サバイバルファミリー 劇場公開日 2017年2月11日
解説 「ウォーターボーイズ」「ハッピーフライト」の矢口史靖監督が、原因不明の電気消滅によって廃墟寸前となった東京から脱出した一家の奮闘をコミカルに描いたサバイバルドラマ。東京で暮らすごく平凡な一家、鈴木家。当たり前のように電化製品に囲まれた生活を送っていたある日、電気を必要とするあらゆるものがなぜか使えなくなり、東京は大混乱に陥ってしまう。交通機関や電話、ガス、水道まで完全にストップした生活に人々が困り果てる中、鈴木家の亭主関白な父・義之は、家族を連れて東京を脱出することを決意するが……。ベテラン俳優の小日向文世が父親役で主演を務め、母親役を深津絵里、息子役を「秘密 THE TOP SECRET」の泉澤祐希、娘役を「くちびるに歌を」の葵わかながそれぞれ演じる。
2017年製作/117分/G/日本 配給:東宝
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2020年5月24日
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鑑賞方法:VOD
久しぶりに再見。初めて観たときはあくまでもフィクショナルな設定のサバイバルとして気楽に笑っていた気がする。しかし新型コロナの影響でスーパーやコンビニからマスク、紙製品、乾麺などが消え、繁華街から人がいなくなったのを目にした後では、謎の大停電で起きる集団パニックや荒廃した都市の風景が奇妙なほど味わいを増していると感じた。 本作は設定上、大規模災害が発生した日本で右往左往する人々や懸命に生き延びようとする家族の姿を描いているが、そうした状況設定の上で遊び心と想像力を発揮したコメディであり、行動心理などにリアリティーを追求しているわけではない。そうした遊びを大らかに楽しむ心がないと、「あの行動はありえない」「つっこみどころ多すぎ」と批判的になってしまうのだろう。 これだけの未曽有の大災害を描きながら、劇中で死ぬ人がまったく描かれない点も、矢口史靖監督の優しさだと思う。
人が人らしく生きるって清々しい! こんな"もしも"を映画化してくれてありがとう‼︎
かけがえのない存在だよね。 ハートフルな映画でした。 燻製って良いよね。 最高!
2021年10月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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現代人が無意識の中でどれだけ便利さを享受しているのか。コロナや直近ではドコモの通信エラーなど、当たり前だった世界が唐突に変わった時、それらがもし唐突に無くなった時に人はどうなるのかという作品。なのだが、停電程度ならともかく自動車や電池もダメという状況で、飲み水や食料を確保せずに公務員やインフラ関係でもない一般的な会社や学校に出て来るアホがこんなにいるのだろうか。社畜、奴隷精神も甚だしい。まぁただ自分もコロナを甘く見てマスクがなくて慌てた口なので、そこまで偉そうなことは言えないが。 家族は母親以外よくいそうな感じであり、高圧的で子供に嫌われそうかつプライドが無駄に高く、間違いを認められない父親。まさに現代っ子という感じの高校生の長女。大学生の長男は家族には無愛想なのに、恋心を抱く相手には中学生かよという舞い上がり方をして、異常後はわざわざ隣県の家まで自転車で様子を見に行くというストーカー的な行為もしており、なんとも不気味な感じ。まぁ中盤は知識を武器にこれまでノータッチだった自動車のバッテリー補充液に着目するという展開があるのだが。母親は魚を捌けないというのがいかにも今っぽい主婦だが、大学生、高校生の子供がいるような年齢で、こんな美人な母親がいて堪るかと思ってしまう。 正常性バイアスとでもいうのか、自動車さえ走らない状況で飛行機が飛ぶ訳無いだろと思うのに空港まで行ったり、大阪に行けば大丈夫と噂話を信じたりというのが首を傾げてしまうところ。本当にそんな状況ならばとっくに助けが来ていると分かりそうなものだが。結局一家は自転車で延々と岡山まで旅を続ける。どう考えても体力がある長男以外は厳しいと思うのだが、本当に踏破出来るものだろうか。一家は基本的に犯罪はあまりせずに真面目にボッタクリホテルに泊まったり、野宿したりするのだが、空き家に侵入して寝室使えばいいのにと思ってしまった。 豚を捕まえるシーンからは急激に話が展開し、豚の解体などで一気に逞しくなる一家。ところが河を強引にイカダで横断しようとした結果、流されて父親は行方不明。野良犬に襲われて母親が足を骨折し、絶体絶命というシーンで突如蒸気機関車がやって来る。奇跡的に助かった父親は偶然ポケットに入れていた発煙筒を炊いたお陰で合流。そしてあっという間に鹿児島に辿り着き、自給自足の生活が始まる。しかし河を強引に横断しようとしたシーンは本当に意味不明で、食料もたっぷりあって強引に急ぐ必要もなく、しかも雨はすぐに上がるという有様。中盤でも強風と雨に米がやられるシーンがあったのだが、どちらも唐突に降る訳無いだろと思ってしまった。 劇中で死ぬ人が序盤にしか描かれていないが、透析患者、要介護、単身老人世帯、限界集落はほぼお手上げ、出生率の改善が見込めるということで、ある意味日本の国民皆保険制度や超高齢化社会の改善になりそうであるというのが皮肉。また、細かい描写ではあったが、お隣さんが犬を置いて出て行くシーンはなんとも悲しい。終盤に野良犬が出て来るシーンがあるのだが、逃せばなんとかなると考えた人たちも無責任な飼い主と同じようなものだろう。 最後は電気が復帰した世界で元通りかと思いきや、逞しくなり、家族の絆を取り戻した一家という感じで締めくくられるが、夜逃げ同然で出て来たマンションに戻って大丈夫なのだろうかと要らぬ心配をしてしまう。という訳でツッコミどころは非常に多いし、家族に焦点が当てられているので社会的な混乱の描写は控えめ。これが現実に起これば、正直もっと略奪が横行する世紀末感満載の世の中になると思う。とりあえず緊急時は食料、水の確保と、いざとなった時に使えるのは知識だなと思わされた。リアリティが乏しいが、もしこんな世界になったらという点は面白かった。
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