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各種サイトでのジャンル分けや大まかなあらすじをみて
この作品をサスペンスとして認識してしまっていたので
冒頭からだいぶ?マークが続く中で鑑賞してしまった。
これが一番の失敗だったと思う。
先入観は本当によくない。
まず、妻が旦那の不貞の事実を出産前から知っているので
捜査線上に真っ先に第一容疑者として上がっており
所在不明で逃亡している時点で公開指名手配だと思います。
そういう状況下かつ、現代の日本社会で、
この偽親子の居場所を作るための舞台として
謎の宗教団体が描かれるのは、どうしても陳腐に感じてしまう設定です。
ただ、教祖様の変な関西弁?の影響下に置かれたせいか、
永作博美が徐々に関西弁になっていく点は
彼女が誘拐犯から母親へと変化していく事を感じられるし、
冒頭からの小池栄子の馴れ馴れしさへの違和感が解消された点においても
この舞台設定が必要だったのかもしれませんが。
次、
小豆島はとてもいいところです。
瀬戸内海の島々の穏やかな、心地いい雰囲気が本当に好きです。
とはいえ、中盤からの観光PV化はちょっと唐突で驚きました。
事件発生から3~4年後?だとしても
大々的に報道され、全国に指名手配されているはずの
幼児連れで素性のわからない女性が訪ねてきた際、
風吹ジュン以外の周囲の人間まで、すんなりと受け入れてしまうのは
田舎らしい暖かい純朴な人間関係を強調したいにしても
少し感傷的すぎるのではないでしょうか。
小豆島は警察もいない未開の地ではないですし、舞台は戦後の動乱期でもありません。
じゃあ、どこに逃亡すればいいんだと言われるとなかなか難しい。
ようするに、現代において、特殊なサバイバル能力のない一般女性が
幼子を連れて長期間、逃亡生活を送ることに無理があるのではないか。
などと無粋なツッコミは要らないのであります。
これはジャンル分けするならヒューマンドラマなので。
でも、それにしては森口瑤子演じる実の母の描写がちょっと少なすぎやしないか。
その割には上映時間長いな。
いや、実の母がいかに不憫であっても、
メインテーマから外れる以上はやむを得ないのか・・・。
永作博美の演技が素晴らしいのは間違いないのだが、
どうしても森口瑤子への同情が勝ってしまいました。
あ、船着き場での別れから
偽りの母に再会せずに井上真央の決意で終わるエンディングはとてもよかったです。
最後に、
劇団ひとりはコント師としての演技は巧いと思うし、面白い人ですが
この映画ではノイズでしかないと思います。