八日目の蝉のレビュー・感想・評価
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オレは母親になれたのか
いや、無理。
「告白」を意識した導入と松竹伝統の観光めぐり。娘に焦点を当てたのは正解だな。そのくせ、森口さんをああ演じさせたのは、いやらしさ満点、ホントは娘に焦点を当てた本にしたことにたいした意味をもたせてなく、井上さんをいっぱい画面に映したい、演じさせてあげたい、としか考えていないんじゃないかとも思えてくるほど大失敗。
不倫相手が劇団ひとりさんだっとことや、彼とのベッドシーンは生々しくてよかったけどね。あーオレやっぱシャワーは浴びるわ。
原作未読
各種サイトでのジャンル分けや大まかなあらすじをみて
この作品をサスペンスとして認識してしまっていたので
冒頭からだいぶ?マークが続く中で鑑賞してしまった。
これが一番の失敗だったと思う。
先入観は本当によくない。
まず、妻が旦那の不貞の事実を出産前から知っているので
捜査線上に真っ先に第一容疑者として上がっており
所在不明で逃亡している時点で公開指名手配だと思います。
そういう状況下かつ、現代の日本社会で、この偽親子の居場所を作るための舞台として
謎の宗教団体が描かれるのは、どうしても陳腐に感じてしまう設定です。
ただ、教祖様の変な関西弁?の影響下に置かれたせいか、
永作博美が徐々に関西弁になっていく点は
彼女が誘拐犯から母親へと変化していく事を感じられるし、
冒頭からの小池栄子の馴れ馴れしさへの違和感が解消された点においても
この舞台設定が必要だったのかもしれませんが。
小豆島はとてもいいところです。
瀬戸内海の島々の穏やかな、心地いい雰囲気が本当に好きです。
とはいえ、中盤からの観光PV化はちょっと唐突で驚きました。
事件発生から3~4年後?だとしても
大々的に報道され、全国に指名手配されているはずの
幼児連れで素性のわからない女性が訪ねてきた際、
風吹ジュン以外の周囲の人間まで、すんなりと受け入れてしまうのは田舎らしい暖かい純朴な人間関係を強調したいにしても少し感傷的すぎるのではないでしょうか。
小豆島は警察もいない未開の地ではないですし、舞台は戦後の動乱期でもありません。
じゃあ、どこに逃亡すればいいんだと言われるとなかなか難しい。
ようするに、現代において、特殊なサバイバル能力のない一般女性が
幼子を連れて長期間、逃亡生活を送ることに無理があるのではないか。
などと無粋なツッコミは要らないのであります。
これはジャンル分けするならヒューマンドラマなので。
でも、それにしては森口瑤子演じる実の母の描写がちょっと少なすぎやしないか。
その割には上映時間長いな。
いや、実の母がいかに不憫であっても、メインテーマから外れる以上はやむを得ないのか・・・。
永作博美の演技が素晴らしいのは間違いないのだが、
どうしても森口瑤子への同情が勝ってしまいました。
あ、船着き場での別れから
偽りの母に再会せずに井上真央の決意で終わるエンディングはとてもよかったです。
最後に、
劇団ひとりはコント師としての演技は巧いと思うし、面白い人ですが
この映画ではノイズでしかないと思います。
夕飯を食べておきましょう
タイトルなし
ずっと観たかったのに後回しにしていたが、ようやく鑑賞。原作は既読、と言うか映画の前に読んでおきたいと思い、1週間程前に読み終えた。
原作は前半が永作さんのパート、後半が井上さんのパートと分かれており、基本的には時系列に話を追える。映画は永作パートと井上パートを交互に描いていく感じで、時系列は現在と過去を行ったり来たりと原作よりも話を追うのは難しそうではある。どちらかと言えば井上パートがメインで過去を振り返るように永作パートが挟まれていく感じ。原作と比べると永作パートはかなり縮小されているが、流石に小豆島のシーケンスは偽親子に感情移入させる為、手厚く描かれていた。それに永作さん逮捕の瞬間は、やっぱり泣いた。
