時をかける少女(1983)

劇場公開日:

解説・あらすじ

筒井康隆の名作SF小説を、「転校生」の大林宣彦監督が映画化した青春ファンタジー。高校生の芳山和子は、学校の実験室で白い煙とともに立ちのぼったラベンダーの香りをかいだ瞬間、意識を失い倒れてしまう。それ以来、時間を移動してしまうような不思議な現象に悩まされるようになった和子は、同級生の深町一夫に相談するが……。本作が映画初主演となる原田知世がフレッシュな魅力でヒロインを好演し、大ブレイクを果たした。

1983年製作/104分/日本
配給:東映
劇場公開日:1983年7月16日

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映画レビュー

4.5現代ポップカルチャーに多大な影響を与えた

2020年4月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

大林宣彦監督が現代のポップカルチャーに与えた影響は計り知れない。美少女アイドル、SF、ノルタルジックな風景に展開される純愛。今、漫画やアニメなどでもおなじみの設定やイメージが数多く散りばめられている。当時、尾道に観光客がどっと押し寄せたというから聖地巡礼の先駆けでもあったとも言えるだろう。実際、多くの漫画家やアニメ作家がリスペクトを表明している。
映像の魔術師の異名の通りに、斬新な演出も盛りだくさんだ。冒頭、モノクロのスタンダードサイズの画面に始まり、中央から徐々にカラーになっていく。スチール写真の連続で表現されたタイムリープ画面、散る桜をあえて合成で入れ込み、異空間的な味わいを作るなど、、実験精神と娯楽性を高いレベルで融合させている。
運命の相手がいつか会いに来ても、自分では思い出すことのできないというクライマックスの切なさと、大団円のエンディングの多幸感のギャップが心にしみる。

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杉本穂高

3.5ちょっと悲しいファンタジー

2025年6月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

カワイイ

映像の効果に時代を感じる作品。当時がツッパリ全盛だったことを考えるとこの映画のような品の良い学生たちが果たして当時いたのかは分かりませんが、まあ大人視線でのファンタジーだからかなあと感じます。竹原市の街並みは美しいです。ちょっと子供じみた設定ではありますがそこはかとなく悲しさは感じます。最後は主題歌をヒロインが笑いながら歌うことで悲しさが和らげられます。

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FormosaMyu

5.0最高のロケーション・映像・音楽が相まって超ノスタルジックな素晴らしい世界に包まれる80年代の邦画を代表する名作中の名作

2025年5月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

公開当時の私は中学2年、以来何度となく観てきた本作、毎回とにかくメッチャクチャ懐しくて、作品もさることながら、当時のいろんな記憶が走馬灯の様に蘇り、何ともノスタルジックな気分にさせてくれる大好きな作品です

同時上映が薬師丸ひろ子さんと松田優作さんの『探偵物語』(1983)でそっちもすごく面白くて当時の角川映画に夢中になっていたのをよく覚えています

モノクロからセピアカラー、そして少し黄色味がかったカラー、とこだわりの映像が監督の出身地で美しい尾道の風景を映し出す
そして石階段の坂の町に原田知世さんの履く下駄のカランコロンという音が鳴り響き心地良い
そんな映像美をさらに引き立てるのが心に染み渡る優しい音楽、全てが本当に素晴らしいです

本作がデビュー作だった原田知世さんが清楚でメチャクチャ綺麗、この時15歳というのが信じられません

尾美としのりさんが2025年の現在と全然変わってないのにビックリ、この時から今と同じ雰囲気を醸し出しているのが驚愕、素晴らしい役者さんなんだとしみじみ思いました

原田知世さんが主題歌『時をかける少女』を歌うタイトルコールと呼ばれているレジェンド級のエンドクレジットが素晴らしい、今の時代としてはぶっちゃけ小っ恥ずかしいノリがあるけど、あれが逆に切ないエンディングに対し全てが救われる幸福感をもたらしてくれるんだと思います

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Jett

5.0原田知世氏の素朴で女優として完成されていない初々しさや古風な透明感、少女から大人に変わる彼女の刹那をフィルムに収め、魅力を引き出した大林宣彦監督の見事な演出が秀逸です。

2025年5月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

癒される

惜しまれつつ25年7月27日に閉館する「丸の内TOEI」さんにて「さよなら丸の内TOEI」プロジェクトがスタート。同館ゆかりの名作80作品以上の特集上映中。
今週は角川映画特集。
『セーラー服と機関銃』『時をかける少女』の豪華2本だて。

『時をかける少女』(1983年/104分)
わたしにとって本作含む大林宣彦監督の手がけた『転校生』(1982)、『さびしんぼう』(1985)の尾道三部作および『ふたり』(1991)、『あした』(1995)の新尾道三部作は、まさに思春期に観て、魅了された至高の特別な作品ですね。

何といっても本作で映画デビューを果たした原田知世氏の素朴で女優として完成されていない初々しさや古風な透明感、少女から大人に変わる彼女の刹那をフィルムに収め、魅力を引き出した大林宣彦監督の見事な演出が秀逸です。
タイムリープというSFジャンルではあるものの、誰もが思春期に通過、経験する恋を知った少年少女たちの揺れる心の機微と葛藤、惹かれ合う者同士が互いの記憶を無くさなくてはならない永遠の別れ、そして数年後大人になった二人がすれ違いざまにふとお互いを微かに気づくラストは、何度観ても涙が溢れます。

エンディングでカーテンコールのように原田知世氏がキャスト陣と歌う主題歌『時をかける少女』は作詞・作曲:松任谷由実氏が手がけた映画音楽の名曲、原田氏の瑞々しい歌声も良いです。今でいうミュージックビデオ風の演出で驚きですが、彼女の魅力を最大限発揮させたアイドル映画としてはこれ以上ないラストです。

その他演者では、息子夫婦と孫を事故でなくした老夫婦をベテランの上原謙氏と入江たか子氏が哀愁たっぷりに演じたところが流石、実に印象深いです。
そして大林宣彦監督映画の常連、本作では和子の幼なじみ五朗を演じた尾美としのり氏の和子に対するほのかな愛情と優しい眼差しが観ている方も感情移入ができて良いですね。

本作のもう一つの魅力は坂が多い古き尾道の街並みと空気感。
古風な原田知世氏の魅力にぴったりな佇まいですが、小津安二郎監督が『東京物語』(1953)でも同地に魅了されフィルムが無くなるまでカメラを回し続けたと言われるように実に魅力的。
昔ながらの瓦屋根や光が差し込む格子を実に上手く活用、構図に取り込んでいますね。
松任谷正隆氏の劇伴とも実にマッチしています。
そして長い石階段も画面に奥行きと上下の動きも演出できるので、映画としては街の空気感ともども実に良い舞台です。

今観るとSFジャンルとしての派手な特殊効果などもありませんが、キャスト(原田知世氏)、舞台(尾道)、音楽(松任谷正隆・松任谷由実)、そして大林宣彦監督の確かな演出で、令和の今観ても一切古さを感じさせない、不朽の青春映画の傑作ですね。

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矢萩久登

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