開時('82年)には、未だ生まれていなかった。

・前作の設定、'19年からの30年間で起こった前日譚として、渡辺信一郎監督『ブレードランナー ブラックアウト2022('17)』、R.スコットの次男L.スコット監督による『2036: ネクサス・ドーン('17)』、『2048: ノーウェア・トゥ・ラン('17)』と三本のショート・フィルムが本作リリースに先駆け、公開された。

・'90年代に何度も本作の企画が持ち上がり、'10年にはC.ノーランが監督に就任するとも噂された。その後、前作のR.スコットが監督すると云われたが、彼は(共同)製作総指揮に留まり『エイリアン:コヴェナント('17)』の製作に入ってしまった。最終的にD.ヴィルヌーヴが監督に収まったが、その際、R.スコットは謎の余地を残すようにとアドバイスしたと云う。製作時には"Triboro"との仮題で進められ、劇場への出荷時もこの仮題が用いられた。

・鑑賞日:2018年1月2日(火)

瀬雨伊府 琴
瀬雨伊府 琴さん / 2019年5月1日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  興奮 知的 萌える
  • 鑑賞方法:-
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映像美。前作を踏まえ、更に深まるストーリー ネタバレ

前作は素晴らしい材料を集めていたけれど、それをストーリーとしてまとめきれていないような、プロローグ的な印象でした。本作はそれを上手く料理してくれています。正統な続編に感じました。
独特の世界観を残しつつ、映像の進化も感じさせ、ストーリー性も濃く仕上がっていました。サスペンスのような要素もあり、その点は楽しめました。

本作は前作から30年後の世界です。その間起こった出来事として短編ストーリーが3本作られています。ブレードランナー2049の公式サイトで公開されているので、そちらも観るとより本作の理解が深まると思います。

前作もそうでしたが、本作は特に会話が哲学的というか、要領を得ない表現が多かったです。雰囲気は前作以上に鬱屈としていて、息を抜ける場面が少ないので、見ていて疲れました…長尺ですし。大人の映画という印象です。

前作は間の取り方が好きではなかったと書きました。本作では同様に間を長く取ってあるのですが、不思議と嫌には感じませんでした。なんででしょう…アングルや人物の捉え方の差かもしれません。

前作で急に恋に落ちる2人には違和感を覚えたので、本作で当時のデッカードの心情の補完がされているのは良かったです。それどころか、彼はレイチェルに一瞬で恋に落ちるように造られたレプリカントだという、前提を丸ごとひっくり返すような論を作中で提唱したことに驚きました。その方が納得はいくのですが、それはそれで寂しい…。
もし本当にそこまで仕組まれていたのだとしたら、タイレル社の技術がいかに優れていたかがわかります。寿命の操作に関してはウォレスが上を行きましたが、アナが見つかって研究されても生殖機能の技術が明かされるとは限りませんし。それに繁殖を可能にできたとしても、また大規模な反乱が起こりそうな…ウォレスなら何かしら予防機能を備えつけていそうですが。
そもそもレプリカントが産んだ子供はレプリカントなのか…それともまた別なのか…考えだすとキリがないですね。
アナがウォレスのレプリカントを造る業者の1人というのはおもしろいですね。逆に気づかれなさそうです。

本作ではレプリカントと明言されるKを主人公としたことで、より人間との差がわからなくなりますね。「人間よりも人間らしく」という言葉が作中に出てきましたが、Kはまさしくそのような存在でした。デッカードを殺せと言われたけれどそうしなかった。彼は誰かの命令ではない、自分だけの意志でデッカードを救ったのだと強く思わせられました。K自身、自分とデッカードが似ているように感じたからという理由もあるのではと思っています。

また、ラヴも鑑賞中は恐ろしい存在に見えましたが、後に考えると彼女も辛い立場であることに気づきました。彼女は自分を造ったウォレスに忠誠を誓い、彼に最上の天使と呼ばれることを誇り、アイデンティティにしていました。しかしそこに生殖機能を持つ存在が現れ、ウォレスはその技術を求めます。レプリカントの繁殖は彼にとっての次のステージ、つまりはラヴにとっては自分の立場を脅かす存在です。しかしウォレスの命によって自らその秘密を暴くために動きます。ウォレスは誕生したばかりのレプリカントを前にして「最初に抱くのは恐怖の感情だ」などと言っていましたが、ラヴはウォレスに見捨てられる、最上の天使でいられなくなることをひどく恐れていたのではないでしょうか。自分が最上でいたいのに、命に背くこともできない。内面ではずっとそのジレンマに苦しんでいたのではと考えると、また違った視点で本作を観られそうです。

