おかあさんの被爆ピアノ

主演は武藤十夢さん・佐野史郎さんですが森口瑤子さんが演じる母・久美子がこの作品の軸ではないかと個人的に思います。被爆二世である事に負い目を感じながらも娘の真っ直ぐな心に揺り動かされて少しづつであるが前を向いていく　物語の中の架空の人物でありますが観ていて安心しました。思い過ごしかも知れませんがこの作品に出演している森口瑤子さん・武藤十夢さんは品があって気高い。菜々子が楽譜を落としてそれを久美子が優しく拾い上げるシーンは忘れ難く記憶に留まることでしょう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　映画,原爆　でいろいろ検索すると第一に出てくるのは開発に重きを置いた作品に出会います。技術を駆使した映像美や出演者が著名だとすれば仕方の無いことかも知れません。ものの価値（？)は変わらなくても時代・世代によって流行り廃りがありますね。娯楽作品から程遠い難しい題材の映画は敬遠されて埋没されていくのはとても残念です。「おかあさんの被爆ピアノ」は大作でも無かったせいか注目されず残念ながら封切りは東京神奈川　二館startでした。「教誨師」に続き本作にも主演予定だった大杉漣さん　彼は存在していませんが彼が本当にやりたかったもの，主張したかった事　おぼろげながら分かるような気がします。余談ですが劇中、佐野史郎さんと武藤十夢さんが内藤忠司さんのところを訪ねます。その場面で内藤忠司さんが着用していたニット帽は大杉漣さんの私物だそうです。この様なかたちでしたが作品に携われて良かったのではないでしょうか。

実際に被爆ピアノを使って全国を周る矢川さんの実話。素晴らしい活動です。
自分の子供には劇場での鑑賞を強制してしまいました。繰り返してはいけない戦争の記憶
若い世代に伝えたいことがこの映画に凝縮されています。
久々にみんなに勧めたい映画に出会えました。

被爆三世である菜々子は祖母のピアノが「被爆ピアノ」として調律師の矢川光則に預けられたことを新聞の切り抜きから知る。母親久美子はそれを菜々子には秘密にしていた。菜々子は経緯を知るために久美子の制止を振り切り矢川のトラックで広島に向かう。
なぜ久美子は菜々子を広島から遠ざけようとしているのか。被爆二世の複雑な事情がそこにはあるのだということが暗示される。長い間、偏見や差別にさらされていたのだろう。今でも自分が被爆二世であることを隠している人は多く、被爆二世の健康被害については科学的な分析も進んでいないという。
真面目な、いい映画でした。ベートーヴェンの悲愴は名曲ですね。
しかし武藤十夢はひどい大根だ。でも顔もスタイルもいいから許す。