桐島、部活やめるってよのレビュー・感想・評価
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群像劇の教本
群像劇のお手本のような作品でした。
話の土台で学園カーストを描いていますが、登場人物のそれぞれの視点で何回も同じ時間軸をなぞることで画面に映る景色が違ってきます。
個性豊かな登場人物たちだけれど、押し付けがましくない点が群像劇として優れていると感じました。群像劇は原作者や監督や脚本の思想が強弱はあれども、複数の登場人物にパートを分けられて反映されることがまま有るのですが、その要素が意図的に薄められて、プレーンに作られており、この映画を見る年代、環境、性別、立場などの違いで如何ようにも千変万化な十人十色な感想を持てるという、不思議な奇作だと思います。価値観の多様化を叫ばれるこのご時世に観るにぴったりの作品かと。
青春映画だけでは語れない、とても練られた上質な作品です。
前々から気になっていた作品
なるほど、主役不在とはこういう事か
せっかくのGWなのに映画が公開されないので、以前の映画で観ていないものを観てみました。ついつい新しく公開される映画を見てしまうので、良い機会かと。
前半はちょっと退屈。よく意味がわからなかった。
普通の高校生の普通の話が続くので。
後半になって、それぞれがリンクしたり、桐島はいつ出てくるのかと、少しずつ引き込まれました。
結果、、、主役不在というか、群衆(その他大勢)が主役になのかと気が付かされる、とても面白い話です。
また、BGMや余計な演出が無く、淡々と描かれているのが、逆にリアルでした。
また、原作のあらすじだけを確認しましたが、原作もはストーリーが違うようです。この辺りも監督と演出の妙で、原作ファンを良い意味で裏切るのだと思います。
吉田監督は「騙し絵の牙」でも同じことをしているらしい(原作は読まないので分かりませんが)。
この辺りは天才的なのだと思います。
若い頃の色々な俳優さんたちが見られて、今見ると違う楽しみ方がありますね。
ただ、私の感性が悪いのか、「なるほど、ちょっと分かる、ちょっと切ないよね」とは思うのですが、感動とか共感とまでは行かない。もともとのストーリーが合わないのか、私の感性が悪いのか。
この映画の感想は「よく出来た脚本」とか「演出が良い」とか思いますが、「泣ける」と「切ない」「楽しい」「悲しい」とかそういうことでもない。なんか不完全燃焼感が残った。
また見たくなるかも
無情な世界を走る高校生、高橋優がしっくり来る
よく『アルプススタンドのはしの方』や『のぼる小寺さん』を例える際に聞いた、この作品。そう言われて観てみたものの、僕からすると『君が世界のはじまり』に近いように受け取れた。『騙し絵の牙』の後に観たのもあってか、割と地味に映ったかな。
ピンと張り詰めた糸が一気にまっすぐになるようなクライマックス。桐島がいなくなったことで浮かび上がる、自分という立ち位置。クラスや学校で置かれた自分のポジションや関係が崩れ去った時に出てくる綻びが絶望と窒息を生み出す。そのエッセンスに、恋や友情、部活が絡んでくる。よって高校生の幼さと不安定さが滲んでくるのかなと思う。ただ、文学的な要素を含んでいるので、乗り切れないまま終わってしまった。
それにしても、キャストは豪華になったんだとシミジミ…。神木隆之介に橋本愛、松岡茉優に仲野太賀、東出昌大まで…。そうしたキャストが若くして作り上げた世界を堪能したという意味では満足。
結局、最後の高橋優が全てを語っているような気がした。そこに陽は無くともまた昇る。何を持って今を生きるのかを問うかのような。うーん、難しい。
全部、桐島のせいだ。
超今更ですが、邦画の大傑作を初鑑賞。
桐島が部活を辞めたことから始まる青春残酷物語。
桐島が部活を辞め、消えた日々をそれぞれの視点で描いていく。
最高で最悪の青春ムービーでした。
学校って色んな人がいますよね。
自分の身近にもいた、そんな色んな人がそっくりそのまま映画に出演しているかのようでした。
彼氏彼女でワイワイやっている一軍、部活一筋のスポーツバカ、一軍に合わせて付き合っている人、自分からは言わないけれど人一倍想いを抱えている文化部、一軍クソ喰らえオタク、好きなことに一生懸命なカースト底辺。
陰キャ・陽キャで片付けられない、それぞれがそれぞれの思いで学園という箱の中で生きている。
普段はそれぞれがなんとなくまとまっているけれど、(本作では)桐島がいなくなるというある一つ出来事によって、それまでなんとなく合っていた波長が崩れ、微妙な温度差が生じてくる。
そういった互いの波長のズレや運動部と文化部の間の見えない壁が驚くほどリアルに描かれていて、この数日間を彼らとともに過ごしたかのような没入感を体感することができました。