原作だとラストだった小豆島行きのフェリーを待つ港での永作と井上のすれ違いが削られていた。再開を期待して読んでいたし、2人が再開しているのに、お互い顔が判らず気付かないままスレ違って行くのが凄く心残りで、読後もずっと余韻を残す物と成っていたから削られていた事には驚いた。代わりに映画では井上が小豆島に上陸した後の事が描かれていた。子供の頃に永作と一緒に撮った写真を見つけて、過去の姿の永作と再開している。これはこれで良かった。
意外な事に小池栄子さんが凄く良かった。昔、何かのドラマで演技を観て大絶賛していた事を思い出した(その割には何のドラマだったかすら覚えていないのだが…)。そんな事を当時からも思った事は無かったが綺麗な人だなと思った。
泣ける
原作は昔読んでいて、心動かされたことを覚えていたけど、今回映画を見た時は(初見)ほぼ細かい内容は忘れていたので、フレッシュな感覚で見れました。
そして2度目の号泣。
感想
愛ってシンプルなようで複雑
ダメ男(✖️2)以外は美しいものばかりで、悲しさを深めていると感じました。自分は女として母として見ているので、深い愛を感じて感動しました。でも男性が見るとどうなのかしらと思ったり。
それにしても、ダメ男を愛してしまう女が、やっぱりちょっと理解できない。
小池栄子さん、もっと野暮ったい服装だとリアリティあり。
風吹ジュンさん、いつも素敵💓
井上真央さん、最近お見かけしていないけどやっぱり演技上手と思います。
永作博美さん、大好きな女優さん。
小豆島の美しさにも本当に心奪われました。
逃亡は土台無理。。
誘拐犯を母と慕った4年間、人生をめちゃめちゃにされた娘の20年。
不倫相手の妻が妊娠して子供を産んだ。
一目見ようと訪ねた家のベビーベッド。
野々宮希和子(永作博美)に新生児は笑いかけた。
咄嗟に抱き上げて連れ去る。
希和子はこうして乳児誘拐逃亡犯になった。
逃亡生活は4年間で、希和子の逮捕で終わる。
実父母に戻された秋山恵里菜(薫=井上真央)は20歳に成長して、
実家を出てアパートで大学生としてアルバイトに明け暮れている。
過去(希和子との逃亡の日々)そして現在の恵里菜の生活が
交互に頻繁に行き来して描かれる。
薫(恵里菜)は実父母に戻されても、
「知らないおじちゃんとおばちゃんと暮らす自分」に馴染めず、
実母(森口瑤子)は、苛立ちを隠せず叱ったり怒鳴ったり、
恵里菜には安住の家はどこにもなかった。
その恵里菜が妻子ある予備校講師の男(劇団ひとり)の子供を
妊娠する。
そしてこの映画で重要な役割を演じる
ルポライターの安藤千草(小池栄子)が狂言回しとして、
物語を動かして行く。
この安藤が恵里菜に接触して来て、過去の記憶を聞き出し、
孤独な恵里菜の友達になって行くことと、
実際に4年間の希和子と薫の足跡を辿って行く。
駆け込み寺だった「エンゼルホーム」
そこから小豆島の製麺所。
希和子と家族写真を撮った写真館。
そうすることで、恵里菜の薫としての記憶は鮮明に蘇って来るのだった。
この映画で、悲しく無い人は誰もいない。
誘拐した希和子も、
誘拐された恵里菜も、
その実母も実父も、全てが不幸の中にいる。
題名の「八日目の蝉」の意味は、
蝉はこの世に孵化してから7日間しか生きられない。
もし8日目を生きる蝉がいたら、その蝉はただ一匹だけ、
みんなの知らない世界を見てしまう。
それが幸せなことなのか!不幸なことなのか?
その蝉が恵里菜(薫)なのだ。
恵里菜もまた不倫の子を妊娠する・・・
この設定はどうなのだろう?