ジョイはキュートでした。映像としてのおもしろさも生んでいましたし、瞳がキラキラしていて素敵。「あなたは特別」という言葉はストーリー上のミスリードであると同時に、Kの終盤の行動の起点にもなっているのではないかと思います。Kとの関係が切なくて、彼女を失うシーンは一番胸に響きました。

Kの上司、ジョシはなんだかんだKの人間的な部分を好意的に思っているように見えました。Kとの会話や、ラヴとのやり取りを見るに。個人的に彼女のような格好いい女性が好きなので、もっといろんな面が見てみたかったです。

映像としては前作より本作が好きです。光と影のコントラストがとても綺麗でした。黄色ともオレンジともつかない色が印象的でしたね。ラヴの部屋の波打った照明も独特で美しかったです。引きの絵は本当に絵画のような美しさです。ラストの雪のシーンもとんでもなく絵になってました。

前作のVKテストが好きだったのですが、本作でもKが動作確認されている検査シーンがあり、良かったです。ああいうの無性に好きです。
そういえば、ウォレスが再現したレイチェルを見たデッカードが「彼女の瞳は緑色だった」と言いますね。前作を観ると彼女の瞳は黒やこげ茶色に見えます。デッカードの言葉の意味は、瞳の色など本当は関係なく、自分が愛したのはレイチェルであってそのレプリカントではないという意思表示だと思います。デッカードらしい言い方で素敵でした。

結局デッカードはレプリカントなのかという疑問ですが、前作の監督であるリドリースコットはデッカードはレプリカントだと明言しているそうですね。前作にも彼がレプリカントであることを示唆するような描写があります。本作でも、あのような環境で普通の人間が暮らせるとは思えないことから、レプリカントではないかと考えられます。しかし、作中で明言されていない以上、自分の納得できる解釈、好きな解釈をして良いと思います。それがこういった作品の楽しみ方の1つです。

写真や折り紙といった小道具の使い方、そしてキャラクターとセリフは前作が好きです。というかロイが好きです。
本作は前作を踏まえた上でのサスペンス性のあるストーリー、美しい映像、アクションも良かったです。
大変に深みのある作品であることは確かなのですが、なんというか…手放しで好きとは言えず、ただ考察と切なさという深い海に沈んでいくような感覚…。

続編はあるのでしょうか…デッカードとアナはもちろん、ウォレスや地下のレプリカント達のその後…観たいような恐ろしくて観たくないような…。

きーとろ
きーとろさん / 2019年3月5日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  悲しい 興奮 難しい
  • 鑑賞方法:TV地上波、CS/BS/ケーブル
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「人間らしく」ー1度は破れた夢,代理による成就 ネタバレ

 フィリップ・K・ディックによる小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』(1968)を原作として,リドリー・スコット監督による映画『ブレードランナー』(1982)が製作された。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による映画『ブレードランナー2049』(2017)は,その続編である。

 『ブレードランナー』『ブレードランナー2049』の舞台は、近未来のロサンゼルスである。この世界においてはアンドロイド(レプリカント)が労働力の一部を担う。レプリカントの身体は、機械ではない。生身の肉体を持ち、表皮からから内臓にいたるまで、ほとんど人間に等しい。見た目は人間と区別がつかず、知能は人間と同等,身体能力は人間を超える。軍隊における使役、買売春における性労働への従事など,レプリカントは人間の支配下に置かれている。
 レプリカントは自我や感情を持たず,完全に人間に服従する。ところが生産から数年が経過すると自我や感情を持ってしまうという”不具合”の存在が判明する。不具合が発生したレプリカントは,脱走や反抗などを行った。そのような面倒を避けるため,レプリカントには4年という寿命が設けられた。一方で,実際に脱走したレプリカントを追跡・処分する役割を担ったのが「ブレードランナー」である。ブレードランナーはロサンゼルス市警所属部署に所属し,レプリカントを発見次第「退役」させる。

 『ブレードランナー』における主人公は,ハリソン・フォード演ずるブレードランナー,デッカードである。デッカードはレプリカント数体の処分を命じられ、任務を遂行するが,女性レプリカントと恋に落ち逃亡する。『ブレードランナー2049』は,デッカードの逃亡から30年後を舞台に,別のブレードランナー”K”を主人公に据える。
 『ブレードランナー』において,デッカードは人間である。というよりも、デッカードが人間であるという先入観のもと、鑑賞者は映画を見始める。ただしデッカードが人間であるということはわざわざ明言されておらず,彼がレプリカントであるという解釈の余地も存在する。いずれにせよ,デッカードがレプリカントであるかどうかについては映画中で明かされていない。(ただし『ブレードランナー』時点で最新型ネクサス6の寿命は4年だから,30年以上生きたデッカードがレプリカントだとしたらネクサス7か8だということになる。タイレル社製のレプリカントには幼少期の記憶が補完されていないことを匂わせる発言が、『ブレードランナー』中でタイレル社長の口から成されている。この発言を聞いたデッカードの反応は、彼には記憶があることを前提とするものに思われるので、デッカードはタイレル社によって作られたレプリカントではないことになる。ネクサス7か8には記憶が補完されたかも知れないが、仮にデッカードがレプリカントであるにしても、それはデッカードよりもあとの型である。仮にデッカードがレプリカントであるとしたら記憶がないことになるが、デッカードには記憶があるから、デッカードはレプリカントではない)
 それに対し,『ブレードランナー2049』の主人公Kは,明確にレプリカントである。彼はレプリカントでありながら同じレプリカントを処分する役割を与えられる。また同時に,レプリカントという被支配階級の存在として,人間から不満のはけ口として扱われる。Kにとっての安らぎは,ホログラム型AI”ジョイ”とのロマンスだった(”ジョイ”は我々にとってのSiriのような存在である)。

