映画『鴨川ホルモー』は好きなんだけれどな。
お殿様の濱田氏。翻弄される岡田氏。予告を見て、期待値を上げすぎたのか?
笹野氏の芸はさすが。人情に訴えてくる。この方に外れなし。でも最近一本調子かな。私が見ているものだけだと思うが、似たような役が多い(あ、でも『シネマ歌舞伎 三人吉三』の冒頭部分はゾクッとした)。
濱田氏のお殿様ぶりもよい。品があって、芯が通っているのに、どこか脱力系。それでいてさりげなく駄々っ子な面も。土下座した時の背筋の伸び等、立ち振る舞いがきれいなのに面白くてかわいい。いろんな役を演じられていて次が楽しみ。
映画全体としては、説明で表現するより、演出で見せてほしかった。
大風呂敷を広げているようで、両家の争いは小競り合い。面白ければまだ見られるが、しらける。
琵琶湖から授かった能力が生み出す悲劇とそれにまつわる話。
「自分は自分だ」と耳に心地よい言葉もあるが、その展開。
それこそ、竜頭蛇尾。
演出の小ネタを見ていると、設定が不意を突いていておかしく、随所にギャグを挟み込もうとしているのはわかる。でもテンポが悪い。笑えない。濱田氏や岡田氏・村上氏・佐野氏・高田氏はちゃんと演じていらっしゃるのに、どうしてこうはずす?
余計な場面ばかりあって、役者の力を生かし切れていない。
話・設定の面白さも活かしきれていない。勿体ない。
脚本・演出・編集がへた。
映画『鴨川ホルモー』は、大学生の青春ネタがきっちり描かれていて笑わせてくれたことに加えて、葵祭を始め、京都中の観光地巡りという強み、途中でビートルズネタの真似もあって、遊び心満載だったが、
この映画では、家族愛・友情・思い出と幾つもテーマがあって分散してしまってどれも描き切れていないのと、琵琶湖と城しか観光名所が出てこないので、不利なんだとは思うけれど。
惜しいです。
(原作未読)