劇的“ジジイ”ビフォーアフター!「龍三と七人の子分たち」──あの頃君は若かった
2015年4月23日 08:30

[映画.com ニュース]北野武監督の最新作「龍三と七人の子分たち」の主要キャストである藤竜也、近藤正臣、中尾彬の20代の頃のポートレートを映画.comが入手した。試写会後のアンケートでは20代以下の満足度が最も高く、女性層からは「“ジジイ”がかわいい」という声も上がっているという本作。劇中では“渋さ”と“かわいさ”を兼ね備えた魅力をいかんなく発揮している藤ら3人だが、このたび公開された若かりし頃の写真を見て、そのイケメンぶりに驚く人も多いのではないだろうか。
藤竜也は1941年8月27日、中国・北京生まれ。大学在学中にスカウトされて日活に入社し、「望郷の海」(1962)で役者デビューを果たした。76年に公開された大島渚監督の問題作「愛のコリーダ」では濃厚なベッドシーンを演じ、大きな話題となった。以後さまざまな役柄をこなす実力派俳優として第一線で活躍し、近年は若手監督の作品にも意欲的に出演している。
本作で藤が演じたのは、以前は誰もが畏れた元やくざの親分・龍三。引退した現在は大企業で働く息子家族の家に肩身の狭い思いで身を寄せながら、世知辛い世の中を嘆いているというキャラクターだ。これまで凶悪犯や用心棒などの悪役・敵役を演じることの多かった藤にとっては久々のアウトロー役となり、いまなお衰えぬ不良性感度抜群の色気を醸し出している。
近藤正臣は1942年2月15日、京都府生まれ。名匠・今村昌平監督の「"エロ事師たち"より 人類学入門」(1966)でデビューし、71年にテレビドラマ「柔道一直線」で主人公のライバル役を熱演して人気に火がついた。その2年後にNHK大河ドラマ「国盗り物語」で明智光秀を演じ、全国区の人気を得てからは、多数の映画、テレビドラマ、舞台に出演している。
近藤が扮するのは、体を張って龍三の命を救ったこともある龍三の兄弟分“若頭のマサ”。生活保護を受けながらひとりで団地に住んでおり、丁半博打が大好きで何かと賭けたがるのが特徴だ。近藤は若い頃に仁侠映画に多数出演した経験を生かし、昔気質の元やくざを凄みたっぷりに好演している。
中尾彬は1942年8月11日、千葉県生まれ。64年に中平康監督・加賀まりこ主演の日活映画「月曜日のユカ」で本格的に映画デビューし、期待の新人俳優として注目を集める。横溝正史原作「本陣殺人事件」(1975)では金田一耕助役を好演し、高い評価を得た。以降は、映画やテレビドラマにコンスタントに出演。
中尾が今作で演じているのは、孫娘に面倒をみてもらいながら寸借詐欺で生活する“はばかりのモキチ”。北野武監督作への出演は、「アキレスと亀」「アウトレイジ ビヨンド」に続いて3度目となるだけに、堂に入った演技を披露している。
本作のストーリーは、龍三が、オレオレ詐欺に引っかかったことをきっかけに、若頭のマサら7人の子分を率いて、詐欺やゆすりで稼ぐ若者たちと対決するというもの。このほど公開された若き日の写真から半世紀近いキャリアを重ねた藤らが、破天荒な“ジジイ”たちをユーモラスかつ凄みをもって演じた痛快なエンタテイメント作品に仕上がっている。「龍三と七人の子分たち」は、4月25日から全国公開。
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