劇場公開日 1980年6月28日

「コロナの時代に見直されるべき力作」復活の日 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0コロナの時代に見直されるべき力作

2020年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

出版社社長から映画製作に進出した角川春樹が『人間の証明』『野性の証明』など大ヒットを連発した勢いで放った製作費25億円、1980年公開の超大作。南極ロケを筆頭に壮大なスケールの映像に圧倒される。草刈正雄演じる吉住が終盤、北米から徒歩で南極を目指す途中で標高2000m超のマチュピチュに登るのは馬鹿げた寄り道だが、ロケに大金をかけたのは確かに伝わる。深作欣二監督ゆえか、人を殴る時の効果音がやくざ映画と一緒なのはご愛嬌。

医療従事者がマスクすらしないで感染者に接するなど、不自然な描写も若干あるが、新しいウイルスの世界的流行が現実になった今、作り手も予期しなかったであろう迫真性を獲得することになった。南極の生存者の男女比が約100対1になり、女性が希少な“資源”として扱われるくだりも想像するだに恐ろしい。コロナの治療薬もワクチンもない現在、さらなる事態悪化を想定して心の準備に役立てるのもありだ。

高森 郁哉