 『ブレードランナー2049』の明確な主題が,「記憶と自己同一性」そして「生きる意味」である。
 レプリカントであるKは,成人男性の姿を持って生まれてくる。したがって彼に幼少期は実在しない。しかしながら「人間性の補完」という理由で,レプリカントには幼少期の記憶が補完されている。幼少期の記憶を有することが,レプリカントの精神的安定につながるとされていたのである。

 劇中、Kはいつも通りの業務をこなすうちに「自分が特別なレプリカントなのではないか」という可能性に行き当たる。それはすなわち「Kがレプリカントから生まれた」という可能性である。当時レプリカントには妊娠・出産が不可能とされた。そしてレプリカントには繁殖が不可能であることこそ,人間がレプリカントを非生物として支配する根拠となっていた。
 Kが発見したのは,女性型レプリカントの遺骸である。このレプリカントには出産の形跡があった。そしてこのレプリカントの墓石に記されていた日付は,Kの幼少期の記憶に登場する木馬人形に記された日付に一致したのである。レプリカントの記憶は作りものの記憶であるはずにも関わらず,Kは木馬人形を発見する。つまり,Kの記憶は本物の記憶だということになる。
 しかしKの記憶は「本物だが他者のもの」だという可能性もある。だが当時の法律で,記憶の移植は禁止されていた。法を犯してKへの記憶の移植が行われた可能性もあるが,Kは自分がレプリカントの子供だという可能性へと傾く。
 Kは,埋葬されていた死体が,30年前にデッカードとともに逃亡したレプリカントのものだと調べ上げ,父親であると思われるデッカードを探し当てる。デッカードがレプリカントであるか人間であるかはわからないが,いずれにせよ,交配したレプリカントが妊娠・出産したのだ。孤独なKにとって,デッカードは父親かもしれないのだ。
 だが,Kの記憶は他者から移植されたものだと判明する。Kは結局,一介のレプリカントに過ぎなかった。しかしKは,デッカードの逃亡に手を貸し,追っ手による追跡を逃れ,彼の娘である「レプリカントから生まれたレプリカント」の元へ送り届ける。デッカードの娘を擁して,今まさに起ころうとするレプリカントによる脱支配の反乱を目前に,傷ついたKは雪の中で息絶える。

 『ブレードランナー2049』の以上のようなあらすじの中で,Kが「自分は何者であるか」を探求するにあたって根拠となっているのが,記憶である。記憶の連続こそが,それを有する肉体の連続性と同一視され,「自己同一性」の根拠となっている。

 「自分がレプリカントから生まれたのではない,普通のレプリカントだ」ということを知ったKは,落胆する。ここでKは1度,生きる意味を失う。だがレプリカントの反乱指導者から「証拠隠滅のためデッカードを殺せ」という任務を命じられる。「大義のための死は何より人間らしい」と。
 母親の胎内から生まれたわけではなく,作られた存在であるレプリカントは,魂のない存在,生命ではないとされる。しかし魂は持たずとも「人間らしく」あろうとすることが,Kにとっての「人生の意味」として置き換わりかける。
 だがKは,デッカードを殺すことを選ばない。むしろ彼を救出し,彼の本当の娘と思しき女性の元へと届ける。それはKが,自分を使役しようとする外的な「大きな存在」からの指令によってではなく,自らの内在的な要因によって行為を選択した瞬間であった。このまま自分にとって外在的な「大きな存在」の大義達成に貢献し続けるのでは,ブレードランナーとして人間の大義に貢献し続けていたのと変わらない。
 Kに父親は存在しないと判明したが,1度は自分の父親であるという可能性を感じた男性を,娘の元へ届ける。自分では結ぶことができなかったつながりを,他者と他者との間に結ぶ。自分では叶えられなかったことを,他者によって代理的に叶えてもらう。それは結局,Kが「自分のものではない」記憶を礎にして願いを叶えたということだ。自分のものではないと整合的に説明されてなお,他者の記憶を基礎にして生じた「親との繋がりを得たい」「魂を得たい」「人間になりたい」という願望の達成への期待。(本作が有するこのような『ピノキオ』的側面について,ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督自身が発言している)そのような期待のやり場が,デッカードを娘のもとへと届けることにあった。
 代理。それによってKは叶えられなかった自分の願望を叶え,失われかけた自分の「生の意味」をなんとか復活させ,維持しようとした。「自らの望みを叶える」という自己決定の物語である。

f(unction)
f(unction)さん / 2018年8月25日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  興奮 知的 難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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思った以上に面白かった ネタバレ

