百花

この映画での花は記憶＝思い出。人生は記憶＝思い出の積み重なり。つまり「人生は百花」。たくさんの思い出の花は美しい。そして、その花は枯れてゆく。とても悲しい。

「半分の花火」は一番きれいな思い出の花。

初め映画館で観た時は心が温かくなったが、2回目にDVDで観た時は悲しい気持ちになった。記憶が消えゆくこの世は悲しみの歴史なのだろうか。

原田美枝子ってやっぱりいいな～って思う。

今回の映画は、認知症をテーマにしたものだったが、ちょっとフランス映画のような艶っぽさもあり、品のいい映画だった。

監督は、初らしいけど、ちょうど「ゆれる」（西川美和監督）を見た衝撃に似ている。上質ないい映画でした。

内容的には、母親に対する思いっていうのが個人的に完了していない部分を思い出させてくれました。自分にはどこか母親を遠ざけているところがあったのかも、と。

そんなこんなを見ながら感じながらラストは映画的なスペクタクルを迎える。ちょっとご都合主義的な気もするけど、しっかり腑に落ちて泣いてしまった。
母ものは、やばいね。

うまい監督で、次回作はどんなのを作るか楽しみ。

個人的に母子モノヒューマン系には、涙もろく弱いので、
一定の期待を持って鑑賞したが、全く心が震える箇所も無く終了。

母親が子供を一度捨てて行方不明になる動機も、胸糞過ぎてよくわからんし、
そういう事をする必然性や人間性も、伝わってこないし解明できてないし、
そこから戻ってくるのもわからん。

主人公が母親を恨む心情はわかる。わかるゆえに施設入所までの世話をする理由がわからん。
普通は大人になったら絶縁するんじゃないかなと。
「プリンセス・トヨトミ」で、飲んだくれて仕事をしない父親と、
絶縁状態だった主人公堤真一が、父親から連絡来たのに、会いに帰らないのと同じ理由で、
普通、見限られた子供は、今度は逆に親を見限って拒絶するんじゃないかなと。
でもこの主人公は人がいいのか、何なのか、戻ってからもイマイチ自立していない母親を、
なんとなく許してはないのだけれど、部分的に許容はしている。

母親に対しても、息子に対しても、共感が得られないまま、変な親子だなって印象のまま終わった。
「半分の花火」の謎解きも、一瞬の「へぇ」で終わった。
なんなんだこのヘンテコ物語はと思い、原作が酷いんだろうなと調べたら、
原作者が監督の作品だった。優秀なプロデューサーが調子こいて監督したら、
ズッコケ映画になっちゃったんだな、と悟った。