アキレスと亀

劇場公開日:

アキレスと亀

解説

「HANA-BI」「座頭市」の北野武監督の長編14作目。出演は北野武(ビートたけし)のほかに、樋口可南子、柳憂玲、麻生久美子ら。売れない画家の真知寿は、幼い頃に両親を亡くしてからも画家になることだけを夢見てきた。そんな純朴な真知寿に惹かれた幸子と真知寿はやがて結ばれ、夫婦で創作活動に没頭していくが……。真知寿のかなわぬ夢に立ち向かう苦悩や、彼を陰から支える幸子の夫婦愛を描く。

2008年製作/119分/日本
配給:東京テアトル、オフィス北野
劇場公開日:2008年9月20日

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(C)2008「アキレスと亀」製作委員会

映画レビュー

1.0とてもつまらない

2024年10月6日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

寝られる

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吉泉知彦

3.5アンリえない夫婦愛

2024年7月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

悲しい

楽しい

監督と脚本は『菊次郎の夏』『Dolls(ドールズ)』『TAKESHIS'』『監督・ばんざい!』『龍三と七人の子分たち』の北野武

絵を描くことに没頭する倉持真知寿の半生記

少年期青年期中年期の三部構成

冒頭にアニメ
アキレスと亀を説明するために

粗筋
裕福な家庭で生まれ育った倉持真知寿だったが父の会社が倒産
父も自殺し継母もやがて自殺した
父の弟である叔父に預けられたが真知寿の奇行ぶりに叔父夫婦は手に負えなくなり孤児院で暮らすことに
青年に成長した真知寿は画商のアドバイスで働きながら美術学校に進み理解者である幸子と結婚
やがて娘マリが生まれる
中年になった倉持夫婦は周囲が呆れるのをよそに芸術活動に没頭した

少年期や青年期は良いだろう
他のことをそっちのけで自分が夢中になれるものもただただ追い求める
しかし結婚し子供ができてもなお同じことをしている
しかも売れない画家
作品が一向に高く評価されなくても例えば佐倉魔美の父のように高校で美術講師として娘を養うこともできるだろうに働くことはない
そのため妻が働かなければならず夜は夫の創作活動の手伝い
高校生の娘は家計を助けるため水商売のバイトさせられる始末
娘は両親に呆れ家出し援助交際で暮らしていた

北野映画の良さの一つとしてあげられるのは人が酷い目にあっている光景を眺めている傍観者

遺体の娘の顔も真知寿にとってはキャンバスにすぎなかった
口紅を唇に塗るまでは
さすがにキレたのか幸子は「人間じゃない!」と激怒し離れていくわけだがあの樋口可南子の芝居は北野作品らしくないな
もちろん悪いのは樋口ではなく演出と脚本を担当している北野武
このシーンはこの作品で1番印象に残っている

それにしてもボビーに殴られるのは妻の方かよ
そりゃ流石に違うだろ
そのあとの風呂のシーンでは何事もなかったようになってるのは残念

画商の菊田Jrのアドバイス笑える
特別面白いことを言っているわけでもないのに

三又又三はたぶんたけしの物真似をしてるんだろう

閉店セールのポスターに2人の首吊り死体のシルエットは笑える

ちなみに真知寿の由来は画家のアンリ・マティスだろう
父は絵画が好きらしく息子に名付けたんだろう
それにしてもマティスとは渋い
好きな画家はと問われ「マティス」と答える人はそれほど多くはないだろう
好きな女優は問われ「内田慈」と答えるようなものだ
いやそれは言い過ぎた
マティスは内田慈ほど知名度は低くない
話を元に戻すと真知寿は今でいうところのキラキラネームだが僕は典型的ネット民なんかと違いそれに関してはかなり寛容である
赤の他人の名前にケチを付けるなんて差し出がましいにも程がある

なんやかんやでハッピーエンド
亀が真知寿でアキレスは幸子ってことだろうか

僕は真知寿に腹が立たなかった
那が世の中では腹が立ったレビュアーは多い気がする
保守的な観点からもリベラル的な観点からも評判は良くないようだ
僕は映画作品を評価する上で主人公に共感できるかどうかなんて全く重要視していない
共感を何よりも大事にしている人はおそらく間違った日本の国語教育の犠牲者だと感じている

