20センチュリー・ウーマン
劇場公開日:2017年6月3日
解説
「人生はビギナーズ」で自身のゲイの父親をモデルに描いたマイク・ミルズ監督が、今度は母親をテーマに描いた物語。1979年のサンタバーバラを舞台に、15歳の少年ジェイミーとシングルマザーのドロシア、そして彼らを取り巻く人々の特別な夏を描いた。思春期の息子ジェイミーの教育に悩むシングルマザーのドロシアは、ルームシェアで暮らす写真家アビーと、近所に暮らすジェイミーの幼なじみのジュリーに、ジェイミーを助けてやってほしいと頼む。母ドロシアに扮した主演アネット・ベニングは、ゴールデングローブ賞の主演女優賞(コメディ/ミュージカル部門)にノミネート。ジュリーを「マレフィセント」のエル・ファニング、アビーを「フランシス・ハ」のグレタ・ガーウィグが演じた。
2016年製作/119分/PG12/アメリカ
原題:20th Century Women
配給:ロングライド
スタッフ・キャスト
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受賞歴
ノミネート
最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル) | |
最優秀主演女優賞(コメディ/ミュージカル) | アネット・ベニング |
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2017年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
マイク・ミルズという人は、提示したテーマやモチーフを結局雰囲気にもんわりとくるんでしまう印象がある。監督の若き日に大きな影響を与えた女性たちに捧げたという本作もその印象は変わらない。
ただこの監督、女優を魅力的に映すことには本当に長けている。アネット・ベニングもグレタ・ガーウィグもエル・ファニングも、スクリーンの中に存在している姿を見るだけで飽きない。
しかしなんだこのエル・ファニングの危ういエロさは。エル・ファニングはニョキニョキとタケノコが竹になるように成長しており、比喩なだけでなく身長もデカい。その物理的な属性が、デカくなり過ぎた自分を持て余しす思春期の少女役にみごとにハマっている。
女性たちがよく映りすぎていて、結局は理想化された姿のように思えたりもするのだが、こんなにも女優が輝いている姿を見られるだけで、ミルズ作品が苦手な自分も観てよかった、と結論せざるを得ない。
2022年5月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波
女性に優しい、多様な生き方を肯定するような、包容力を感じる映画だった。みんな違ってみんないい。あたたかい雰囲気を感じた。
デヴィッド・バーンの「アメリカン・ユートピア」を見たあと、トーキング・ヘッズのベスト盤を入手していたので、挿入歌がすぐわかった。あの年代を象徴する曲だったのかー。曲に合わせて自由に感じるままに踊るアビーが、とてもチャーミングだった。この女優さんがその後、映画を監督していたとは、驚いた。
日テレの放送を録画で。
2022年4月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ベトナム戦争も終わり、アメリカ国民が団結することもなくなった1979年。このカーター大統領の演説に感動したというシングルマザーのドロシアの言葉が印象に残る。大恐慌時代に生まれ、何かと戦前、戦中の生き方が身についてしまっていたドロシア(ベニング)も息子の教育には悩む。象徴するのはパンクロックだったりスケボーだったり、性の解放についての書籍も多く出回ってた時代だ。
幼なじみで、いつも屋根伝いに侵入してくる2歳年上のジュリー(エル・ファニング)。ベッドの上で一緒に寝るけどセックスはしない。親しすぎて、体の関係を持つと友情も終わってしまうという意見の彼女だった。もう一人の24歳の女性写真家アビーは子宮頸がんについて悩み、同じく一つ屋根の下に暮らす何でも屋のウィリアムと仲が良い。
ライフスタイルも世の潮流も変化しつつあるけど、芯が強ければいつの時代でも生きていける。人の痛みを理解できれば優しくなれる。もうジェイミー少年はしっかりしてるじゃん!それという事件もなく、楽しそうなルームシェアの言わば家族を観ていると羨ましくも思えてしまう。この時代を懐かしむにはもってこいの作品であるのだろう。
年代は違うけど、それぞれの信念を持っている彼女たちは20世紀女性とも言える存在だったし、大きく変化せず、それぞれの幸せな道を歩んでいったストーリーにはそれほど感銘を受けられなかったかなぁ。また、母親だけの物語じゃなく、womenと複数形になってることからジュリー、アビーの物語でもあるんでしょうね。
ちょっと残念なのは、音楽シーンを語るのなら、1979年と言えばスリーマイル島原発事故から発したノーニュークス・コンサートが開かれた年。これを語らずして、1979年はない!と、音楽好きの俺は思うけど・・・
2022年4月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
70年代後半の祭りの後的なアメリカ
大恐慌の時代に生まれた母がシングルマザーとして今は豊かになったアメリカの小さな街で男の子を育てている
時代の描写 音楽 ファッション セラピー フェミニズム 価値観 趣味の相違
大人世代の豊かにはなったけどなにか満たされない空虚なった諦念
若者子ども世代は感受性が高いからパンクを聞いてパンクを生きてる、少なともクールでパンクな素振りで必死な毎日。
ジェイミーを殴り倒したりジェリーに生出ししたりする奴らはパンクがわからないマチスモ、ゲス野郎とお見受けするが、彼らもスケボーやってる。これは1979年だからここから mid90s の萌芽を感じる。
自然に出会い集まりできるコミュニティの面白さと鬱陶しさ
伏線も裏も何もないあっけらかんなストーリー。アメリカではオルタナティブな人たちなんだろう、先端をいく若者も10年経てば旧世代既得権勢力または敗北感にまみれ、この母親のように、自分はそんなに不幸せではない、と裏腹に、子どもにはわたしみたいになってほしくない、もっと幸せになってほしいと本音が出る。
ジェイミーもmid90sの男の子も、スケボー仲間、友達の悪ふざけに乗っかり生死を彷徨い母親は子どもの危機に自らの存在の是非を問い苦しむ。赤く髪を染めたパンクの申し子アビーが生理を語る(今なら普通、、この世代時代のずれが、今2020年代とくに日本にいると遅いな全然前進してないな、と思うのだが)が母親の胎内で副作用により癌ができたことにこの母親はだんまりだ。
さまざまな親と子、女と男の関係。
車で移動する時、時がたつとき、タイミングよくわからないけど。時々レインボー、七色に光り画面がチラチラして時の遷移価値観の変化や兆しを感じた。
フェミニズムとかまだまだエキセントリックな時代だったが2020年代の日本よりずっとマシだよな、その後母親が新世紀とともになくなるまでも詳らかに、ほんとに裏もなんにもない感じなので、20世紀の時代感や社会的な変容に興味あれば誰でも楽しめる。パンクを知ってる世代には今の忖度と損得のクソ社会、時代遅れっぷり揺り戻しっぷりを痛感するだろう。
ジェリーを演じるエルファニングの言葉は説得力ありあり。
三人の女子の魅力的なことそれだけでも見応えあり。俳優さんたちみんないい。
特に母親の言葉はユーモラスで笑えるところ満載、子ども世代のセリフは刺さる、時代を軽く振り返り、爽やかに楽しめる作品。