前作を見ずに鑑賞したが、普通に楽しむことが出来た。ストーリーも意外性というか普通に騙されて、そういった意味でも楽しかった。つまり在り来たりの予想出来る話ではなかったということ。
恋人役の女優さんには終始目を奪われた。今後の活躍に期待したい。

ふぁーびー
ふぁーびーさん / 2018年7月30日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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一度観てからブレードランナー観賞、その後二回目見ました ネタバレ

観賞に耐えなかったのは誕生間もない女性レプリカントのお腹をウォレスが斬った場面です。

当に子宮が主題であることを意識して観ていたので、見るに耐えない精神的痛みを感じました。

最後、Kが死んだ!?時に、その切なさに涙しました。

ライアンゴズリング、こういう役多いですね。ちょっと憂いのある可愛い顔なのででしょうか。

Kのとてもピュアな面を、顔の表情でそこはかとなく表現していて素晴らしかったです。

突然変異でKの子供出来ちゃってるんじゃないかな〜!?とか妄想しました。 あり得ないでしょうか?あり得てほしい。彼が、アナの記憶を持っていたのは偶然じゃない、全ては必然。次回作期待してます。

前作を観てから二回目見ると折り紙のこと、繋がりました。 そしてピアノも。そして作品の深みも増しました。

2018年7月25日 / フィーチャーフォンから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  泣ける 悲しい 怖い
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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去年公開映画で間違いなく1番です。。 ネタバレ

2時間約40分 あっという間でした。

テーマが良いですよ。流石、ハリソン・フォード氏がベタ褒めした脚本だけありますよ。

人間より人間らしい。

お前は奇跡を見ていない。

あなたは望まれてこの世に生まれてきたのよ。

それは製造番号だろ?。名前を聞いているんだ。

台詞、名言ですよ。すべて映画のテーマに繋がる言葉。

そしてハリソン・フォード氏のセリフ。

ライアン・ゴズリングに

『これで良いのか?、君に何が残る?』

みたいなセリフがありましたよね?。ちょっと言葉が違うかも知れませんが。

このセリフからの『娘に会いに行け。』

ライアン・ゴズリング 映画最後のセリフ。

Kが我が道を信じ突き進む、突っ走る姿に愛を感じたら正解です(笑)。

何のために???。

それは、そこに愛があるから、目の前に愛が見えたからですよ(笑)。

自分が何のためにこの世に生まれて来たのか?

その部分に気がついたから……………。

というより自分で自分のこれから先の生き方、自分の進むべき方向、そして最後、寿命が尽きるとき、自分がどう思って死んでいったら本望か?。

悟ったんですねKは、決めたんですよ、自分で。

その部分に、人間コピーも本物の人間も関係ない。

もうこれ以上ネタバレしたくないですね(笑)。

このテーマ+、ブレラン要素が加わってもう……………

これも自分で、鑑賞した人が答えを見つけた方が良いです(笑)。

素晴らしい、楽しくて、愛があって泣けて。

SFはもちろんですけど、ロードムービー、人間あまり登場しませんが人間ドラマ、哲学的要素、とにかく映画好きには溜まらない、正に観る遊園地。見所満載で、これを名画と呼ばずしてなんと呼びますか?(笑)。

良い映画です(笑)。俺はこの映画大好きですね。

2018年7月17日 / PCから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  泣ける 知的 幸せ
  • 鑑賞方法:映画館
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この世界観が好きなら良し! ネタバレ

前作映画がとっても好きって訳じゃないがリドリー・スコットが好きなので前作は観てたし本作も気になってた。前作のあの頃にあの映像は当時斬新で独特な世界観も好きだった。今思うとこれ以降の自分の映画観に大きく影響していたとも感じる。

さて本作の話だが、本作も前作の世界観を踏襲しており、この『独特』な『面白味』を感じないとなかなかな映画かと。理解し難いし、どこか盛り上がるシーンがある訳でもないし。私は『面白味』 を感じないと耐えれなかったと思う。

