アカデミー賞8冠制覇「スラムドッグ$ミリオネア」は奇跡の映画!
2009年2月24日 12:00

[映画.com ニュース] 第81回アカデミー賞授賞式が2月22日夜(米時間)、ハリウッドのコダックシアターにて行われ、ダニー・ボイル監督の「スラムドッグ$ミリオネア」が、9部門(ノミネートは10)のノミネートのうち、作品・監督・脚色賞など実に8部門で圧勝する強さを見せた。
同作は、インドの大都会ムンバイを舞台に、クイズ番組「クイズ$ミリオネア」で最高賞金2000万ルピー(約4000万円)に挑戦したスラム街育ちの青年のロマンスを中心に、ストリートにある身近な犯罪や貧困や宗教的問題を切り取った作品だ。
スティーブン・スピルバーグ監督から作品賞のオスカー像を受け取ったプロデューサーのクリスチャン・コルソンは、「スターもいないし、お金もなかったが、魅力的な脚本だけはあった」と感激した様子で語った。当初は予算1500万ドルのインディーズ作品としてワーナー傘下で製作がスタート。ハリウッドスターが1人も登場せず、また地味な内容だったため、全米ではストレートでDVD発売される予定だったが、昨年9月、カナダのトロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞。すぐさまフォックス・サーチライトが全米配給権を獲得し、11月12日より全米で限定公開された。その後はあれよあれよと、ゴールデングローブ賞や米製作者組合(PGA)賞など映画賞を席巻。今年1月23日より全米拡大公開され、全米興収9000万ドル弱(現在)のスマッシュヒットを記録し、まさに“奇跡”のイギリス映画となった。今回の受賞で、ついにアメリカンドリームが実現した形だ。
同じ9月、カナダのモントリオール世界映画祭でグランプリを受賞した「おくりびと」が今回のアカデミー外国語映画賞受賞の足がかりにした例ととても似ている。
一方で授賞式自体については、俳優ヒュー・ジャックマンの司会のもと、製作準備、撮影、ポスプロという映画の製作プロセスにのっとって部門賞が順に発表されていく趣向や、演技賞部門で過去の受賞者5名がプレゼンターとして登場する演出は、映画へのトリビュートが効いていて欧米のメディアからも大絶賛の嵐。プロデューサーが「ドリームガールズ」の製作者・監督コンビ(ローレンス・マーク&ビル・コンドン)だっただけに、ミュージカル仕立ての歌とダンス(ビヨンセなど登場)も小粋に盛り込まれ、例年以上に目で楽しませる演出が多かった。
第81回アカデミー賞受賞者リストは以下の通り。
▽監督賞 ダニー・ボイル(「スラムドッグ$ミリオネア」)
▽主演男優賞 ショーン・ペン(「ミルク」)
▽主演女優賞 ケイト・ウィンスレット(「愛を読むひと」)
▽助演男優賞 ヒース・レジャー(「ダークナイト」)
▽助演女優賞 ペネロペ・クルス(「それでも恋するバルセロナ」)
▽脚本賞 ダスティン・ランス・ブラック(「ミルク」)
▽脚色賞 サイモン・ボーフォイ(「スラムドッグ$ミリオネア」)
▽外国語映画賞 「おくりびと」(滝田洋二郎監督、日本)
▽長編アニメーション賞 「ウォーリー」(アンドリュー・スタントン監督)
▽長編ドキュメンタリー賞 「マン・オン・ワイヤー」(ジェームズ・マーシュ監督)
▽短編ドキュメンタリー賞 「Smile Pinki」(ミーガン・マイラン監督)
▽美術賞 「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」(美術ドナルド・グラハム・バート、装置ビクター・J・ゾルフォ)
▽撮影賞 「スラムドッグ$ミリオネア」(アンソニー・ドッド・マントル)
▽編集賞 「スラムドッグ$ミリオネア」(クリス・ディケンズ)
▽衣装デザイン賞 「ある公爵夫人の生涯」(マイケル・オコナー)
▽メイクアップ賞 「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」(グラッグ・キャノン)
▽作曲賞 「スラムドッグ$ミリオネア」、A・R・ラフマーン
▽歌曲賞 「Jai Ho」from「スラムドッグ$ミリオネア」(作曲A・R・ラフマーン、作詞ガルザー)
▽短編アニメーション賞 「つみきのいえ」(加藤久仁生監督)
▽短編実写作品賞 「Spielzeugland(Toyland)」(ジョチン・アレクサンダー・フライダンク監督)
▽音響編集賞 「ダークナイト」(リチャード・キング)
▽音響録音賞 「スラムドッグ$ミリオネア」(イアン・タップ、リチャード・プライク、レッスル・プークティ)
▽視覚効果賞 「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」(エリック・バーバ、スティーブ・プリーグ、バート・ダルトン、クレイグ・バロン)
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