明日の記憶

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

若年性アルツハイマーを題材にした荻原浩の同名ベストセラー小説を、「トリック」シリーズの堤幸彦監督が映画化した感動作。今年で50歳を迎えるサラリーマンの佐伯雅行は、自分が若年性アルツハイマーに冒されていることを知りがく然とする。徐々に記憶が失われていく厳しい現実に焦りを感じながらも、妻・枝実子に支えられて病気と闘う決意をするが……。「バットマン・ビギンズ」など世界的に活躍する渡辺謙が自らエグゼクティブプロデューサーを務め、主演した。

2006年製作/122分/日本
配給:東映
劇場公開日:2006年5月13日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第30回 日本アカデミー賞(2007年)

受賞

主演男優賞 渡辺謙

ノミネート

作品賞  
脚本賞 砂本量 三浦有為子
主演女優賞 樋口可南子
音楽賞 大島ミチル
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映画レビュー

5.0弱っているときこそ周囲からの見られ方が分かる

2024年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 冒頭、アルツハイマー病が進行した佐伯と、その妻の枝実子が、美しい夕焼けの中で思い出の写真を眺めるシーンから、既に名作の雰囲気が漂っていた。辛いだけではない、温かく切ない話なのが、このワンシーンから予見させる。そして期待通り、最後まで惹きつける展開が続く。

 まだ働き盛りで、しかも大プロジェクトのリーダーを務める人間が、自分がアルツハイマーと分かったときの衝撃は想像を絶するものだっただろう。アルツハイマーが進行していく恐怖、そしてそれを決して認めなくない気持ち、患者の尊厳などを、佐伯の視点から描けていたのが秀逸だった。

 佐伯本人が周囲から愛されている人間だということも、今作が魅力的な理由の一つだろう。結婚式の祝辞を任されたり、退職時に部下から花束と自分達の写真(名前入りなのが良い)を渡されたり、妻が献身的にサポートしてくれたりするのは、全て彼が周囲から愛されているがゆえの出来事だ。周囲の思いやりが泣けるシーンだった。弱っているときや権力を持っていないときにこそ、周囲がその人を本当はどう見ているかが分かるのだ。

 今作はキャストも豪華なのが見どころだ。渡辺謙とその妻役の樋口可南子はもちろんのこと、要所要所で香川照之や遠藤憲一などがその存在感を放っていた。

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根岸 圭一

4.5メッセージに嘘がない作品

2024年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

2006年
当時社会問題となったアルツハイマー病を題材としている作品。
この誰にでも起きる可能性のある病気は、病気を知った自分自身の苦悩よりも当人の家族に大きな影響を与える。
当人にとって知らないということは「無」なので何も感じることはないが、あるはずの記憶が失われてゆくのを実感するのは家族で、その家族の苦悩は耐え難いものと思われる。
このような病気を題材にした作品は非常にたくさん送り出された。
この病気と様々なケースを掛け合わせることが様々な作品ができることが理由だ。
治療できないのでハッピーエンドにはなりにくく、病気をオチにすればミステリーにも成り得るし、若いカップルに仕掛ければ恋愛の最大の敵を作ることができるし、最近では殺し屋に仕掛ける作品まで登場した。
さて、
この作品はそのなかでもオーソドックスの部類 仕事と家族と娘の結婚 幸せの絶頂期の中で主人公に起きた病気
これだけを基本形にすることでこの病気が周囲に与える影響を人々に知って欲しいという思いが見られる。
タイトル「明日の記憶」とは、明日になれば今日の記憶は残っていないかもしれないという意味があるように思われる。
主人公に最初起きた人の名前や映画の名前が思い出せないという誰にでもよくあることに、この病気の恐ろしさと共感と「検査に行こう」という気持ちを誘因させている。おそらくこれが最大のメッセージだろう。実際にこの病気になった家族は、このような先品は見ないと思うからだ。
若年性であれば進行が速いというのを主人公の仕事上の些細なミスによって表現している。
この作品には余計な伏線を極力少なくして、病気になったこととその家族の献身、そして必ず起きる葛藤と感情の爆発を入れながら、家族の選択肢を示している。
冒頭のシーン 斜陽 西日 主人公の最後の記憶を暗示しているようだ。
孫の誕生と成長をコルクボードに張り付ける妻。すでに妻さえわからない主人公 その場所は妻が友人からもらったパンフレットの中の「ホーム」だ。
家族は、当人が何をどこまで覚えているのかを注視しながら探ることが日課になるのだろう。成長した孫娘の写真や娘の結婚式、そして家族写真などとコルクボードを買ってきた妻。日常生活は介護士たちに任せるしかなくなっている。
コルクボードを見ても反応を示さない主人公。そして「えみこ」と彫られたカップにも、もう関心を示すことがなくなっている。
作品の最後に、勝手に外に出掛けて幻想の先生と一緒に焼いたカップ。そのために出掛けたのに、帰り道で妻に合うが、それが誰だかわからない。ただ「想い出のカップ」だけを握りしめていた。そのカップさえも記憶から削除されてしまう悲しさ。
妻は気丈にも夫と一緒に西日を見続けている。できることはもうないようだ。ただ静かに夫と一緒にいることだけだ。
多くの家族がこのようなことになる。それを知った上で検査に行ってくださいと言うのがこの作品のメッセージだと思った。
社会問題化しているこの病気を現実の視点でまっすぐに描いた作品。
作中主人公が部下に対して熱く語っていることこそ、この作品を世の中の人に知って欲しいという思いだと思った。

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R41

3.5ほど

2024年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

真面目に向き合うほど家族は周りは破綻していく、
真剣に想うなら適当に。

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mucya

4.0泣きたくなる気持ち

2024年6月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

渡辺謙扮する広告代理店の第2営業部長佐伯雅行は49歳で若年性アルツハイマー病に侵されていた。雑談の中でもディカプリオの名前も出て来なくなっていたし、首都高の出口も行き過ぎていた。
世の中様々な病気があるもののアルツハイマーはなりたくない病のひとつだね。恥をかいている様だし回りに迷惑かけるもんな。
これは劇場の予告編で見た覚えがあるね。アルツハイマーと宣告されるのはたまらんだろう。癌と宣告されるのもかなわんが、会社での立場は木っ端みじんだ。まさに泣きたくなる気持ちだろうね。
明日、アルツハイマーと診断されるかもしれないとすると恐い話だ。家の者も大変になることだろうね。やっぱり渡辺謙はいいね。

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重