配役
画家の倉持真知寿にビートたけし
真知寿の妻の倉持幸子に樋口可南子
青年時代の真知寿に柳憂怜
青年時代の幸子に麻生久美子
少年時代の真知寿に吉岡澪皇
養蚕工場を営む真知寿の父に倉持利助に中尾彬
利助に取り憑く画商の菊田昭雄に伊武雅刀
利助の弟の倉持富輔に大杉漣
富輔の妻に円城寺あや
父同様に画商になった菊田の息子に大森南朋
利助の後妻で真知寿の継母の倉持春に筒井真理子
真知寿と幸子の娘の倉持マリに徳永えり
画家の高輪に仁科貴
ヤクザに寺島進
新聞屋の親父に六平直政
商店街の女性にふせえり
印刷会社社長に丸岡奨詞
絵好きの社長に大林丈史
軽トラを押す百姓に不破万作
工事現場の親父にビートきよし
おでん屋の親父に大竹まこと
村に住む知恵遅れの又三に三又又三
又三の父に諏訪太朗
喫茶店のウエイトレスの美江に林田麻里
美術学校のクラスメイトの板垣にアル北郷
美術学校のクラスメイトでモヒカン頭の学生にお宮の松
スナックのママに風祭ゆき
格闘家にボビー・オロゴン
パフォーマーに電撃ネットワーク
借金取りのヤクザに國本鍾建
利助と心中した芸者の道奴に山野海
道奴と同僚の芸者にこばやしあきこ
倉持銀行頭取に須永慶
電車の運転手に芦川誠
小学校の先生に武重勉
売春する男に森下能幸
冒頭のアニメの声に玄田哲章
冒頭のアニメの声に川上貴史

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野川新栄

1.5嫌いでは無い

2023年11月15日
iPhoneアプリから投稿

全体的にもっとドラマチックに描かれる描写があったりすれば良かったかと

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aaaaaaaa

5.0傑作で驚き

2021年10月14日
iPhoneアプリから投稿

「TAKESHI's」、「監督ばんざい!」と前2作が粗い内容だったので、北野映画には興味を失くしていたが、これは傑作と思わせられました。
人によって見る角度は全然違うと思いますが、私は情緒的なものはあまり興味なく、しかし樋口可南子が名演であるため作品をより良くまとめてくれていると思いました。

作品の本質としては、純然たるお笑い作品になっていると思います。しかも北野武が描いた絵は決してつまらない物ではなく、総じてお笑いが映画文化に及ぼす価値を見せつけるような作品になっていると思います。それまでの北野映画でも顕著だった記号的な描写がさらに極められており、「このシーンにはどんな意味が…?」といったような無用な勘ぐりを差し挟ませない、ある種の作品としての力強さがあります。

「座頭市」の頃において、作風が湿っぽい雰囲気になる事を避けるためにポップなトーンを模索した事が、映画作家北野武の新たなスキルとなり、この映画でもそれが反映されていると感じました。同じストーリーでも、撮る監督が違えばこの映画は湿っぽい雰囲気になる危険もあったと思います。

「ソナチネ」の頃から北野映画を観てきた者としては、バイオレンスを抜きにしても作劇が推進していく事に新鮮な驚きがありました。北野映画の登場人物は、例えば「金が欲しい→銀行強盗しよう」といったように、直線的で最短の行動様式を取る事が多いので、簡単に反社会的行為に行きついてしまい、結果として暴力が描かれる事になりがちでしたが、本作の主人公の場合それが創作活動に帰結する事により、犯罪や暴力には行き着きません。このようにバイオレンスの要素が北野映画から排他された時に見えてくる、北野映画の本質というものがとても好印象なものでした。それは過去の作品でも「あの夏、いちばん静かな海」もこれに該当しますが、これとは違う、何か純度の高いものを本作は内包しており、意義を持っていると思います。非倫理的だからバイオレンスを忌避するというのではなく、「もう必要なくなったからバイオレンスは描かれない」という説得力があります。
またバイオレンス映画とは、バイオレンスであるがゆえに、作劇を推進していくにおいて高い燃料消費を伴うという言い方ができると思います。それに比べて本作は、激しい行動がないので「燃費が良い」。北野映画は「削ぎ落としの作風」と言われてきましたが、とうとうバイオレンスも排他したのだと思えて楽しかったです。
このような創作の進化の感じられ方は、本作と次作「アウトレイジ」とがセットになって、「ソナチネ」のトラウマを凌駕しようとしているようにも受け止められましたが、「アウトレイジ」の方は技巧を高める事でその進化の具合を示しているのに対して、本作は削ぎ落としの純度でそこに対応しており、さらに有意義なものであると思いました。

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