またとにかくリアルで、それぞれの視点で同じ場面が何度も繰り返される印象的な進み方によって、それぞれの視点で一つの世界を眺められてしまうのがとても辛かった。
登場人物が多く、時系列もぐちゃぐちゃなのでわかりにくいかと思いましたが、特にそんなこともなくラストまで駆け抜けるように観ることができました。
そしてどの役者もこれほどないというまで役にハマっていました。
今や主演級の俳優が揃っているのですが、それぞれの俳優のイメージに引っ張られず、本当に周りの友人なのかと思ってしまうほどの演技力。全体的に素晴らしかったです。
特に印象的だったのは今でも親交が深いというあまちゃんコンビ。
橋本愛さんは一つ一つの表情で全く違う印象を受けました。
前田がかすみに映画館で会って久しぶりに話したシーン。
辛い日常から解放された休日のような気がして、救いだった。。。のに、実は…
松岡茉優さんは今まで色んな役を見させていただきましたが、本作は本当に嫌いになりそうでした。
特にあのキスシーン。胸糞悪すぎて泣きそうでした。
そして皆が集まるべくして集まった屋上でのクライマックス。
ゾンビが屋上に集まった人たちを喰い尽くす姿は、まるでイキイキした人間が何かに縛られてた屍人を喰い尽くすよう。
今までの不穏な空気が一気に澄み渡る。見えない壁の崩壊と映画愛に溢れた最高なシーン。何度観ても涙が出ます。
全体を通して日常が平坦に過ぎていく。
しかし、彼らの感情の波は乱高下。
仲良さそうで実は無関心だったり、そぶりは見せないけれど、実はあの人のことを想っていたり。
学校の、そして人間の良い部分と嫌な部分滲み出ているようなそんな映画でした。
高校生活
俺には良くわからんかった
青春群像劇
直木賞作家の朝井リョウのデビュー作の映画化。高校生活の甘く、酸っぱく、時に、未熟だからこそ見せる辛辣な態度を、描いている。
決して、派手な演出も無く、高校生の等身大の演技や会話を中心に、高校生活のアルアルの場面を切り抜き、描写している。
特に、運動部と文化部にある、見えない優劣関係の壁は、自分も中学は野球部、高校は吹奏楽部に所属していたので、作品中の映画部ほどではないにしろ、よくわかる。
また、ストーリーに結局、桐島が登場するシーンが無かったのは、意外な展開。バレー部のエースで、誰もが認める桐島が、部活をやめることから生じる、仲間関係の歪みを、あたかも桐島が登場しているように、周りの高校生の言動から描いているのが、面白い。
それにしても、改めて出演者を見ると、主役の神木隆之介は、オタク映画部の冴えない役にピッタリの役どころ。他にも今のドラマや映画で活躍している、山本美月、東出昌大、中野大賀、松岡茉優、橋本愛、前野トモヤ…等と凄いメンバーが、顔を連ねていたのは、驚き。
自分って何者なのか? 何処へ行くのか?
高校2年生秋の群像劇。
受験=将来がある程度現実のものとさし迫っているけど、中途半端な不安と夢の狭間で揺れ動く時期。
まだ大人の管理下で、ある程度自分の限界も見えて、自分が何者なのかを決めて(受験に向かって)努力することを要求されているけど、でも、じゃあって。この努力が何に結びつくのか、結果が出せるのか、効率社会の中で轍にハマってしまうと身動きが取れなくなる。
選抜に選ばれた桐島。ドラフトに指名される可能性のない菊池。同じ”できる”者の中での格差。映画甲子園で入賞したけど、監督には成れないと認識している前田。
夢を実現するべく先にどんどん進むもの。夢を諦められないもの。先のことはどうあれ、今ここでできる夢を実現するべく(彼らなりに)格闘するもの。夢への手かがりを手にした途端に限界を認めざるを得ないもの。何をしていいのか惑うもの。何も考えていないようにしか見えないもの。
追い抜き、追い越され、置いていかれるのではという焦燥感。立ち位置。
何に追い抜かれる?わからないのに、わからないからこそ募る焦燥感。
”人は皆平等”というけれど人生横並びなんかじゃない。
”個性を磨け””世界に一つだけの花”とは言うけれど、”成りたい花”と”成れる花”が同じなら幸せだが、そううまくはいかない現実。
人との関係の中で自分が何者であるのか計る人。
自己と関係の中で自分が何者であるのか計る人。
”好き”を共有できる仲間。
”ステータス”を共有しようとする仲間。
”ぼっち”と周りに思われないために必要とする仲間。
スクールカーストという言葉ができて久しいが、じゃあカーストの上にいるとされている奴が幸せで、下にいるとされている奴が不幸せかというと微妙なところが面白い。どっちも大なり小なり息苦しい。
人の付き合いは、高校生でも駆け引きがあり、本音と建前、そして残酷。
様々なところがとてもリアルな映画。
菊池の制服が何気につんつるてんなところが笑った。高校入学してからどれだけ背が伸びた設定なんだ(笑)。反対に前田の大きめの制服。思ったより背は伸びなかった設定(笑)?。肥大した自己とちょっぴりの卑小化した自己の暗喩?