千草と恵里菜の2人で育てると決めるけれど、そんなに簡単に
育てられるかも分からないし、少しエゴかな?とも思う。
薫にとって誘拐犯の希和子との4年間は、
もしかしたら宝物のような日々で、
母親に無条件に愛された記憶、
なかもしれない。
だがそれは、洗脳された、とも言えなくは無い。
(鮮烈な映画でした)
ラストシーンが圧巻
10年前に観た映画の再鑑賞。
人によって語るべき論点や視座はたくさんあるだろうけれど、個人的に特に刺さった点について。
他人の子を拐って自分の子として育てた母。
「この子にもっと綺麗なもの、美しい景色をたくさん見せてやりたい」という思いは、親の持つ子への愛情そのもの。(個人的に10年の間に自分が親になり我が子に似たような感情を抱いたことから、より一層強く感じた。)
小豆島の美しい風景、伝統や文化。その風土に根付いた人々の暮らし。それらを映し出した映像の素晴らしさが、母と子のやり取りにに説得力を与えて、観る人の感情を揺さぶる(決して長くは続かないことが分かっている関係で、それを知っていたからこそなおさら響く)。海の前でじゃれ合って抱きしめ合っているシーンは、本当の親子であったらどんなに良かっただろうと心揺さぶられる。
憎むべき犯罪者と言い聞かされ封じ込めていた「確かに自分が愛されていた」という記憶。古い写真の現像液のネガから浮かび上がってくる描写。決して会うことが許されないその女も写真を取りに来ていたと告げられた事実。思わず坂道を走り出して、自分のお腹の子への愛情を吐露するラストシーン。
10年前に観たときから本当に良いシーンだなと感じたことを、今回また改めて感じた。
メリハリのついた脚本は秀逸で、難しい役どころを演じた永作さんと井上さんの演技は素晴らしい。本当に良い映画と思いました。
重い余韻が残る作品。 偽りの親子でありながら全ての母性をもって子ど...
重い余韻が残る作品。
偽りの親子でありながら全ての母性をもって子どもに愛を注ぐ母親役を永作博美が鬼気迫る熱演。
井上真央もかわいい見た目に反した影のある役を上手く演じている。
あと小池栄子が少し風変わりな役を好演している。
劇団ひとりはいらんかったわ。
現在と過去を切り替えてのストーリー展開も人物への感情移入が深まり良い。
エンジェルホームの不気味な雰囲気や瀬戸内の穏やかな日々等、情景のコントラストが印象的。
誘拐した犯人側の視点で描かれ美談のようにまとめられているが、子どもを誘拐された実の母親の心労を想像すると胸が痛む。
不倫男がクズ。
これは
この映画は凄すぎた。
おもしろい、この言葉は合ってないかもしれない。言語化が難しい。
構成とかテンポとか、小豆島もいい、カルトっぽいのがあったり、挿入歌もいい、配役もいい、俳優陣の演技もいい、終わり方も、逆に。
緊迫してるわけでもないのに引き込まれる、すごい映画。ほんと満点。
子供の頃を思い出す。 親の愛は無条件で、大事に育てられた記憶が、大...
