カンヌ映画祭終盤、コンペ高評価作立ち並ぶ 「エルヴィス」上映でバズ・ラーマン監督「彼は元祖パンクロッカー」
2022年5月27日 17:00

第75回カンヌ国際映画祭もいよいよ終盤を迎え、おおよそ全貌が見えてきた。
現在評価が高い作品は、「ビューティフル・ボーイ」のフェリックス・バン・フルーニンゲンと彼のパートナー、シャーロット・バンダーミーシュが共同監督し、イタリアの山村を舞台に男の友情を美しく描いた「The Eight Mountains」、ジェームズ・グレイがニューヨークのブルックリンを舞台に自身の子供時代を題材にした「Armageddon Time」、「ザ・スクエア 思いやりの聖域」でパルムドールを受賞したリューベン・オストルンドが、金と外見的な美に執着を抱く富裕層を徹底的に皮肉った「Triangle of Sadness」、ビゴ・モーテンセン、クリステン・スチュワート、レア・セドゥーら豪華キャストによるデビッド・クローネンバーグの近未来SF「Crime of the Future」など。クローネンバーグは「イグジステンズ」や「戦慄の絆」など、かつての内臓系ホラーに回帰した印象がある。
今後最終章を締めくくる作品としては、是枝裕和監督の「ベイビー・ブローカー」、「Girl ガール」のルーカス・ドンによる「Close」、ケリー・ライカートの「Showing Up」などが待機している。

アウト・オブ・コンペティションでは、バズ・ラーマンがエルヴィス・プレスリーを描いた話題作「エルヴィス」も披露された。プレスリーが後に悪徳マネージャー(トム・ハンクス)として知られることになるトム・パーカーに見出され、瞬く間に人気を博していく一方、セクシー過ぎるステージングがスキャンダルとなり逮捕されたり、ブラック・ミュージックから強い影響を受け、人種差別が横行する時代にB・B・キングらと交流を深め、黒人音楽の影響を公言した反逆児としての顔を映し出す。
ラーマン監督は記者会見で、「エルヴィスは若い頃からブラック・ミュージックに親しみ、そこから自分なりの音楽を作り上げた。とてもスピリチュアルな人であったと同時に、彼のエネルギッシュなパフォーマンスはパンクであり、元祖パンクロッカーと言えると思う」と持論を展開した。
また3年の歳月をかけてプレスリーを研究し尽くしたという、主演のオースティン・バトラーは、「彼の動き、声、眼差しなどを研究して浸り続けたおかげで、鏡を見て、自分でもプレスリーが居ると思えるようになった。でも僕にとってもっとも大事だったことは、彼のソウルが滲み出るようにすることだった。彼の人生を体現し、そのレガシーを生きることは、とてもエモーショナルな体験となった」と語った。

今年の映画祭ではまた、75周年を記念して、これまでカンヌに縁のあった映画人やスターたちがレッドカーペットに集結した。ギレルモ・デル・トロ、マッツ・ミケルセン、ガエル・ガルシア・ベルナル、ジェイク・ギレンホール、イザベル・ユペール、ダイアン・クルーガーなどが顔を見せたほか、「シネアストたち」と題されたトークで、デル・トロやパオロ・ソレンティーノら映画監督たちが、デジタル世代における映画の役割と未来について話しあった。(佐藤久理子)
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