岸辺の旅

劇場公開日:

岸辺の旅

解説

湯本香樹実による同名小説を黒沢清監督が映画化し、第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞。深津絵里と浅野忠信が主役となる夫婦を演じた。3年前に夫の優介が失踪した妻の瑞希は、その喪失感を経て、ようやくピアノを人に教える仕事を再開した。ある日、突然帰ってきた優介は「俺、死んだよ」と瑞希に告げる。「一緒に来ないか、きれいな場所があるんだ」との優介の言葉に瑞希は2人で旅に出る。それは優介が失踪からの3年間にお世話になった人々を訪ねていく旅だった。旅の中でお互いの深い愛を改めて感じていく2人だったが、瑞希が優介に永遠の別れを伝える時は刻一刻と近づいていた。

2015年製作/128分/G/日本・フランス合作
配給:ショウゲート
劇場公開日:2015年10月1日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第68回 カンヌ国際映画祭(2015年)

受賞

ある視点部門
ある視点部門 監督賞 黒沢清

出品

ある視点部門
出品作品 黒沢清
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(C)2015「岸辺の旅」製作委員会/COMME DES CINEMAS

映画レビュー

4.5流麗な音楽と美しい自然が、ちいさな物語を普遍へと導く。

2015年10月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

冒頭の、ピアノと風に揺れるカーテン。「トウキョウソナタ」のラストを想わせる、死の匂い。そこから一転、物語はホラーの気配を画面いっぱいに漂わせる。白玉の白さと、艶やかなまでに黒い摺り胡麻のコントラスト。不穏と、恐怖の予感。ああ、黒沢監督だなあ、とぞくぞくした。 そこに、往年の名画を彷彿とさせるような、流麗なオーケストラ音楽がかぶる。あれっ、なんか違う。この明朗なまでの穏やかさは…⁈ 意外というか、違和感というか。そんな戸惑いに浸る暇もなく、物語はスタートした。 この旅がいつ終わる(優介が姿を消す)のかと不安を抱きながらも、かけがえのない「今」を手放すまいと、果敢に身を委ねる瑞希。そんな彼女と同様、観客もいつしか、先が見えないながらも安らぎに満ちた旅に身を委ねていく。死者との交流は、決して目新しくはない。けれども、黒沢監督にかかると、唯一無二のものとなる。コマ落としのような画面の揺らぎ、対峙する二人のアップの切り返し…てらいもなく、往年の映画技法を散りばめられてるところにもびっくり、ニヤリとさせられた。 死者と遺された者が再び出会い、改めて深く互いを知り、真の別れを経て前進していく。大事件は起こらない。描かれているのは、ささやかでありふれた、(蒼井優演じる朋子が、自嘲気味に口にする)「平凡な毎日」の営みだ。これを普遍的な大きな物語に引き上げているのは、初めは違和感さえ感じた音楽と、美しい自然の力であるように思う。これまでの黒沢監督作品にはなかった、不思議な感触。特に初期作品で色濃く出ていた、黒くどろりとしたものに、美しい音楽と光や緑に満ちた風景描写が重なり、寄り添う。…「それも人間の一面」とでも言うように。包み隠すわけではなく、光と影、美と醜が見事に共存していた。 周到に高みへ到達したのち、感傷を許さぬかのように、潔く物語は幕を閉じる。ラストシーンから流れるようにエンドロールへと転じる幕切れに、瑞希の晴れやかな一歩が重なった。暗い映画館から、眩しい外へ飛び出す爽快感を味わえる作品だ。

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cma

4.5涙を流して泣いたのはいつ以来か覚えていない

2024年10月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

幸せ

かつてはホラー監督として好きだったので首長竜でアレッ?となってから長らく遠ざかっていた黒沢作品。最近ひょんなことから「散歩する侵略者」を観てかなり気に入ったので遡り鑑賞。正直「Chime」で失望してた所からの2作品なので、この人は"愛"を描いてる方が絶対にいいのになと思った。とても不確かなのに確実に心の核にある。それを持ち得た人生で本当に良かった。極論それのない人生なら私は要らない。瑞希(深津絵里)が堪らなく愛おしい。ウチも私が先のつもりなんでどんな岸辺の旅になるのかな。

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くつむし

3.5観て良かった

2023年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

黒沢清の過去作を見返しているうちの1つ。 あと「CURE」は見ておきたい。 浅野忠信のたたずまいと深津絵里のキュートさが しっかりと見ることのできる映画。 ただ、深津絵里がキュート過ぎて枠を出すぎている感もある。 基本的には、面白いし集中して観れる映画。 ただ、見終わった後の喪失感がすごい。 そういうテーマだから仕方ないとは思うし それが心地いい事もあると思うが、見るときの精神状態は大切だと思う。 気になる点が2つ。 ・あのシーンでの霧は特殊効果ではなく現場で頑張るべきではないか? ・つまらない宇宙の話で人はあそこまで集まらないし感動しない  逆にしょうもない話の長いオッサンとして村から疎まれる。 その他の違和感演出はさすがだった。

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Nov

3.0ある日、3年間失踪していた夫、浅野忠信が突然帰宅した。 「オレ、死んだよ」 そう言った浅野忠信は目の前にあった白玉団子を食べた。 「美味い!」 翌日から2人はバスに乗って旅をはじめた。

2022年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

難しい

動画配信で映画「岸辺の旅」を見た。 劇場公開日 2015年10月1日 2015年製作/128分/G/日本・フランス合作 配給:ショウゲート 浅野忠信 深津絵里 奥貫薫 蒼井優 柄本明 深津絵里はピアノ教師。 ある日、3年間失踪していた夫、浅野忠信が突然帰宅した。 「オレ、死んだよ」 そう言った浅野忠信は目の前にあった白玉団子を食べた。 「美味い!」 翌日から2人はバスに乗って旅をはじめた。 生前、浅野忠信が世話になった人々を訪ねる旅である。 訪問先で2人は何人かの死んだ人たちとも出会う。 終始、不可解な映画だが、 まあこれはこれでいいのかなあ。 満足度は5点満点で3点☆☆☆です。

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ドン・チャック