一人秘めた想い。隠しているつもりでも、周りには駄々漏れの想い。女のバトル。その想いに全然気がつかない奴ら(自分のことで一杯だから気づけない(笑))。
原作未読なので比べられないが、高校生の日常を描いた映画として、息苦しくも、過ぎた身には甘酸っぱい。
否、社会に出て迷う自分にも置きかえられて痛い。
彼らはどこへいくのか、何をするのか。
私はどこへ行くのか、何をするのか。
謎が解けないのである程度忍耐を必要とするかもしれないが、それぞれの人物の想いに最初から釘づけになり息を飲む。
(よくもまあ、これだけ芸達者を揃えたものだ)
菊池の後ろ姿で映画は終わる。菊池の後ろ姿とその向こうの風景の残像が残る中、エンドロールにのせて「陽はまた昇る」が心に沁みわたる。
屋上からのこのラストまでの展開。
いつまでも余韻が残り、心のポケットに入れて大切に愛でたくなる。
「映画史に残る圧巻のグランドフィナーレ」、確かにね。
「ハリウッドよ、これが日本映画だ」と名乗るにふさわしい映画です。
注:この映画に出てくる映画を観ていると、オタク的な面白さも加わり、前田理解に役立つけれど、観ていなくとも大丈夫。
今や、主役をはれる俳優達が揃い踏み。このころから芸達者。
東出氏の眉毛には笑うけれど、そこがまた高校生っぽい(笑)。
青春映画20年に一本の快作
青春ですね
生涯ベスト級の悶絶青春群像劇
邦画の中で好きな映画
すごい映画ですね
噂話の題名からして桐島出てこないフラグですよね
ここに桐島はいないという象徴だと思います
学校という社会の縮図に
崇められる存在として確立してしまった桐島
これは勝手な想像ですが桐島は
本当の自分を見ていない、知ろうともしない友達と、自分の立ち回り方に限界がきて、ある日キャパオーバーしたんじゃないのかなと観てて思いました。
若さゆえに、依存していた者たちのメッキが剥がれ脆く崩れていく様は観ていて面白いです。
客観的に見ると典型的な嫌なやつが沢山出てきます。
無意識にマウントしたり
人を選んで態度を変えたり
空気読んで仮面かぶったり
人の不幸を喜んだり
気に入られようとしたり
ずるいとこもあったり
裸の王様のやつの方が
腹黒いやつよりマシに思えたり
浅はかで愚かな気持ちを持ったことがあるから
自分を見ているようで辛くなります。
この感情を持ったことがない人っているんですかね?
日本で育った日本人ならではの感情を読み取れる、邦画の醍醐味なんじゃないかなと思いました。
ちゃんと心に問いかけてくる作品。
そして、クライマックスの屋上シーンが爽快です
この映画の爆発する瞬間、最高でした
学校という濃縮された世界を舞台にして
純粋で熱くて切なくて色んな感情が生まれる
自分と違う生き物と生活するのは行き詰まる
剥がれかけたメッキがちゃんと剥がれる
自分の中で大事なものが分かり、ここで戦うと決めた瞬間
ひと騒ぎ終えた後に、前田にカメラを向けられカッコいいよと言われた宏樹が涙するシーン
自分は興味すら持たなかった前田の存在。
少し会話しただけで前田は賢くて、自分よりずっと出来た人間に思えた。その真っ直ぐな瞳が追い打ちをかけてくる。
それまで自分の空っぽさに目を背けていて、それにちゃんと気付いて情けなくなり涙したのかなと思いました。
宏樹が変わった大事な瞬間だと思います。
最後、前田が部員に教えるセリフが
この作品の最大のメッセージだと思うのです
《戦おう、ここが俺たちの世界だ。ここで生きていくしかないのだから》
こんな感じのセリフだったかなと
結局、この自分でしか生きていけない
誰にもなれない、どこへ進もうと
その時置かれている環境で生きていくしかない
飛び出して別の世界へ行くか
そこに行かず篭るか
そこの世界で戦えない自分は死ぬか
大人になっても上手くやる奴は上手く立ち回れるし、不器用な奴は不器用なりに頑張るしかないんです。
その中でやりがいとか幸せを見つけるのが人生だと思います。
辛い時には、前田君の言葉を思い出して頑張っています。
人生は自分のものだ
戦おう、生きよう
桐島、部活やめるってよ
この映画、おもしろい?
