雨の日は会えない、晴れた日は君を想う : 特集
映画ファン信頼度No.1 J・ギレンホールは、なぜすべてを“壊す”のか?
オスカー受賞作監督と共に描く「再生の物語」──
“邦題の真意”が分かったとき、新たな希望が生まれる
「ナイトクローラー」「サウスポー」ほか、高い演技力と作品選びの質の高さで映画ファンから厚い信頼を寄せられているジェイク・ギレンホールの最新主演作「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」が、2月18日から全国公開。アカデミー賞3部門受賞作「ダラス・バイヤーズクラブ」を手掛けたジャン=マルク・バレ監督と初めて組んだ、意欲作の見どころとは。
「ナイトクローラー」J・ギレンホール×「ダラス・バイヤーズクラブ」監督
“この2人”だけで漂う良質感──「一歩前に踏み出す物語」が希望を示す
映画ファンの心に残る、新たな「再生の物語」が誕生した。「ダラス・バイヤーズクラブ」「わたしに会うまでの1600キロ」のジャン=マルク・バレ監督が、「ナイトクローラー」「サウスポー」の実力派ジェイク・ギレンホールを主演に迎え、妻の死にさえ無感覚になってしまった男の姿を通して、喪失と悲しみ、そして再生を描いた「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」がそれだ。
ジェイク・ギレンホールとジャン=マルク・バレ監督。この組み合わせだけで、映画ファンなら「見たい」という強い気持ち湧いてくるはず。ひとりは「ブロークバック・マウンテン」のアカデミー賞ノミネートほか、「プリズナーズ」「ナイトクローラー」で主演を張った演技派俳優、そしてもうひとりは、マシュー・マコノヒー、ジャレッド・レトにオスカーをもたらした「ダラス・バイヤーズクラブ」の気鋭監督なのだ。目利きの映画ファンが「早く次回作を見たい」と願っていた要注目の才能同士が挑んだ、初のコラボレーション作品。映画好きであればあるほど、このふたりがどんな「希望」の物語を作り出したのか?と期待せずにはいられない。
ウォール街のエリート銀行員として出世コースに乗り、デイヴィス(ジェイク・ギレンホール)は富も地位も手にしたが、その毎日は、高層タワーにあるオフィスで空虚な数字と向き合うだけのものだった。そんなある日、美しい妻が突然の交通事故で他界する。しかし、デイヴィスは一滴の涙も流すことができず、悲しみにすら無感覚になってしまった自分を発見する。自分が本当に妻のことを愛していたのかも分からなくなってしまった彼は、義父(クリス・クーパー)のある言葉をきっかけに、身の回りのあらゆるものを破壊し、自分の心の在りどころを探し始めるが……。
自分の感情とうまく向き合えない男を、悲しみとむなしさたっぷりに演じるギレンホールを筆頭に、実力派俳優たちが集結。マルク・バレ監督のもと、人生の苦悩を通して、新たな一歩を踏み出す尊さと希望を描く美しい物語を紡いでいる。主人公デイヴィスがふとしたきっかけで出会い、心を通わせるシングルマザー、カレンを演じるのは、「インポッシブル」「21グラム」でアカデミー賞ノミネートを受けたナオミ・ワッツ。デイヴィスの義父フィルには、「アダプテーション」のオスカー俳優、クリス・クーパーが扮した。カレンの息子で、デイヴィスときずなを築いていくクリス役、ジュダ・ルイスのみずみずしい演技にも注目。
パソコン、電化製品、妻のドレッサー、さらには家まで「壊さずにはいられない」
しかし──なぜ見る者はこの主人公に共感してしまうのか?
本作の大きな見どころは、妻への愛が分からなくなってしまった主人公デイヴィスが繰り広げる「破壊行為」。「心の修理も車の修理も同じことだ。まず隅々まで点検して、組み立て直すんだ」という義父の言葉をきっかけに、とにかく壊す、壊す、壊す。見る者は「そんなものまで壊して大丈夫なの?」と心配してしまう一見異様な行為ながら、同時に「なぜ彼はそんな行為に及ぶのか?」がじわりと共感できる物語となっている。果たして、あらゆるものを壊して「ゼロ」になろうとするデイヴィスは、その先に何を見ることになるのか。
生前から妻に「調子を見て」と言われていた冷蔵庫に向き合ったデイヴィスだが、義父の言葉を思い出して修理はやがて「分解」に。完全にバラバラになった冷蔵庫は、もはや修復不可能。
妻の葬儀から早々に会社に出社したデイヴィスは、同僚たちを驚かせるが、本人は何食わぬ顔。自分の席につくと目の前にはパソコンが置かれていた……。ここでも、機械を完全分解。
電化製品では飽き足らなくなったデイヴィスは、解体作業中の作業員を見かけ、「お金を払ってもいいから手伝わせてくれ」と交渉。スーツ姿のまま大型ハンマーを振りかざし、空き家の壁の破壊開始。
「野獣だな」と作業員にやゆされるほどのデイヴィスは、「結婚生活を破壊する」と、ついに自宅の破壊にまで。踊りながらハンマーで高級インテリアやテレビをたたき割り、ブルドーザーでも突っ込む。
映画ライター・村山章も強くひかれた再生の物語
妻からのメモが思いがけない“気づき”をくれる──
映画ファンが注目する実力派俳優と気鋭監督が生み出した新たなヒューマン・ドラマに、映画ライター・村山章氏も心を打たれた。本作が見る者を引きつける理由、そして、鑑賞の際に欠かせない重要なポイントが明かされる。
人生の壁にぶち当たり、もがきながらも一歩を踏み出そうとする主人公
心動かされた映画ファンたちの「共感」「感情移入」の声を聞いてほしい
映画.comでは、このほど独占試写会を開催。多くの映画ファンが、喪失と悲しみ、そして再生を描いた物語の行方を見つめた。ジェイク・ギレンホール演じる、心を失ってしまった主人公デイヴィスの姿に共感と感情移入し、多くのものを作品から受け取った人たちの声をお届けしよう。