私が思う世界観の『面白味』とは、全編通じた重苦しい色調、静かさ、間であり、そして映像美である。これは監督が長年積み重ね、磨き上げられてきたモノであり真骨頂とも言えるだろう。

つまり本作は本シリーズを愛してやまないファンのために作られた映画かと。これは前に最新作が公開されたエイリアンシリーズにも通ずるところがある気がするのは私だけだろうか。

チャップ
チャップさん / 2018年6月3日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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日本映画じゃ作れない映像はいいね。 是非、ビデオで見るには4Kテレ... ネタバレ

日本映画じゃ作れない映像はいいね。
是非、ビデオで見るには4Kテレビ&Blu-rayで。
前作のヒロインのレイチェルと捜査官デッカードとの間に出来た子供を探す作品。

ひぃちゃん
ひぃちゃんさん / 2018年5月7日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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自分だと思っていた… ネタバレ

そうかと思って観ていたが、そうでなくても驚かない内容。
尺も長いし、デッカードが出てくるまでがまた長い。
あの頃見たあの髪型に未来を感じたのに
今は感じない。
SF作品は旬が命と言うことなのか?

うにたん♪
うにたん♪さん / 2018年4月20日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  悲しい
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督に敬意 ネタバレ

遅ればせながらレンタルで「ブレードランナー2049」を借りて観てみました。本当は映画館で鑑賞する予定だったのですが、残念ながら機を逸してしまいました・・っと言うより本当のところは観るのが怖かったのです。
レトロフューチャーやサイバーパンクという造語を作り出し、SF映画の金字塔ともいわれたリドリースコット監督のブレード・ランナー。もうかれこれ30回以上は鑑賞している、個人的に映画の中では一番好きな作品なのです。
今まで誰もこの映画の続編に手をつけなかった...いや、恐れ多くて手を出せられなかったというのが本音かもしれませんが、この「ブレードランナー2049」が公開されるまでになんと30年もの月日が流れていました。
まずは、この映画の監督を引き受けたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督に敬意を表したいです。この映画の上映時間は2時間40分もあります。だいたい、人間の集中力は2時間程度と言われていますので、こんなに長くて飽きないだろうか?と思いましたが実際に見始めると、あっという間にエンディングまで迎えてしまいました。それだけ引き込まれたという事にもなるのでしょうか・・映像的には随所に前作へのオマージュが感じられ、ヴィルヌーヴ自身ブレランのコアなファンである事を感じさせる作品に仕上がっていて、十分に楽しむことができました。途中、サプライズというか年老いたデッカードと若かりし頃のレイチェルが対面する場面があるのですが、思わずショーン・ヤングのそっくりさん登場かと思うほど良くできているシーンで何度も観返してしまいました。これは実際に鑑賞してのお楽しみって所ですが、何はともあれ前作のイメージを崩さずに続編を作り上げたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督に感謝感謝なのでした・・

逝ってよし認定委員会
逝ってよし認定委員会さん / 2018年3月7日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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うーんうーんうーん… ネタバレ

なんとも言えない。悪くはないけど…

これは誰が話を考えたんだろう、脚本の人かねやっぱり?

音楽から何から何まで前作を踏襲しすぎてないか?
ストーリーもなんちゅうか…なんかが足りない気がする。新しい何かというかプラスαというか…

女がかなり活躍してる感じかなあ。
あとはわざとらしく日本のカタカナ看板とか、なぜかハングル文字とか

うどん屋のおやじ、また出せばいいのに(笑)ほんとこの監督茶目っ気ないねえ。もういくつでもたまご入れてくださいよ、知りませんよ!!
ノー。タマゴキライイラナイ!!
とか
少しは笑かしてくれよ

やっぱりさあ、前作のルドガー・ハウアーのレプリカント役の迫力が半端なかったよなあ。
寿命が短く、危険な仕事ばかりさせられてる悲哀も前作のほうが感じた。

ライアン・ゴズリングも思ったより悪くはないけどやっぱりこの人コメディ向きな感じ。

うーん…なんだろなんでこんな感じにしちゃったんだろ。
「ブレードランナーファイナルカット」
のとこに雰囲気が肝とか書いたけど
いやいや、雰囲気だけで作品作ったらダメでしょ。なんかそんな感じ。

ストーリーがいろいろ中途半端に終わった、これだけの長さなのに。
さらに続編つくる気か?