結構、映画を見るほうなのだが、
この映画を見た時は、何を伝えたいのか全くもって意味不明だった。皆さんのレビュー見て、
あぁ、こう言うことかと。何回か見てなるほど。と理解できたかな?
まず、桐島出てこないことにビックリ。
あれ?桐島どこよ?なったよ。
学生の頃って、周りに流されやすかったり
自分の考えを思うように相手に伝えられなかったり、やりたいことをやりたい!って素直に言えなかったり、いろんな葛藤がみんなあって、
過ごしている。そんな中で、映画部の
神木くんは、自分の好きなことを、好きなだけとことんやる。自分の力を信じている。
なにも恥ずかしいことはない、やりたいように
仲間と大好きな映画を夢中で撮る。
自分にまっすぐに生きている神木くんの姿を見て、東出くんも自分のやりたいことを
やってみようって気持ちになれる。
こういうことだよね?
まだピンときてないところがあるのかも…
最高
本当に素晴らしいです。沢山の思想、価値観が入り混じって、どれが勝つかは登場人物によって違うし、正解がない。世の中の全てのコミュニティの縮図になってる。また余白の残し方がちょうど良い。評価が完全に別れることも、この映画の狙い通りだと思います。見る人によって感想が全然違うことは、劇中の登場人物たちの存在を肯定するものなので、結構なことだと思います。意味不明だと思って記憶の彼方に放り出す人はそのままでいいし、少しでも引っ掛かったらずっとそのままでいるべきです。中身がぎっしりで沢山考えさせられるので、何度も見るのはしんどいですが、折に触れて思い出すようなずっと心に残る映画です。
ヒエラルキーって、、、
長々とレビュー書いたのに消えた、、、ガーン
とにかく、高校生は大変だー。
学生時代のヒエラルキーを思い出すけど、
こんなに可愛い女子も、あんなにかっこいい男子も
いませんでしたけどね!
鑑賞前にはレビューは読まない主義で、観賞後に読むなかで、観た人たちが、登場人物の誰かに共感する、または自分はこんなだったなーと当てはめる的なことを言ってる人がいましたが、私は残念ながらどのキャラにもあてはまらず。。。当てはまってたらもっと楽しかったかもーとも思うとちょっと悔しい。
学校の中のヒエラルキーって、大人になった今では本当にどうでも良いものなのだが、学生たちがヤーヤーやってる分を映画で観るのは面白い。ただ、これが大人になっても現実社会で同じことやってる人を見るとドン引き。大人になってくださいませといつも思う。
そんな中で生きていくしか無いのだっという前田(神木隆之介)の脚本の中のセリフ。そのとーりー!です。
今は主役や名脇役へと成長している俳優たちがたくさん出演していて、とても豪華な映画です。
物語の進み方は、ある一日をいろんな人間からの角度から写しているのでわりと好きな創り方。
学校の人気者である桐島が部活をやめるってことで、ヒエラルキーが崩れてしまった後からの、それぞれの反応が面白かったなぁ。
桐島を軸に、それぞれが属しているところで揺れが起こったり、起こらなかったり。
そもそも属するグループ自体とても曖昧。
それがまだまだ人間として未熟な高校生ならではの気もするけど、大人も一緒なんですよね実は、、、
宏樹が普段関わることのない前田に、8mmカメラを向けて冗談のように聞いた質問。将来は映画監督ですか?アカデミー賞ですか?との問いに真面目に違うと答える前田。前田こそ、自分の好きなものに今まっすぐに取り掛かっている。例え先生から反対されても。そんな前田を前に、野球部に戻れずふらふらしている自分が情けなくなったのか、宏樹が悲しい顔をして後ろを向いてしまうシーンは印象的でした。
登場人物の女の子達もとても不安定で、でも、自分自身を振り返るとそんなもんでしたね。そう考えると全くこのキャラ!って当てはまらなくても、なんかしら共感できる場面があったようにも思えてきたぞ。
宏樹もその友達も、バレー部の部員も、女の子達も、映画部のメンバーも。どのキャラクターも観ていて楽しませてもらえた。
また観たいなー
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