【第42回日本アカデミー賞】樹木希林さんが最優秀助演女優賞 天国へ捧ぐ万雷の拍手
2019年3月1日 21:57

[映画.com ニュース]第42回日本アカデミー賞の授賞式が3月1日、東京・グランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで行われ、「万引き家族」に出演した故・樹木希林さんが最優秀助演女優賞に輝いた。2018年9月15日に死去した“大女優”が、第34回の「悪人」に続いて2度目の同賞を獲得した。
「万引き家族」は、「三度目の殺人」「海街diary」の是枝裕和監督が、家族ぐるみで軽犯罪を重ねる一家の姿を描いたヒューマンドラマ。第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、日本映画としては1997年の「うなぎ」以来、約21年ぶりとなる最高賞のパルムドールを受賞したほか、第91回アカデミー賞では外国語映画賞にノミネートされていた。
樹木さんは家族で唯一、定収入があった年金受給者・初枝役。 入れ歯を外し、白髪を伸ばすことで、枯れたような老婆を外見からも体現してみせた。樹木さんと5年前に総合司会を務めた西田敏行は、「司会の様子は、いまだにしっかりとまぶたに焼き付いています。淡々としていらっしゃるんですよね。受賞して、生存していらっしゃったらば、『嬉しくもあり、嬉しくもなし』というご返事がいただけるんじゃないかと」と目を細め、天に向かって「誰にも真似できない、唯一無二の先輩。あなたを真似したいんですが、真似できません」と語りかけた。
ステージには娘・内田也哉子が上がり、役所広司から代理で最優秀ブロンズを受け取った。母の写真を背後のスクリーンに感じながら、「生前、母がよく口にしていた『時が来たら、誇りを持って脇にのけ』。文字通り、今日をもってできると思います」と切り出した。
「6年前に『わが母の記』で最優秀主演女優賞を頂いた時、母は、まさしくこの舞台で、『これをいただくと来年司会でしょ。冗談抜きで全身がんなので、来年の仕事を約束できないのよ』と口を滑らせました。私は母に、『なんでこんなお祝いの場でそんなことを言うの』とクレームをつけました。本人はいたって平然と、『だっていつ死ぬかわからないから、ちゃんと断っておかないと、先方にご迷惑をかけるじゃない』と。つくづく、母はなんとまっとうな心を持ったアナーキストなんだ、と思った」。淡々と、しかし惜別の念を込めながら「最初の乳がんが見つかってから、再発を何度も繰り返しながらも、13年という日々を、愛おしく……」としばし沈黙し、目を閉じながら「……愛しく、まるで病気に感謝しているように見えました」と続けた。
さらに「不思議だったのは、がんがわかって真っ先にしたことは、父に会い、これまでのすべてを謝ることでした。残された時間がわずかだと知った時に、関わった人に謝ってから逝きたいと、実に自分勝手な謝罪でしたが、実に母らしい」と思いを馳せる。「58年の役者人生において、映画づくりという真剣勝負の現場で、彼女の発言が、時に人を傷つけたりもしたと思います」としたうえで、「この場を借りて、すべての映画関係者に、彼女に代わって深くお詫び申し上げます。それらのひとつひとつの稀なる出会いに、心より感謝申し上げます。本当に長い間、お世話になりました」と結ぶと、樹木さんに捧ぐ万雷の拍手が会場中に響き渡っていた。
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