「シェイプ・オブ・ウォーター」デル・トロ監督、菊地凛子との再会に喜び爆発
2018年1月30日 18:30

[映画.com ニュース] 第90回アカデミー賞で最多13ノミネートを記録した「シェイプ・オブ・ウォーター」のメガホンをとったギレルモ・デル・トロ監督が来日し、1月30日に都内で記者会見を行った。会見には、「パシフィック・リム」でデル・トロ監督と組んだ菊地凛子も駆けつけた。
「パンズ・ラビリンス」のデル・トロ監督が監督・脚本・製作を手がけ、2017年・第74回ベネチア国際映画祭で金獅子賞、第75回ゴールデングローブ賞で2部門に輝いたファンタジックなラブストーリー。清掃員として政府の極秘研究所に勤める女性イライザ(サリー・ホーキンス)と不思議な生き物の種族を超えた運命的な愛をつづる。
オスカーノミネート直後の来日となったが、「『パンズ・ラビリンス』に続いて2回目のノミネートだけれど、自分を表現した作品で選出されたことがとてもうれしい。詩の力強さを、私は信じている。ファンタジーでしか表現できない美しさがあると思う」と自身の美学を語り、「車を運転していると、ラジオから素晴らしい曲がかかってボリュームを最大にし、自分も思わず歌いだしてしまうことがあるよね。そんな高揚感を抱いてほしい。そして、ハリウッドの黄金時代を感じてほしい。でもちょっと奇妙なね」と満面の笑みを浮かべた。
作品の舞台裏についても言及し、「色に関しても、綿密に計算している。イライザのアパートは青で、壁紙は魚のうろこ調だ。葛飾北斎が描いた大きなコイから持ってきている。ほかのキャラクターの家は、暖色にしている。そして、赤が使われているのは愛・映画、緑が未来を示している」と解説したほか、本作の大きな主役である“水”についても「映画の冒頭と最後の方は、水を一切使っていない。古い演劇の手法なんだが、部屋全体を煙で充満させて、ワイヤーですべてを吊るんだ。そして、スローモーションで撮影し、風を送ってビデオプロジェクターで水の効果を投影しているんだよ。中盤のバスルームでのシーンは、本当に水を使っているよ」と明かした。
映画を会見前日に鑑賞したという菊地は、「本当に美しい。究極のラブストーリーだと思います。役者さんは皆、目にたたきつけるようなお芝居をされていて、力強くて美しかった」と絶賛。「『バベル』でアレハンドロ(・ゴンサレス・イニャリトゥ)監督に紹介していただいて、デル・トロ監督に『出たいんです』と言ったら本当にかなった。愛情深い方で、700人以上いる現場でも、すべてのクルーに対して的確に指示や演出をされる。『パシフィック・リム』の際、水に飛び込むシーンは危険なのでやりません、と聞いていたんですが、監督からはやってみようかと言われて、やりましたね。そして、1発OKをいただいたんです」と監督との思い出を語った。
菊地の言葉をうれしそうに聞いていたデル・トロ監督は、「(菊地)凛子がいたから、『パシフィック・リム』を撮ろうと思ったんだ」と笑顔満面。会見では舞台転換の際に歌を歌ってマスコミから拍手喝さいを浴びたほか、「日本に来る前はジャケットのボタンを留められたんだけど、おせんべいやしゃぶしゃぶを食べすぎて無理になっちゃった」と語り、場内を爆笑に包んでいた。
「シェイプ・オブ・ウォーター」は、「パディントン」シリーズや「僕と世界の方程式」など良作が続くホーキンスが主人公のイライザを演じるほか、「ノクターナル・アニマルズ」の怪演が記憶に新しいマイケル・シャノン、「ドリーム」「gifted ギフテッド」のオスカー女優オクタビア・スペンサーらが出演している。3月1日から全国公開。
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