劇場公開日 2017年2月11日

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「コロナ禍の経験で、味わい増したサバイバル喜劇」サバイバルファミリー AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5コロナ禍の経験で、味わい増したサバイバル喜劇

2020年5月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

幸せ

久しぶりに再見。初めて観たときはあくまでもフィクショナルな設定のサバイバルとして気楽に笑っていた気がする。しかし新型コロナの影響でスーパーやコンビニからマスク、紙製品、乾麺などが消え、繁華街から人がいなくなったのを目にした後では、謎の大停電で起きる集団パニックや荒廃した都市の風景が奇妙なほど味わいを増していると感じた。

本作は設定上、大規模災害が発生した日本で右往左往する人々や懸命に生き延びようとする家族の姿を描いているが、そうした状況設定の上で遊び心と想像力を発揮したコメディであり、行動心理などにリアリティーを追求しているわけではない。そうした遊びを大らかに楽しむ心がないと、「あの行動はありえない」「つっこみどころ多すぎ」と批判的になってしまうのだろう。

これだけの未曽有の大災害を描きながら、劇中で死ぬ人がまったく描かれない点も、矢口史靖監督の優しさだと思う。

高森 郁哉