繕い裁つ人

劇場公開日:

繕い裁つ人

解説

中谷美紀の主演で、町の仕立て屋と常連客たちとの織りなす日々を描いた池辺葵の同名人気コミックを実写映画化。神戸の街を見渡す坂の上にある仕立て屋「南洋裁店」。初代の祖母から店を継いだ2代目店主・市江が手がけるオーダーメイドの洋服は大人気だが、昔ながらの職人スタイルを貫く手作りのため、量産はできない。市江はデパートからのブランド化の依頼にも興味を示さず、祖母が常連のために作った服を直し、たまに新しい服を作るという日々に満足していたが……。共演に三浦貴大、片桐はいり、杉咲花、中尾ミエ、伊武雅刀、余貴美子ら。監督は「ぶどうのなみだ」「しあわせのパン」の三島有紀子。

2015年製作/104分/G/日本
配給:ギャガ
劇場公開日:2015年1月31日

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(C)2015 池辺葵/講談社・「繕い裁つ人」製作委員会

映画レビュー

3.0「モノづくり」をテーマとしつつ最後には監督の映画論に至る

2023年3月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

本作ではまず、逆光に彩られた洋裁店の作業室の美しさが目につく。ついで洋裁店兼住居の建物、そこに連なる喫茶店、教師宅の庭等々…こうしたモノの美しさを監督は穏やかだが華やかさを秘めた色彩で映像に定着させていく。

ストーリーは洋服というモノづくりで充足した生活を送る仕立屋の女性と、彼女を取り巻くコミュニティを淡々と描いていき、そこにはほとんどドラマらしきものがない。主人公は仕立屋というより、「モノづくり」そのもの、いや「モノ自体」のように見える。

モノの美しさ、モノに纏わりついた人々の日常と記憶、モノづくりに携わる人々、モノを鑑賞し利用し慈しむ人々、モノを取り巻く理想郷をテーマにした「モノ」の映画。それが本作である。

モノとヒトとは別個独立に存在するものだが、モノが意味として発現するにはヒトが介在しなければならない。するとモノには変化がなくてもヒトが変化するとモノの意味も、つまりモノ自体も変化してしまう。

チーズケーキの味が変わったのかと尋ねる主人公に対し、店主が「創業以来変わらない味だ」と答えるのは、そうしたモノとヒト、モノづくりと社会との関係の本質を描いたものだろう。ここで「モノ」を「映画」に置き換えると、本作は監督の映画論、芸術論になると思われる。

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徒然草枕

3.5終始ゆったりと時間が流れている良作。 デパートからブランド化の話が...

2023年1月25日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

終始ゆったりと時間が流れている良作。
デパートからブランド化の話があるも、常連客との付き合いを優先して断る女性仕立て屋。
内心では自分のデザインを商品化してみたいが、個別の客との深い付き合いを捨てることができない葛藤は分かる。
一見お嬢様風の主人公だが、お茶を入れる際に茶葉をぶちまけてしまったり、チーズケーキをホールで食べて幸せそうな笑顔を見せたりと素顔も魅力的だ。

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省二

4.0じんわりときた。 洋服って、今では安く買えたり、たくさん持っていた...

2022年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

じんわりときた。
洋服って、今では安く買えたり、たくさん持っていたり、流行があったりするけれど、この映画を観ると、洋服には成長があって、人生があって、老いがあって、こんなにも人生にリンクして考えたことはなかったと思う。
人生と重ね合わせると洋服もとても愛おしいものに思えた。
自分の好きな服は大事に着たいと思ったし、一生着続ける服って素敵だなぁと思った。
そして、何かを始めようとしている時にちょっとした勇気をもらえる映画でもある。
中谷美紀の芯があってぶれない感じ、洋服を仕立てるすっとした姿は素敵だったし、とても心温まる作品でよかったです。

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よっしー

4.0我が街を舞台とした静かで落ち着いた大人の作品だった。 「この坂どこ...

2021年6月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

我が街を舞台とした静かで落ち着いた大人の作品だった。
「この坂どこだ?」とか「大丸の外商はヒマ?」とか我が街ならではの楽しみがあった。
が本筋の「一生着られる服」も魅力的なコンセプト。服の力。私には縁がないが(笑)
特別大きな何かがあるわけではない、いつもならどちらかというと苦手系なのだが、本作は沁みた。なぜだろう。
黒木華、杉咲花、永野芽郁等ちょい役も豪華。最後はどこか素敵なラブストーリーでもあった。
女性に人気なのだという本作、頷けました。

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はむひろみ
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