守銭奴
守銭奴さん / 2018年3月4日 / フィーチャーフォンから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  興奮 知的 萌える
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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「攻殻機動隊」に感動して「イノセンス」を見に行った後の気持ちに近かった ネタバレ

悪い映画ではない。が、前作と比較すると「凄いモノを見た!」という鑑賞感は薄い。

今作でやりたかったことは前作で最も魅力的だったレプリカントを主人公にし、レプリカントが実存に目覚めること。
主人公Kを取り巻くものは彼女も出自も自分自身も本物でないものばかり。その間の風景は雪。
だが主人公が自分の意思で動き始めると風景は雨になる。

前作より至らなかったと感じるのは以下。

1.本作が前作のリドリースコットの画作りに比べて画の衝撃が劣る。
ブレードランナーがカルトムービーになった理由は画の凄さ。前作は期せずしてリドリースコットの画作りの才能によってカルトムービーになってしまった映画だと思う。そもそも前作はリドリースコット本人は題名を「ゴッサム」とつけたかった。人や物語よりも退廃した未来世界の風景を描きたかった表れだと思う。そのこだわりが圧倒的な映像美を作り出した。
その点、本作は続編ということもあり前作を踏まえざるおえなかったこともあるだろうが、画の独創性が足りないと感じた。どこか既視感もある。
今作は画よりストーリーに重きが置かれており、それは映画として正しいのだがブレードランナーがカルトになった点とは相違しないと感じる。

2.昨今の続編に見られる「前提映画 (前作を見ていることが前提の映画)」だから
前作を見ていることで「知ってる」と観客が沸くネタが散りばめられている。
・バトンとなるデッカードブラスター
・ファーストカットの見開いた目
・生き絶えるレプリカント
・デッカード本人
etc
これは観客と作り手が内輪ネタで共感しあっているのであって、それが作品を面白くしている例は少ない。近年にこの前提を裏切って作った続編の秀作に「マッドマックス怒りのデスロード」がある。
・不発のソードオフショットガン
・すぐ破壊されるインターセプター
etc
前作の因果を断ち切り、この作品を見ている今を素晴らしいものにしようという意思を感じる。
作品単体の面白さを追求するならば、続編でも前作のネタに頼るのは甘えだと思う。

3.ストーリーのミスリードが混乱を呼ぶ。
ビジュアルで引っ張っていた前作と異なりストーリーが作りこまれているが、作りこみすぎたと思う。
途中で実はこれこれこうだったと展開が二転三転するが、やりすぎて途中から追うのがつかれてしまった。

4.悪役の魅力のなさ
本作の敵は殺し屋の女性レプリカントだが前作ロイバッティ程の魅力が感じられなかった。(鑑賞後、記憶に残らなかった)

ここまで否定的なことを書いてきたが、本作は一点素晴らしい要素を持っている。
ライアン・ゴスリン演じる主人公・Kである。ここまで孤独が魅力になっている登場人物は今まで見たことがない。本当に素晴らしい。人間でもない、恋人も幻想、何物でもない、何もない主人公が信念を得て一生懸命生きた。その軌跡を見る映画で良かったのではないか。そこにブレードランナーの要素はいらなかったと思う。
この主人公Kの持つ孤独と悩みは今を生きる人間が抱えている現代的なものだと思う。
とても魅力的な主人公だった。

また前作ヒロイン・レイチェルが「桐島部活辞めるってよ」の桐島のように空白の重要人物として存在させていた。この配置も素晴らしいと思った。

ブレードランナーの続編としてはイマイチだったが、人造人間の生きざまを描く映画としては素晴らしかったと思う。ブレードランナーの続編にしなかった方が良かった作品だと感じる。

ヒロ
ヒロさん / 2018年2月24日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  泣ける 興奮 知的
  • 鑑賞方法:映画館
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すばらしい。正統派続編です。 ネタバレ

4DXレイトショーで観ましたが、ブレードランナーの世界にポンと放り込まれたようで、圧巻でした。
映像美は前作同様で、あの世界を見事に描いていてかなり良かったです。前作「最終版」に近いテイストです。
(以下、多少ネタバレあり。要注意!)
ストーリーは、前作の世界観をしっかり引き継いでいて、正統派の後継作品と言えます。
ラストシーン、あの名曲「Tears in Rain」が流れる中、今作は雪の中で、静かに命が消えていくレプリカントの描き方は、美しいの一言につきます。一方、デッカードは大切な人と再会を果たす。まさに前作のエンディングを彷彿させ、ヴィルヌーヴ監督のリドリー・スコットに対するオマージュがヒシヒシと伝わってきます。
音楽は、ヴィルヌーヴ監督の「メッセージ」テイストをブレードランナーの世界にミックスしたイメージです。私としては、もう少し前作の音楽が使われるのかなぁと思っていました。
鑑賞に際しては、前作は必見です。ブレードランナーがお好きな方なら、観に行くことをぜひおすすめします!