永作博美の演技がすごすぎる
封印されていた薫の記憶が呼び起こされる
原作小説は10数年前に読了。そのため記憶の怪しい部分があるが、今作は原作以上に素晴らしい出来栄えだと思う。
忌まわしい事件の記憶を封印していた薫が、かつて自分が過ごした場所を訪れることで徐々に記憶の封印を解いていく。そして忌まわしい記憶という認識は誤りだったことに気づく。薫は普通の家庭で育って無いから、これから生まれてくる子供にどう接していいか分からなかった。しかし、実は自分が希和子に愛情をもって育てられていたため、子供にも同様に接すればいいのだと気付いた。そのため薫は、これまでのくすんだ灰色に見えていた自分の人生が、急に彩りを持ったように見え方が大きく変わったのだ。
希和子を演じる永作博美の演技が、文句のつけようが無いほど素晴らしいのがさらに感動を誘う。地域のイベントに参加したり、近所の子ども達と話したりする姿は、まさに愛情に溢れた優しい母親そのものだった。写真館の無愛想な店主も、色々察しているはずだがそれを態度や言葉に出さないところが、人それぞれの人生があることを理解しているように感じられてしみじみとする。
さらに、小豆島の美しさが素晴らしい。山の上から見える夕焼けに染まった海や山林の眺望や、ヒグラシの鳴き声が日本の夏を感じさせる。これらの映像が、希和子と薫の過ごした時間と合わさって、2人の色褪せない思い出になっているのを感じられる。
『見上げてごらん、夜の星を』
男が悪いな
最後まで観終わったが、最初と同じく
タイトル通りの感想。
希和子が薫(恵理菜)に愛情をたっぷり注ぎ
心優しく育てている姿を観れば、
自身の子を産み育てていれば、
今でも親子二人で仲良く一緒に暮らしていた
だろうに、と思う。
だけど、誘拐してしまった。
お乳が出ない希和子、
泣き叫ぶ赤ちゃんがかわいそう、
役でも実際でも。
エンジェルホームとか共産?体制のところに
居場所を見つけ、中に交じって暮らす。
ここの服装ミレーの落ち穂拾いか?
しかし内部見学に見せかけて調べられるかも、
と逃げ出す。
約20年前の映像の間に現在の様子が映される。
恵理菜は、両親と不仲で学生ながら
自活して一人暮らししていた。
理由は誘拐事件が原因らしい。
犯人の希和子をも憎んでいた。
それは構わないけれど、なぜ劇団ひとり❓
もっといい男を選べなかったのか、
父親も田中哲司だし‥‥(モテるらしいが)。
この20歳の恵理菜も妊娠してしまった⁉️
エンジェルホームで暮らしていいことが
あった。
取材と称して接触して来た千草がホームでの
幼馴染と判明したのだ。
親離れを願う千草が、一人ぼっちの恵理菜を
応援してくれるのだ。
希和子が次の棲家と考えたのはホームで
親しくなった久美の実家のある小豆島。
久美が出た後寂しく暮らしていた両親に
気にいられ、薫も孫同然に育った。
近所に遊び相手もおり、薫のふるさとかも。
しかし、祭りで撮られた写真が全国的に
出回ることがわかり逃げ出す希和子だが。
小豆島に着いて住んでいた素麺所を訪れ
懐かしむ恵理菜。
島を去る時最後にプロに撮ってもらった
希和子との一枚の写真、を憶えていて訪れる。
写真館の主人から
数年前に希和子も来たことを知らされ
焼き増しされた写真を手にとり、
やはり確かめるのである。
希和子に愛され大事に大事に慈しまれ
育てられたことを。
泣いてしまった
とてもいい作品だった。二人の母親のどちらの感情も理解できるので、娘の生きる辛さがしみじみと感じられた。特に最後のシーンで故郷へ帰り、自身が過ごしていた日々と母親の愛情を思い出す場面が素晴らしかった。
複雑でも、分かった愛するということ…
見終わってとても複雑な気持ちになった。親だと思っていた母親は実は誘拐犯だった。その後本当の両親に育てられても人を愛することが分からない。思い出すのは育ての親ばかりで、会いたい気持ちを押し殺して育ったから。本当の親の気持ちを考えると会いたくても、口にすることもできない。でも、自分も子供を身ごもり、当時の育った場所を訪れる内に、育ての親とのことを思い出し、親から受けた深い愛情が分かり、それを自分の子供に伝えたいという感情が体中から沸き起こるラスト。不倫相手である本当の父親との間に子を身ごもったが堕ろすことを命ぜられ、子供ができない体にされてしまった女の気持ちを思うと、誘拐犯を肯定してしまう気持ちで見てしまう。永作博美の演技にも寄るところが大きい。一方、不倫相手に子供を誘拐され、戻ってきた子供は自分のことを母親とは思わず、一生それを背負って今を生きている母親も、不幸でならない。やはり、罪は父親だろう。いつか、誘拐犯でも愛を注いでくれた育てに会ってほしいと思ってしまう。
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