テレンス・マリックの初長編作「バッドランズ」3月7日から日本初公開
2025年1月30日 20:10
1950年代末、ネブラスカ州とワイオミング州で約2カ月の間に11人が殺された連続殺人事件。罪を重ねながら逃避行を続けた犯人のチャールズ・スタークウェザーとその恋人キャリル・アン・フューゲートはまだ十代だった──。本作は、全米を騒然とさせたこの事件を基に、クレジットなしで参加した「ダーティハリー」(1971)ほか数本の脚本を書いただけで、当時無名だったマリックが脚本・製作・監督を手掛けた作品だ。
(C)2025 WBEI続く「天国の日々」(1978)と「シン・レッド・ライン」(1998)によって巨匠の地位を確立し、「ツリー・オブ・ライフ」(2011)でカンヌ映画祭パルム・ドールを受賞したマリックの監督デビュー作であり、アメリカ国立フィルム登録簿に記載されるなど、今やアメリカ映画史上の最重要作の一本と見なされている。70年代当時、日本では劇場公開が見送られ、1980年5月にTVの深夜映画枠で「地獄の逃避行」という邦題で初放映された。本国公開から半世紀以上を経て、遂に日本初公開となる。
(C)2025 WBEI殺人犯キットと恋人のホリーは指名手配され、警察に追われるが、ホリーの目を通して語られるエピソードの数々は、どこか夢の中の出来事のように描かれる。アメリカ中西部の広大な荒地、永遠に続くかに思われる夕焼け、青空へ舞いあがる赤い風船といった美しい映像のなかで、ふたりの逃避行は詩情豊かであり、ロードムービーとしても傑出した魅力に溢れている。キットを演じるのは後に「地獄の黙示録」(1979)に主演するマーティン・シーン。ホリー役に「キャリー」(76)のシシー・スペイセク。そして、ホリーの父親役を「デリンジャー」(73)の名優ウォーレン・オーツが演じている。また本作は、「スリー・ビルボード」(2017)のマーティン・マクドナー、「ムーンライズ・キングダム」(2012)のウェス・アンダーソン、「リバー・オブ・グラス」(1994)のケリー・ライカートら、のちの監督たちにも大きな影響を与えている。
(C)2025 WBEIこのほど公開された特報映像ではふたりが出会い恋に落ち、逃避行へと出発する姿をリズミカルにとらえたシーンが確認できる。本作の大ファンだったトニー・スコット監督が「トゥルー・ロマンス」(1993)で引用し、最近ではソフィア・コッポラも「プリシラ」(2023)で引用した作曲家カール・オルフによるテーマ曲「ムジカ・ポエティカ」のやさしいマリンバの音色も印象的だ。
3月7日から新宿ピカデリーほか全国順次公開。
(C)2025 WBEI
関連ニュース
愛する男の首と逃避行!? 女性の解放描く痛快冒険譚、コンペティション作品「裏か表か?」囲み取材【第38回東京国際映画祭】
2025年10月31日 10:00
映画.com注目特集をチェック
スプリングスティーン 孤独のハイウェイ
【人生にぶっ刺さる一本】すべての瞬間が魂に突き刺さり、打ち震えるほどの体験が待っている
提供:ディズニー
ブルーボーイ事件
【日本で実際に起きた“衝撃事件”を映画化】鑑賞後、あなたは“幸せ”の本当の意味を知る――
提供:KDDI
なんだこの面白そうな物語は…!
【ヤバすぎる世界へ、ようこそ】“最弱”ד下半身を失ったアンドロイド”…予告だけで今すぐ観たい!
提供:ディズニー
火の華
【あまりにも凄すぎた】“日本の暗部”に切り込んだ圧倒的衝撃作――フィクションかノンフィクションか?
提供:アニモプロデュース
盤上の向日葵
【「国宝」の次に観るべき極上日本映画に…】本作を推す! 壮絶な演技対決、至極のミステリー、圧巻ラスト
提供:松竹
てっぺんの向こうにあなたがいる
【世界が絶賛の日本映画、ついに公開】“胸に響く感動”に賞賛続々…きっとあなたの“大切な1本”になる
提供:キノフィルムズ