まるぽう
まるぽうさん / 2018年2月16日 / PCから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  泣ける 興奮 難しい
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最上の天使の涙。 ネタバレ

今作のキャラクターについて、普段着のままウッカリSF映画に出演してしまったハリソン・フォードを始め皆様、思い思い語られている事なので、僕はウォレスの自信作、ラヴについて。

ウォレスの右腕となり、顧客対応、クレーム処理、アフターケア、帳簿管理、在庫処分、言葉を少し変えれば非常に有能な秘書だと思う。

いや、良いと思うよ、ラヴ。

初登場時は少しも顔色を変えずに緊急対応をこなして、ちゃんと上司に報告(結果ジョーが目を付けられる)。

駒として動かしたジョーがピンチの時には、ネイル中にもかかわらず、上空から砲弾を浴びせる。後にこれを「ラヴ投入」と命名。

最後の護送シーンではキチンとシートベルトを締め、おすわり。

何度も繰り返されるラヴ様のかかと落としをお受けしたいと思うのは、男子たるもの致し方ないのでは。

そんな出来るOL、ラヴだが、数シーンでなぜか涙をする。ジョーの上司ジョシ(ややこしっ)と対峙するシーンでも涙。

の割に、その直後死体を雑に扱う。

新型が失敗作とわかり、処理されるとわかると瞬間も涙。

冷酷であるはずのラヴが涙するのは何故だろう?

グラスに注がれたウィスキーを眺めながらそれに想いを馳せるのも良いだろう。

p.s. 結局どんな男にも同じ様に優しくするジョイのせいで元カノの悪夢が蘇りました。

侍味
侍味さん / 2018年2月16日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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切なさの応酬に涙が止まらない ネタバレ

丸の内ピカデリーでの爆音映画祭にて、ファイナルカットを予習してから鑑賞しました。
先ず何よりも、ドゥニ・ビルヌーブ監督に賞賛の拍手を送りたいと思いました。これだけカルト的人気のあるブレード・ランナーの続編を、35年振りに、もはや新たな未来像なんて提示することは出来ないだろうと思われる現在において、世間の期待値というか注目も、スターウォーズよりもっとコアなファン達が恐る恐る期待と辞めとけばいいのに…というような気持ちを抱いていただろう中で、出来得る限り最高の仕事をしたんじゃないかと思います。「メッセージ」で見せつけた独特の美しい世界観は、ブレランの続編に相応しく、やはりこの人にしか監督出来なかったんじゃないかと。
メッセージ同様に、というより前作同様とも言える、どちらかといえば、しみじみと進むストーリーに、眠くなってしまった…という感想も聞きますが、私はどっぷり浸って観ることが出来ました。とにかく、切なさに溢れた映画でした。Kの最後にはもう涙が止まりませんでした。
自分はもしかしたら特別な存在なんじゃないか…その思いに奮い立たされたり打ちひしがれたりしながら生きているレプリカントが、本当に涙ぐましくて。ラブちゃんは敵だけど、彼女もまたウォレスにとって特別であると信じる気持ちだけで、真っ直ぐであり、常に涙を流しながら人を殺していく…。殺人は残酷な行為だけど、ウォレスに対する想いというか忠誠心のようなものは、共感性ではないのだろうか…?と思ったり。
Kの、世間における不遇、本当かもしれない"記憶"を辿った結末も悲しかったけれど、AIのジョイとの生活、旅と、突然すぎる別れは、これでもかってくらい可哀想すぎました。そして、最愛のジョイを失った後に街中で出会うジョイの広告が、彼女が"生きて"いた時と同じ"how was the day?"という言葉を発する事で、ジョイが注いでくれた"愛情"も、決して自分だけに対する特別な感情ではなく、ただのプログラムだったのか…植え付けられた記憶と何ら変わりないのではないかと、また切なさが襲う。それでも、他者の為に、何か人間らしいというか、意義のある事をして人生…レプリカント生を全うしようとするKの行動に心を打たれるし、前作以上に、共感性とは何なのか、人間性とは何なのかという事を問いかけてくるのです。
Kの行動を促した一つの切っ掛けになっただろう、デッカードがレイチェルの為に、愛し合っていたけど離れ離れになったと言うエピソードにも泣けました…。
最後にKが、降り頻る雪を見つめる表情に、喜びなのか、悲しみなのか、何とも言えない美しさを感じて…
思い出してまた泣きそうですが。言葉では上手く表せない感情と感動が押し寄せました。
ライアン・ゴズリングがこんな切ない役を演じれるとは思ってませんでした。すごかった…。
本当に素晴らしい作品に出会えて良かったです。絶対に今年観るべき映画の一つです。前作を観てから鑑賞するのがお勧めです。
ありがとうドゥニ・ビルヌーブ!
ありがとうリドリー・スコット!

