復活の日

劇場公開日:1980年6月28日

解説

恐怖の細菌兵器のために人類はほとんど絶滅、南極に残されたわずかな人々の生きのびる姿を描く。小松左京の同名の小説の映画化で、脚本は「日本の黒幕」の高田宏治とグレゴリー・ナップ、「赤穂城断絶」の深作欣二の共同執筆、監督も同作の深作欣二、撮影は「金田一耕助の冒険」の木村大作がそれぞれ担当。

1980年製作/156分/日本
原題または英題:Virus
配給:東宝
劇場公開日:1980年6月28日

あらすじ

一九八×年冬、東ドイツの陸軍細菌研究所から新種のウイルスM-88が盗まれた。この細菌は摂氏マイナス10度で自己増殖をはじめ、零度を越えると猛烈な毒性を発揮する。M-88を奪ったスパイは小型飛行機でアルプスを越えようとするが、吹雪の中で墜落、恐るべき細菌が飛散してしまう。春が来ると、奇妙な事件が頻発。ソ連では羊が集団死、中国ではアヒルの死体が川を漂った。イタリアでは乳幼児が次々と意識不明になり、医師は「イタリア風邪」と名付けた。初夏になると南極昭和基地にも全世界に猛威をふるうイタリア風邪のニュースが伝わってきた。越冬隊員の吉住周三は東京に残してきた恋人、浅見則子の身を案じていた。その頃、東京では次々と死んでいく人々で路上は溢れ、混乱の極に達していた。ホワイトハウスでは連日閣議が開かれていた。そして、バークレイ上院議員はイタリア風邪の原因は、ガーランド将軍が大統領にも内密に開発した細菌兵器M-88であることをつきとめた。そしてM-88は何者かによって東ドイツに渡ったという。リチャードソン大統領は南極基地に「一致協力して生きる努力を傾けていただきたい」とのメッセージを残して息絶えた。夏の終り、南極に残る十一ヵ国八六三人を除いて世界は死滅した。八人の女性を含む残された人々の生活が始まった。そこへ、地震学者の吉住が人類滅亡の第二の危機が迫っていることを伝える。地穀変動調査でアメリカを垂直型地震が襲うことを探知、その衝撃波は、ガーランド将軍が死ぬ前にスイッチを入れた、ホワイトハウス地下にある対ソ連ミサイル攻撃の自動報復システムに作動すると言う。ミサイルが発射されれば、ソ連の報復システムも作動し、そのうちの一つが南極の米軍基地に降ることになるのだ。地震が起きる前に誰かが行かなければ。ホワイトハウスに詳しいカーター少佐は自分がいかねばならないことを知っていた。そして、吉住もカーターの助手として志願する。ノルウエーの女性隊員マリトは密かに吉住を慕っていたが、人類の種を絶やさないために、多くの男性との性交渉を義務づけられていた彼女に、吉住を独占する権利はなかった。吉住が死の旅へ出発する前夜マリトの愛は燃え上がった。「君が生き続けるために役立てるなら……」力をこめて抱き合う二人を染めて、南極の夜が明けようとしていた。

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映画レビュー

4.0 コロナの時代に見直されるべき力作

2020年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

出版社社長から映画製作に進出した角川春樹が『人間の証明』『野性の証明』など大ヒットを連発した勢いで放った製作費25億円、1980年公開の超大作。南極ロケを筆頭に壮大なスケールの映像に圧倒される。草刈正雄演じる吉住が終盤、北米から徒歩で南極を目指す途中で標高2000m超のマチュピチュに登るのは馬鹿げた寄り道だが、ロケに大金をかけたのは確かに伝わる。深作欣二監督ゆえか、人を殴る時の効果音がやくざ映画と一緒なのはご愛嬌。

医療従事者がマスクすらしないで感染者に接するなど、不自然な描写も若干あるが、新しいウイルスの世界的流行が現実になった今、作り手も予期しなかったであろう迫真性を獲得することになった。南極の生存者の男女比が約100対1になり、女性が希少な“資源”として扱われるくだりも想像するだに恐ろしい。コロナの治療薬もワクチンもない現在、さらなる事態悪化を想定して心の準備に役立てるのもありだ。

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高森郁哉

2.0 予言などと軽々しく口にすべきではないと思う

2025年11月24日
Androidアプリから投稿

単純

 SF小説の巨匠・小松左京の原作を映画化した作品。

公開時、国内の配給収入が24億円の大ヒットながら、一説には宣伝費も含めると30億を越える経費を回収できず赤字に終わったとか。大作を連発して飛ぶ鳥の勢いだった角川映画はこれ以降、アイドル路線に舵を切ることに。

 日本・海外(主にアメリカ)ともに出演陣の多くがTV俳優なうえ、映像の大半が密室劇なのに、どこにそんな大金使ったんだと言いたくなるが、当時話題になった南極を含む海外ロケが経費を増大させたそう。
 一部の資料によればロケハンだけで九千万円以上かけたらしいが、現地のガイドやコーディネーターにぼられたんではという気も。

 角川がそれだけ大盤振る舞いした背景には、海外での興収(特に北米)を当て込んでいたからなのだろうが、肝心のアメリカでは興収どころか上映館の確保すら覚束なかったとか。

 アメリカでの成功を成し遂げるには、多少原作と乖離してでも監督と主役はアメリカ人に任せるべきだったし、少なくともハーフで欧米受けしそうな顔立ちの草刈正雄のヒゲは剃らせるべきだったと思う。

 オリビア・ハッセーの起用は謎だが、ベテラン西部劇俳優のグレン・フォード(大統領)とオスカー俳優のジョージ・ケネディ(提督)が、少ない出番ながらも落ち着いた演技で作品を引き締めてくれている。

 深作欣二が監督だけに、則子(多岐川裕美)が陣痛に苦しみのたうち回る場面がまるでチャカでやられたヤクザ。
 ほかに監督いなかったんだろうか。

 新型コロナウイルスの流行期に本作や原作小説が注目されたことは記憶に新しいが、原作者の小松左京は阪神・淡路大震災の際も地元に大きな被害が出て心を痛めていたなか、『日本沈没』に高速道路が倒壊する場面があったせいで予言者のように扱う取材に忙殺され、精神を病んでしまう。

 彼がコロナ禍まで健在でなかったことはむしろ幸いだったかも知れない。

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TRINITY:The Righthanded Devil

2.5 もうちょっと短くしてほしかった

2025年10月22日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

大作と言えば長尺。という価値観が、このあたりから定着したんじゃないか。
とにかく長い。

草刈正雄も、今からは考えられないほどに力が入っていて、魂の熱演。

それにしても、地球を一人でひたすらに歩く演出は、もう少し盛り上げようがあったんじゃないだろうか。

主題歌はやたらと雰囲気があって、曲を聴くだけで、その当時の空気を思い出せる名曲です。それにしても、長い映画だったな。

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うそつきかもめ

1.0 「渚にて」を大いにリスペクトしている。

2025年9月20日
Androidアプリから投稿

1968年公開の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」がゾンビ映画やパンデミック映画の元になるような映画だが、1970年より少年ジャンプで連載が始まった「ワースト」小室幸太郎先生著が僕にとっては忘れられない。
元々は「猿のは臭い」1968年から始まり、
石森章太郎先生の「リュウの道」と続く日本のメインストリームだと思う。また、1951年の「遊星からの物体X」だろうね。でも、ジョー・カーペンター監督のリメイク版は1980年代にはいってからの事である。

しかし、この映画は舞台劇のようで南極の意味が無い。

オリビア・ハッセーさんの息子さんは41歳になるらしい。

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チネチッタ