中島哲也監督「衝撃作、問題作を超える」と宣言！最新作「渇き。」で新たな地平

原作は第3回このミステリーがすごい！大賞を受賞した深町秋生氏のデビュー作「果てしなき渇き」。中島監督にとっては第34回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞などに輝いた「告白」（2010）以来約4年ぶりのメガホンとなる。

父親で元刑事の藤島昭和（役所）が、突如失踪した容姿端麗で優等生の娘・加奈子（小松）の足取りを追うが、自分だけが知らない娘の“素顔”に動揺し、やがて内に秘めた狂気をエスカレートさせていく。撮影は昨年8月7日から12月30日まで行われ、現在ポストプロダクションに取り掛かっている。

この日は2分弱の映像が披露され、中島監督のトレードマークといえる計算され尽くした高密度なビジュアル世界に加えて、より野蛮でスタイリッシュなタッチが、主人公・藤島や彼を取り巻く個性豊かなキャラクターの抑えきれない狂気と欲望をビビッドに焼きつけている。映画には役所と小松に加えて、妻夫木聡、オダギリジョー、二階堂ふみ、橋本愛、中谷美紀ら実力派キャストが勢ぞろいし、新たな地平を切り開く中島ワールドの住人となっている。

脚本にも名を連ねる中島監督は、「偶然原作と出合い、何より藤島という主人公像にひかれた。とにかくひどい人間で、長所がまるでない。ぜひこの男の映画を撮りたいと思った」と映画化を決めた理由を説明。脚本完成までに約半年と費やしたが「逆に『もういいや』って。これは封印せざるを得ないなと（笑）。ところがギャガって会社がお金を出すよと聞き、自分自身ビックリしている」と振り返った。

役所は「パコと魔法の絵本」以来となる中島監督のタッグで「忘れられていなくて良かった」と安どの表情。家族が破綻した原因が自分である事実に目を閉ざし、なりふり構わず娘の行方を調査する役どころに挑み、「こんなひどい人間を演じられるのは、役者冥利に尽きる」と達成感を示した。

一方、オーディションで加奈子役を勝ち取った小松は「中島監督は怖いと聞いていたが、実際にはとても優しかった」と述懐。中島監督は「会った瞬間に加奈子だと思ったし、小松さんのおかげで加奈子像がより見えてきた。出演者の半分とキスする（笑）という役柄で、ハードルも高かったはず」と映画デビュー作で、早くも開花した女優性を絶賛する。役所も「新人ならではの初々しさと透明感がある」と太鼓判を押していた。小松は中島監督が演出を手がける「dビデオ powered by BeeTV」のCMにも出演中だ。