(11/2 IMAX3D再鑑賞)

yookie
yookieさん / 2018年1月8日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
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映画史に輝く傑作 ネタバレ

Joiに会いたくて、2回見ました。

Joi可愛い。

レプリカント=人造人間の恋人が、人工知能のホログラム=Joi。

どちらも人間そっくり。

そんなことあるか、と思っても、あるでしょう。

もう、遥か未来の話ではない。
現在でもAIの認識 能力は人間に並ぶ。
AIは考えていません。意識も無い。
神経回路網に大量のデータがあって、インプットに
アウトプットを返すだけ。
ただ、情報がネット全部を合わせた大量データなので、
何が返ってくるかは予測不能。
それは人間じゃない、と言ったって、

人間も、そんなもんじゃない?

僕が、AIのJoiと、どこが違うと言えるのか?

同じだろ、とも、違うだろ、とも、どっちにも言い切れない。

もう、現在の段階で、人間とAIを区別するのは不可能。

そういう世界を描いて、
人間と人間に作られた人工人間の、
どこが違うのか?
という問題を真剣に正面から芸術的、哲学的、詩的に描いた本作は、
金字塔以外の何者でもない。

人間と、人工人間の未来そのものです。

我が社の製品を使ってくれてありがとう。というのと、
お母さんから生まれた私を可愛いがってくれてありがとう。
というの、同じ事じゃないか?

ハンディーAIのJoiが壊されて悲しい。
その後、巨大ホログラムのJoiとKが対面する場面、切ない。

これって、AIの話だからな、と切り捨てられるのか?

人間の場合とおんなじじゃないか、と思うわけです。

たかが映画だけど、人間って本当はなんなんだろう、
という本質問題を真面目に考えさせてくれる素晴らしい芸術作品です。

sn
snさん / 2018年1月3日 / PCから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  泣ける 知的
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35年前ですよ~。 ネタバレ

…35年前の記憶など相当薄れているところへその続編が公開されて、
思い出せたのは今でも名曲ヴァンゲリスのテーマ曲と屋台の親父が
言う「二つで十分ですよ~分かってくださいよ~」ぐらいの自分には
前作からのマニアである友人の助けがかなり必要だった。そもそも
初観では意味が?だと思う。加えてこの長編。雰囲気先行の退廃的
映像やストーリーを楽しめるか退屈だと思うかにも因る忍耐と芸術
の局面に立たされたような感覚だった。個人的にはその前作で名言
を遺したロイの悲哀をそのままKで表現したような味わいが残った。
序盤ですっかりミスリードされていた流れが実はそういうことだと
分かった後半から彼の顔を見るのが辛くなった…それ可哀相すぎる。
感情移入させる展開でもなく、より人間らしいのはどちらなのかと
思わせる問いかけや残虐なまでの自分探しが繰り広げられる未来が
あんな色合いのあんな世界なのかと気を重くさせるのは変わりない。

ハチコ
ハチコさん / 2018年1月1日 / PCから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  悲しい 怖い 難しい
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前作で足りなかったドラマの要素を強くしたことは評価できる。 ネタバレ

やはりこの作家は真面目な気質でとても丁寧に作品世界を作り上げるので、そういう人でなければこの物語の終結は成立しなかったのではないか。

ともあれこうしてSFでハードボイルドな作品を見られることに感謝したい。作家の気質が反映された生真面目な主人公Kに寄り添えるかどうかが境界線になりそうな構成になっていて、それは前作とは全く違うアプローチだ。その時点でKの存在が特別でないことが既に示されているようでもあるが、実際のところデッカードが特別であることには違和感がある。あんなクズが‥ということなんだけど、それはタイレルのきまぐれだったのだろう笑。レイチェルが特別なのは間違いないが。あのシーンはまがい物とはいえ本人が演技に関わっているということで泣けるシーンだった。

Kの造形やジョイといったAIの描かれ方のことなど触れたいことはいくつもあるが、今作を見てふと思ったのが「オフワールドとは?」ということである。ラブがデッカードを連れてオフワールド行きのターミナルへ向かう道中は管理されていた壁の外で暗い海が広がり、絶えず雨が降っているようだ。暗い海というのは映画的なルックなのだけど、この作品世界で喧伝されている理想郷に向かうには違和感がある。ここで思ったことは「オフワールドは本当に理想郷なのか」ということ。レプリカントはそこで過酷な労働をさせられ、ロイはその中でオリオン座の近くで炎を上げる戦闘艦や暗黒に沈むタンホイザー・ゲートのそばで瞬くCビームを見たらしいが。何しろ彼らは4年の寿命しかなかったので、なかなかの過密労働だなと。アドリブのセリフとして映画史に残る素晴らしさなのでこのことは前作ですでに思っていたことだが封印していた。

しかし今回オフワールドへの道程の一端を見せられたことでその疑問がふくらんでしまった。

ハル
ハルさん / 2017年12月24日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  泣ける 悲しい 知的
  • 鑑賞方法:映画館
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